夏アニメ『真夜中ぱんチ』キャラクターデザイン＆総作画監督・有間涼太さんインタビュー｜ことぶきさんの素晴らしいキャラクター性を生かしつつ、自分なりのデザインを【スタッフ・声優インタビュー連載第3回】

P.A.WORKSの『パリピ孔明』スタッフが贈る、オリジナルTVアニメーション『真夜中ぱんチ』が2024年7月8日（月）より放送開始！　

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アニメイトタイムズでは、スタッフ＆キャストのインタビューを連載中。第3回は、キャラクターデザイン＆総作画監督を務める有間涼太さんです。アニメ『映画 五等分の花嫁』でも総作画監督も務められており、本作には、キャラクターデザイン＆総作画監督として参加されています。

なお、キャラクターデザインとして作品に参加されるのは初とのこと。どのような想いで本作に挑んだのかなどを伺いました。

挑戦的に、いろいろなことにチャレンジしたい作品だと聞き……

──本作にキャラクターデザインという立場で参加されることになった経緯を教えてください。

有間涼太さん（以下、有間）：アニメの仕事をはじめた時からお世話になっている、最初に入った会社のプロデューサーさんからP.A.WORKSさんをご紹介いただき、このプロジェクトに参加することになりました。

最初に聞いたのは「挑戦的に、いろいろなことにチャレンジしたい作品」ということでした。自分もキャリアとしても、年齢としても若い方なので、「どうですか？」と聞かれてふたつ返事でした。ちょうど元いた会社を離れてフリーになった直後ということもあって、タイミングも良かったんです。

──有間さんは『映画 五等分の花嫁』をはじめ、総作画監督、作画監督を務められていますが、今回は総作画監督のおひとりでありながらも、キャラクターデザインも担当されています。となると、また普段のお仕事とは変わるのでしょうか？

有間：わかりやすくお話できるか分からないのですが、デザインとなると、キャラクターがアニメでどのように見えるかを考え、線の描き方や陰影のつけ方、アニメーターたちが描いた線に色を付ける際、どういうグラデーションや処理を行うかなどを考慮しながらの作業になります。一言で表現すると“設計”という仕事になると思います。そういった意味で、デザインと総作画監督は、まったく違う仕事となります。

──そういう意味では、有間さんにとっても挑戦だったということでしょうか？

有間： もともと僕自身、スマホゲームなどの短いムービーや宣伝用のPVのキャラクターデザインをしていたことはありました。でも、TVアニメとなると、大勢の方が参加して作るということもありますし、作中のキャラクターの表情が自分の描いたデザインや設定を見て、皆さんが雰囲気を掴んで描き始めていきます。かなり責任重大ですし、今までとは違う緊張感がありました。

──スタッフ間では、どのようなやりとりがあったのでしょうか？

有間： 今回の『真夜中ぱんチ』に関しては、キャラクター原案のことぶきつかささんの絵がもともとある状態で始まっていて。ことぶきさんは、自分なんかよりも大ベテランで、本当にすごい方なので……ことぶきさんの良い部分をできるだけ残しつつ、自分なりに、今のアニメの中に混ざっても目に留まるようにデザインにしていきたいなと思い、そういったやり取りをさせてもらっていました。ブラッシュアップするというよりか、アシストするという意識でしたね。

──本間修監督からは、ことぶきさんには「エモすぎず、今風すぎず」というリクエストがあったそうですね。

有間：実際のところは本間監督に聞いてみないと分からないのですが……今の若い方にも馴染みやすいデザインでありつつも、懐かしいような雰囲気があるデザインなのかなと。ことぶきさんに原案をお願いしたのも、そういう意図があるのかもしれないなと思っています。

──「今のアニメの中に混ざっても目に留まるようにデザインする」というのは、ひとつキーワードのように感じました。

有間：ことぶきさんの原案は最初の段階で、かなり完成されていたんですよ。自分が最初に見たのは、色がついた状態のキャラクターだったので、キャラクターの服の線をどのように表現するかなどをアシストするような流れでした。また、もともとなかったグラデーションを自分のほうで足して、それをあとで監督たちと確認して、引き算をしていったような感じです。

また、意見を求められた時に発言をすることはありました。例えば、現在のりぶ（CV：ファイルーズあい）の髪の毛の色はハイライトとノーマルのピンクの色のみですが、デザインの段階では、一本、グラデーションの線が入っていました。そのあたりは、本間監督と話し合って、意見を出させてもらっています。

──本間監督は現場のスタッフからも厚い信頼を寄せられているそうですね。

有間：そうですね。僕が出した意見に関して、本間監督は寛容に受け止めてくれるんです。それは僕だけではなく、他のスタッフも感じていたと思います。みんなの意見を汲み取っていただいていたことは印象的でした。そうした作業が一通り終わった後は、すぐに総作画監督の仕事に入りましたね。