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『映画アンパンマン』川越淳(監督)&米村正二(脚本)インタビュー

映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』監督・川越淳さん&脚本・米村正二さんインタビュー|「今作でのばいきんまんの姿を見て、元気づけられる人はいるんじゃないかなと思っています」

アフレコの最難関は「すいとるゾウ」の発音!?

ーーアフレコ収録の流れについても伺えますか?

川越:最初はレギュラー陣の収録をして、その後にゲスト声優さんを1日ずつ分けて録りました。ただ今回の収録は、ばいきんまん役の中尾(隆聖)さんの出番がものすごく多くて、セリフもたくさんあって。ばいきんまんは潰したような声を出しているので、喉がやられてしまうんじゃないかなと……。その辺がちょっと心配でした。収録は相当時間がかかっています。中尾さんは予定よりも早く、正午にはいらしていて、驚きました。そこから夜まで収録していていただけたので、僕らも作った甲斐があったなと。

ーー今作ではゲストキャラクターのルルン役の上戸彩さん、すいとるゾウ役の岡村隆史さんも大活躍でした。お二人のアフレコ収録はいかがでしたか。

川越:まずアフレコ前に顔合わせをして、お話をしました。上戸さんは、ナチュラルな声とアニメっぽく作った声の2種類を練習されていたので、一度両方を聞かせてもらったんです。みんなで聞いて、ナチュラルな声で収録をやっていただいたんですけど、とても良かったですね。アフレコ収録のスケジュールは2日間取っていただいていたんですけど、結果的に1日で終わりました。

よく声のお仕事をされている役者さんでも、ああいうふうに天真爛漫に笑える方はなかなかいないです。笑いができるというのは、やはり上手いんだなと思いました。岡村さんも相当練習したようで、問題なくアフレコ収録が進みました。

ーーすいとるゾウは、「すいとるゾウ~!」というセリフで感情の表現をするので難しそうです。

川越:音響監督の山田(知明)さんが岡村さんに細かくディレクションをしていました。「すいとるゾウ」の発音は、意外に難しいんです。「こぞう(子象)」と「こぞう(小僧)」のように、発音の仕方も違います。「コゾウ(子象)になったんだ」というセリフが「小僧になったんだ」と聞こえてしまうこともあって、発音の違いもかなり苦労したようですね。

ーーキャラクターたちが物語の途中でコゾウ(子象)になるシーンがありますよね。コゾウになったとき、普通の言葉ではなく、「パオン」で会話するシーンが新鮮でした。

米村:チーズは「アンアンアーン!」と言っていても、大体何を言っているかが分かりますよね。それと同じようなものです。

川越:収録台本には、「パオパオ〜ン!」というセリフの下にかっこ書きで何を言いたいかが書いてありました。セリフ自体は「パオパオ〜ン!」ですけど(笑)。

ーーなぜ普通のセリフではなく、「パオン」という言葉になったんですか?

川越:普通のセリフと「パオン」のどちらにするかという話をしたんですけど、すぐに「パオン」にしようと決まりました。

米村:すぐに決まりましたね。何しろ「パオン」って、可愛いじゃないですか(笑)。

多くの人から長く愛される『アンパンマン』の魅力

ーー折角なので、おふたりから見たばいきんまんの魅力についてもお聞かせください。

米村:失敗しても失敗しても、コツコツ努力を積み重ねる。世の中のお父さんみたいな感じが魅力ですね。めげずに頑張るし、いつも明るいですし。

川越:今回のばいきんまんは、絵本の世界に入って、すいとるゾウのことを聞いて、「すいとるゾウさえやっつければ、この世界はオレのものだ」と言っていたくせに、最後はそのままアンパンマンワールドに帰ってしまいます。「当初の目的はどうしたんだ?!」って(笑)。そういったライブ感というか、彼の生き方が面白いなと思っています。ハイスペックなところも魅力ですね。

ーー当たり前のように帰るという流れに違和感がないというか。個人的にも観ていて、当たり前のように受け入れてしまいました。

川越:僕も帰るところの絵コンテを描きながら、「あれ?! でも……そうだよな」と……。

一同:(笑)。

川越:絵コンテを描いている時は、時間をかけて考えているので、思い出しますが、映画を観ている人たちは、自然な流れで素直に受け取っていただいて、あとでツッコんで笑っていただければと(笑)。

ーー(笑)。これだけ長く、多くの人々から愛される『アンパンマン』という作品ですが、監督や脚本家から見て、作品の魅力はどんなところだと思われますか?

米村:やなせたかしさんの原点である「お腹の空いた人に顔のアンパンをあげる」というシーンから、物語が動き出すところ。TVシリーズで毎回やるわけではないんですけど、作品としても大切にしているところだと思います。

川越:同じですね。今作でも最初にルルンと出会った時に、お腹を空かせていて、アンパンマンが自分の顔をちぎってあげます。そこが作品の肝なのかなと思っています。

ーー最後に、ファンのみなさんへメッセージをお願いします。

米村:ルルンと一緒になって、物語の世界を楽しんでもらえたらと思います!

川越:「ウッドだだんだん、かっこいいぞ!」と伝えたいです!

ーーありがとうございました!

[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク)]

『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』作品情報

それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン

あらすじ

ある日、一冊の絵本を見つけたばいきんまん。絵本から「愛と勇気の戦士ばいきんまん、助けにきて!!」と声が聞こえ、その絵本の中に吸い込まれてしまいます。絵本の中の世界には森の妖精たちが暮らす〈大きな木の大きな森〉が広がっていて、そこでばいきんまんは森の妖精・ルルンと出会います。森で大暴れする“すいとるゾウ”をやっつけたいけど、怖がりで勇気が出せないルルンはばいきんまんにお願いします。最初は嫌がりながらも、すいとるゾウを倒すために一生懸命なばいきんまん。その姿にルルンも勇気がわいてきます。しかし、すいとるゾウの強さにばいきんまんとルルンは大苦戦!絶体絶命のピンチの中、ばいきんまんはルルンに「アンパンマンを呼んでこい!」と伝えるのでした―。果たして、アンパンマン、ばいきんまん、そしてルルンは、〈絵本の世界〉を守ることができるのでしょうか?

キャスト

アンパンマン:戸田恵子
ばいきんまん:中尾隆聖
ルルン:上戸彩
すいとるゾウ:岡村隆史

(C)やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV (C)やなせたかし/アンパンマン製作委員会2024
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