映画
『ルックバック』 河合優実×吉田美月喜が藤野・京本に覚えたシンパシー/インタビュー

夢と共に歩んでいく、ふたりの成長と青春の物語――劇場アニメ『ルックバック』藤野役・河合優実さん×京本役・吉田美月喜さんインタビュー|「生命力の塊のようなアニメーションだからこそ、瑞々しい力を絶対に受け取ってもらえると思います」

藤本タツキ先生原作の話題作『ルックバック』(集英社ジャンプコミックス刊)が劇場アニメ化、2024年6月28日(金)より全国劇場にて公開されます。

マンガへのひたむきな思いがつないだ、藤野・京本。夢を追い、互いに成長しながら、共に歩んでいくふたりを演じるのは、河合優実さん(藤野役)と、吉田美月喜さん(京本役)のおふたり。

普段俳優として活躍されているおふたりは、声だけのお芝居は初挑戦です。キャラクターへの共感やアフレコでの発見など、ふたりのインタビューを通じて、物語の魅力を紐解きます。

 

 

藤野、京本、それぞれに覚えたシンパシー

――出演が発表されてからの反響はいかがですか?

京本役・吉田美月喜さん(以下、吉田):私は結構調べてしまうタイプなんです。なにしろ、ファンの方がたくさんいらっしゃる作品が原作なので、喜んでくださる方もたくさんいる一方、プレッシャーもあります。今のわたしは何もすることができないけれど、過去の自分に祈るような感覚ですね(笑)。

藤野役・河合優実さん(以下、河合):私も普段であれば情報解禁されたらすぐに見るんですけれども、見るのが怖くて。(声優業自体)初めてのことだったので、否定的な意見があったらどうしようって、ドキドキしていました。でも、劇場アニメ化されるということに対してはすごくも盛り上がっていたので、ありがたいなって思っていました。

 

 

――それだけ人気の高い作品ですが、原作を読んでどのような印象がありましたか?

河合:私は普段、あまりマンガを読まないんですけれども、発表当時、そんな私の耳にも入るくらい話題になっていて、私もネットで読みました。

藤本さんの個人的に思っていることと、社会的に起こっていることがちゃんとリンクしているというか、良い意味でどっちにも寄っていなくて。でも、その熱量をセリフや激しい絵などの作風で押し切るわけではなく、読みすすめていく中で、読み手の心にそれが積み重なっていくというのがすごいなって思いました。

吉田:私はこの作品のオーディションで原作を知って読んだんです。その時は、藤野役・京本役といったことは決まってなくて、どちらも受けていました。でも感覚的に、私は京本目線で原作を読んでいて。

河合:へえ!

吉田:京本が藤野に憧れる、キラキラした眼差しが私にとってはすごく愛おしいし、私のそばに藤野ちゃんのような人がいたらきっと憧れるんだろうなって思っていました。

私は最近、漫画をちょこちょこと読むのですが、藤本タツキさんは絵の中で人を動かすところがすごくて。この表情を切り取るんだってところを絵にされていて、迫力のようなものを感じています。「ああ、すごい作品に出会えたし、この作品のオーディションを受けられるだけで嬉しいな」と思っていました。

 

 

――役にシンパシーを感じられた部分について、もう少しおうかがいしてもいいですか?

吉田:なんなんでしょう……私は今、いろいろなことを吸収したいと思っていて。誰かになりたいというわけではないんですけれども。まだ未熟なところがたくさんあるから、いろいろな人から話を聞いたり、影響を受けたりしたいと思っているからこそ、京本のそういう部分に共感したのかもしれません。オーディションがちょっとずつ進んでいくにつれて、京本役に絞られていった時は「京本なんだ!」と、縁を感じて嬉しくなりましたね。

――河合さんは藤野に対してどのように思っていましたか?

河合:私も今、その話を聞きながら考えていたんですが……私も最初は二役でオーディションを受けていて。マネージャーさんに「どっちの役をやりたいですか?」と聞かれたこともあったんですけど、実は私も藤野で……。

吉田:へえ!

河合:そこまで藤野と重なる経験はないんですけれども、私はわりと器用貧乏なタイプで、このお仕事をはじめるまでは、やりたいことがすごく多くて、手を出してはやめてってことが多かったんです。私も絵を描くことが好きで、ダンスもずっと習っていて。でも、そのたびに、その分野で私よりも絶対に一流に行く人を見るんです。でも、その人を憎むわけではなくて、一緒に(好きなものを)作っていける幸せも経験したことがあるので、藤野の気持ちはすごくわかるなと思いました。

――お話をうかがっていると、運命的と言いますか。作品を見ても、本当に役にピッタリだなと感じました。

河合&吉田:ありがとうございます!

河合:良かったぁ……。

吉田:そう言ってもらえると安心するね(笑)。

河合:ね!

 

 

――行間が独特の作品だったからこそ、おふたりにぴったりだなって。

河合:そう言っていただけると嬉しいです。でも不安はいつもよりあるので、公開されるまでドキドキしていますね。

――吉田さんは演じているうちに涙が出てきてしまうくらい、ふたりのキャラクターが愛しくなったというコメントを寄せられていましたが、お芝居を通して、藤野・京本に対してさらに惹かれていきました?

吉田:そうですね。声を当てる時はまだ(映像が)未完成なところもあったんですけれども、動いてる!って感動があって。それと現場で優実ちゃんとふたりで録っていると、キャラクターにどんどん命が吹き込まれている感覚をすごく感じて……。

河合:うんうん。

吉田:そこでキャラクター自身が目の前に現れてきたような気持ちになりました。今までは第三者目線で見られる部分があったけど、やっぱり自分が演じて、自分の声が入ってと、目の前で作り上げられていくその過程を見ると、ただのキャラクターではなく、もっと身近に感じて。心を動かされるシーンはたくさんありますけど、そういう場面で「はぁ」とつい涙が出てしまいました。

 

 

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