一目惚れから始まったタッグ結成秘話。制作現場では“健全”な殴り合いも!? 『杖と剣のウィストリア』原作・大森藤ノ先生×漫画・青井 聖先生インタビュー
青井先生が大森先生の本気を感じたシーンとは?
ーー青井先生の描写や絵力がすごいので、それに見合うシーンを描くのはかなり大変そうだなと思いました。
青井:コミック第5巻のとある魔法のシーンのプロットを頂いた時に、「大森先生はブレーキをかけないんだ」と。「こんなの描いたことないよ!」と思いながらも、頑張って描きました。それ以降も、とんでもないプロットが度々上がってきて(笑)。
こんなことを言うのは恐縮ですが、お互いに良い影響がある漫画になったら良いなと思っています。僕はいつも大森先生のプロットに引っ張り上げてもらっているので、大森先生のおかげで絵が上達している気がします。
大森:私はもう青井先生がいないと、生けていけない体になってしまいました。ただ、青井先生でも、アニメでも描かれる予定のラブコメシーンには、けっこう苦しめられていたなぁって。まずい、変な原作送っちゃったかも、ってそわそわしてました。
青井:バトルは元々好きでしたが、日常シーンは編集さんから指摘されることが多かったんです。ラブコメ回では、一歩踏み出せた感覚というか、思い出に残っている回ですね。大森先生も褒めてくださいました。
大森:本当にすごく可愛かったですよ! やっぱり青井先生はすごい! ってなりました。
ーーその経験を経て、恋愛シーンという新たな武器を手に入れたわけですね。
青井:今見返すと、反省点も多いですけど(笑)。大森先生のおかげで色々なシチュエーションに挑戦させていただけています。
ーーアニメ化のお話自体はいつ頃届いたのでしょうか?
大森:実は、コミックの1〜2巻が発売された段階で、お話をいただいていました。すごく早くて、ビックリした記憶があります。
青井:企画書を頂いたのは、令和3年の8月ですね。連載が始まったのは令和2年の12月です。
大森:こんなに早い段階から手を挙げてくださるなんて、本当にありがたいです。
ーー青井先生の絵をアニメにするのは制作サイドにとってもチャレンジだったんじゃないかなと。
大森:アニメ化のお話をいただけたのは、青井先生の絵に惹かれてだと思うんです。漫画という枠組みの中でアニメのようなことをやっているので、アニメのスタッフさんも触発されたんじゃないかなって。青井先生あってのアニメ化だと思います。
青井:(大きな声で強調するように)“いいえ”! 大森先生のおかげで、こんなに早くお話いただけたと思っています!
ーー漫画家さんにとっては、アニメ化というのは大きな出来事でもありますよね。
青井:自分は特にそうかもしれないです。元々アニメが大好きで、アニメのアクションシーンを見て漫画を描きたいと思ったので、アニメ化は大きな夢でした。加えて、いちファンとして色々な作品を拝見していた𠮷原(達矢)監督に制作していただけると聞いた時は、「夢なんじゃないか?」と。