アーティスト活動10周年を記念して上坂すみれさんがベストアルバムをリリース。「SUMIRE CATALOG」発売記念インタビュー!|「私の成長、軌跡が分かる1枚です」
ライブのセットリストを組むような感覚でセレクト
――DISC2には、上坂さんセレクトの楽曲が12曲。どんな点にこだわって選んだのでしょうか。
上坂:基本的には、ライブの定番曲。この曲を聴いていれば、ライブで絶対盛り上がれるという曲と、あとは自分で作詞をした思い入れがある曲やアーティスト性が強く出ている楽曲を基準に選びました。なんとなくライブのセットリストを組むような気持ちでセレクトしたような感じもありました。
――とはいえ、これまでの楽曲から12曲というのは選ぶのも大変だったのでは?
上坂:そうですね。入れたい曲がたくさんあったので、何を厳選するかというのはかなり悩みました。特に自分の作詞した曲というのは、すごく思い入れがあるので、「女神と死神」とか「眠れない魔物」「City Angel」はすごく迷って。最終的に自作詞曲は「海風のモノローグ」を入れました。
あと、個人的に「リバーサイド・ラヴァーズ(奈落の恋)」という曲もすごく好きなんですけど、バランス的に今回はちょっと……となったり。『鬼灯の冷徹』関連の楽曲はすでに3曲入っているからほかを優先しようとか、いろいろ試行錯誤して決めていきました。
――この曲は絶対入れたい、と最初から決めていた曲もあったのでしょうか。
上坂:ありました。「革命的ブロードウェイ主義者同盟」は、ライブでもほぼ必ず披露する曲だし、同志との絆が凝縮されている曲なので外せないなと。あとは、「♡をつければかわいかろう」。これもライブの定番曲だし、自分が長くやっていた番組のテーマ曲でもあるので、思い出深くて迷わず決めましたね。
――上坂さんの楽曲ってシティポップもあれば、ロックやユーロビートなど、かなりいろんなジャンルがある印象なんですが、このベストアルバムを聴いたら、それがすべて分かる、といった感じもありますね。
上坂:そうですね。大体のジャンルをちょっとずつ入れて、これを聴いて興味を持ったらほかの楽曲もいろいろ聴いてみてね、という感じで選びました。
こう並べてみると、自分の好きな楽曲のテイストは最初から歌わせてもらっているんだなと思います。でも、それを自分の楽曲として歌いこなすのが当時はすごく難しくて。好きなこととできることを近づけていくという10年の軌跡も聴いてもらえるのかなと感じました。
新曲「ファーストピリオド.」は寄り添うエールソング
――新曲となる「ファーストピリオド.」は、2ndシングル「げんし、女子は、たいようだった。」以来約10年ぶりとなる桃井はるこさんの提供楽曲ですね。
上坂:桃井さんには、リード曲をぜひお願いしたいと約10年ぶりに曲を作っていただきました。この10年を祝福するような楽曲で、私だけじゃなくて、聴き続けてくれた同志みんなを祝福するような、桃井さんらしい優しさがこもっています。
「ファーストピリオド.」というタイトルも、10周年は区切りではあるけど最初の一歩でもあるよ、というメッセージになっていて、勇気づけられる歌詞だし、桃井さんらしい楽曲をいただいたなと思いました。
――上坂さんから桃井さんにリクエストしたことはあったんでしょうか。
上坂:いや、まったくのお任せです。私が桃井さんに言うまでもない、という感じもありますし。実は、今回候補曲を3パターンも作ってくださったんです。そのなかで桃井さん的にもおすすめ、となっていたのがこの「ファーストピリオド.」なんですけど、3曲ともすばらしくて、本音を言うなら全部歌いたかったです。
――特に気に入っているフレーズは?
上坂:「ハッピー ファーストピリオド. Oh……」のところは、ライブでもコーレスが盛り上がる光景が目に浮かびますよね。あと、全体的に「もっと、夢、見よう!!」とか「ワンダーモモーイ」とか、そういう私の好きな曲たちのエッセンスも入っているんです。過去の自分も大切にしながら今を一歩ずつ歩んでいこう、というメッセージも込められているのかなと。
がんばれ!という直接的な応援ソングはちょっと苦手なんですけど、この曲はがんばってきた姿を知っているよ、と寄り添ってくれるようなエールソングになっているように思います。
――また、DISC2にはTVアニメ『パパのいうことを聞きなさい!』で演じた小鳥遊空役のキャラクターソング「ソライロ」のセルフカバーも収録されていますね。
上坂:ベストアルバムなので、今までやったことのないセルフカバーに挑戦してみました。この「ソライロ」という曲は、初めてオーディションに合格したメインキャストのキャラソン。人生で初めてレコーディングブースに入った楽曲でもあるので、すごく思い入れがあるんですね。
キャラソンではあるんですけれども、ライブでもたくさん披露させていただきましたし、確かこの時はアフレコが始める前にキャラソンを出す、という当時としては斬新な試みだったんですね。それもあって、これが原点という気持ちが強いんですけど、それに感謝しつつ、改めてのスタートという意味でもこの曲をセルフカバーしようとなりました。
――そして、上坂さんが作詞した新曲は「見参!革ブロ☆ふぉーえばー」。すみぺワールド全開といったかなりキャッチーな楽曲です。
上坂:ベストアルバムの新録なので、どういう感じにしようか悩んだんですけど、ここはもう思い切り内輪ノリの楽曲でいこうと。あまり細かいことは考えずに楽しめる曲になったらいいなと、振り切って作ってみました。
このアルバムで上坂すみれの楽曲に初めて触れる人には歌詞の意味とか、よく分からないかもしれないんですけれども、特に深い意味はなく(笑)。私がよく使いがちなネタを入れたりして、歌っていて楽しいことを詰め込みました。
同志とのレス曲みたいなところもあるので、ライブで披露するのがすごく楽しみです。めちゃくちゃコーレスしてもらうところが多いんですよ。みんながコールしてくれたら、すごくご機嫌になると思います。
――「\すみぺは毛深い/」が歌詞にしっかり入っているのもおもしろいですね。
上坂:実はこれ、曲を作ってくださったMUTEKI DEAD SNAKEさんの仮歌に入っていたんです。仮の歌詞をちょっと拝借させていただいたというか。歌詞に「毛深い」を入れようとは自分では思っていなかったので、こういう要素もおもしろいなと入れてみました(笑)。