コスプレに向き合う気持ちや努力を熱く描いた、感動できる作品――『2.5次元の誘惑(リリサ)』奥村正宗役・榎木淳弥さんインタビュー|自分の人生と照らし合わせて、共感しながら奥村を演じたい
奥村の気持ちに近づけるよう、自分の人生に照らし合わせながら演じた
ーー冒頭からかなりテンションが高いキャラクターですが、第1話の収録で苦労はありましたか?
榎木:「リリエルがそれだけ好きなんだろうな」と考えれば自然というか、テンション感としてはすごくやりやすかったです。ただその日は、(別の現場で)朝からかなり叫ぶ作品を録っていたので、疲労感があったのは覚えています(笑)。
ーー実際に発する言葉だけでなく、モノローグでもテンションが高いですよね。モノローグの部分で意識したことはありますか?
榎木:喋っている内容がモノローグと現実であまり変わらないからこそ、差を付けないと(モノローグ部分も)喋っているように聞こえてしまうので、ボリュームを少し下げることは意識しました。
ーーお話全体を通して、奥村を演じるうえで大切にしたことをお聞かせください。
榎木:育ってきた環境や過去の部分は大切にしながら演じました。明るく接しているようで、実は敬遠しているというか。大切なところに踏み込まないように明るく喋っている感じを意識しました。
ーーその部分については、スタッフからディレクションはあったんでしょうか?
榎木:いえ、特になかったです。自分なりに「彼の核はここだろう」と考えてやっていました。
ーーその他の部分で、印象に残っているディレクションはありますか?
榎木:テストで最初に「オタクってこんな感じかな?」というのを演じたら、「オタクはそう言わないんじゃないか」といったディレクションはありました。監督から「オタクとは」ということについて、ご指導をいただきました。
ーー演じていて楽しかった部分はどんなところでしょうか?
榎木:日常では絶対にないようなテンション感の喋りが楽しかったですね。感動するシーンも多いのですが、基本はコメディが主なので、面白いシーンが多かったです。
ーー他のキャラクターにはない、奥村ならではと感じた部分やシーンはありますか?
榎木:お話の後半では、毎話のように泣いているんです。こんなに泣くキャラは今までいなかったと思います。
やはり(映像で)キャラが泣いていたら、演じている自分も実際に泣きたいと思うので、「リリエルが好きな気持ちって、自分にとって何が当てはまるかな?」と考えるのは楽しかったです。
リリサを励ますシーンも、自分の人生に照らし合わせて、共感したいなと思って。その励ます人物、想いをぶつける人物が、「現実の自分だったらこういう人かも」と一度置き換えて考えるようにしていました。
「リリサ派」「美花莉派」を選ぶならば……?
ーーリリサ役・前田佳織里さんとは、特に掛け合いが多かったと思いますが、印象を教えてください。
榎木:前田さんはすごくしっかりしていて、僕より全然現場での立ち振る舞い方を考えて、盛り上げてくださっていました。
あと演技的には、すごく真面目な方なんですが、たまにコメディシーンで突飛なお芝居をされたりして。「何でそういうことをしたんだろう?」みたいな変化球を投げてくるので、そういうところが面白い方だなと思いました。
ーー他の共演者とのエピソードで、印象に残ったことはありますか?
榎木:本当に女性キャストばかりで、男性キャストは僕とオギノ役の杉田(智和)さんくらいでした。「コミケ」のアクセントが年代によって違うとか、いろいろなオタク話をしてくださって面白かったです。
ーー榎木さんから見た、リリサ、橘 美花莉の印象を教えてください。
榎木:リリサはすごく可愛らしい女の子なのですが、中身は結構強くて、根性があるキャラクターです。くじけることもありますが、奥村たちに励まされて、すぐに前を向くというか、また熱い気持ちでコスプレに向かっていくので、根はすごく情熱的な少女なんだろうなと感じました。
美花莉は僕らキャスト陣の中でも人気です。奥村に対して、すごく健気なんですよね。「その健気さが報われてほしい」とみんな言っていました。
ーー難しい質問かもしれませんが、榎木さん的にはどっち派ですか?
榎木:僕は美花莉“も”好きです(笑)。やはり健気で応援したくなる感じがします。「みんな報われてほしい」という気持ちが一番ですけど。
ーーリリサ、美花莉、奥村の3人の関係性についてはいかがですか?
榎木:そこも奥村の過去が関係してくるのですが、恋愛になりそうでならないという絶妙な感じが面白いなと思いました。美花莉は明らかに奥村のことが好きですが、リリサは好きな感じも、そうじゃない感じも両方するので。
美花莉はリリサのことを最初は敵視する感じかと思いきや、いい子なので仲良くなってしまうところが、悪意のない関係性で、見ていて癒されるなと思いました。
ーー第1話で特に印象に残っているシーンを教えてください。
榎木:リリサが最初に登場したときの、すごく早口で作品について語るところは印象に残っています。本当に早いので、前田さんの頑張りが詰まっていると思います(笑)。奥村もそういうシーンが沢山あって、頑張って録りましたので、超早口なセリフにも注目してください。
ーー第1話以降の、序盤の見どころについてもお聞かせいただけますか。
榎木:最初はやっぱり、コスプレの可愛さを楽しんでもらえたらと思います。すぐに美花莉も登場して、さっそくふたりでコスプレもしますし。
後々の熱い展開ももちろん見どころですが、最初の内容は特に“コスプレコメディ”として、楽しく笑ってくれたらなと思います。
ーー奥村的には、序盤の注目ポイントはどこでしょうか?
榎木:やはり好きなものを熱く語っているところですね。リリエルを「俺の嫁」と言ったりするのって、もちろん今もいるとは思いつつ、僕的には昔ながらのオタクというイメージなので、その懐かしさ、筋金入り感は面白いんじゃないかなと思います。