愛情を通り越して情念が詰まった台本。非現実と共感が両立する世界観ーー『劇場版モノノ怪 唐傘』アサ役・黒沢ともよさん×カメ役・悠木碧さんインタビュー
2006年に放送された『怪 ~ayakashi~』の一編「化猫」の派生作品として2007年に制作された『モノノ怪』。スタイリッシュなキャラクターデザインや今までにない斬新な映像を生みだした一作です。
放送から15年が経った2022年には、中村健治監督自らが再び作品に向き合い、制作を指揮する劇場版企画が始動! 同時に開催されたクラウドファンディングでは多くのファンからの支援を集め、今なお色褪せない人気を証明しました。
そんな最新作『劇場版モノノ怪 唐傘』は、世を統べる“天子様”の世継ぎを産むために各地から美女・才女たちが集められた“女の園”であると同時に、重要な官僚機構でもある「大奥」が舞台。新人女中として大奥のしきたりに翻弄されるアサとカメの物語を描きつつ、その地に隠された“何か”に薬売りが立ち向かいます。
今回、監督の熱量溢れる世界観や個性豊かなキャラクターについて、アサ役の黒沢ともよさん、カメ役の悠木碧さんにお話を伺いました。
思わず圧倒される中村健治監督の熱量
ーー『モノノ怪』の世界観をご覧になっていかがでしたか?
アサ役・黒沢ともよさん(以下、黒沢):もともと『モノノ怪』シリーズが大好きだったんですよ。今作においても、絵や(中村健治)監督の熱量からくる設定の細かさに圧倒されましたし、やはりこの世界観が大好きなんだなと演じていて思いました。
カメ役・悠木碧さん(以下、悠木):アニメーション業界にものすごいセンセーションを巻き起こした作品ですよね。色々な人に「この手があったのか」と思わせながらも、今なお他の追随を許さず、圧倒的なクオリティで名を残し続けています。そんな作品が最新技術と共に映像化されることで、色彩と緻密さの迫力に飲まれてしまうんじゃないかなと。
ーーそんな今作への出演が決まった際の感想を教えてください。
黒沢:以前から監督にお会いしたいと思っていたので、オーディションに受かったときは嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
ーー中村監督と実際にお会いしていかがでしたか?
黒沢:熱量がすごくて、時間が足りないくらい沢山のお話を聞けました! 赤裸々といいますか、物語の意図を包み隠さず教えてくださって。とにかく、「こう魅せたい」「こう見えてほしい」という思いが明確にある方なんです。ただ、お話が剛速球過ぎて、和気藹々とお話する夢は叶いませんでした(笑)。
悠木:個人的にはカメ役に決まったことが意外でした。カメは、枠にはまらない、のびのびしたところが愛おしい反面、そこが煩わしいと思われてしまう人なんです。私自身、それは理解していたので、オーディションではどっちにもとれるように役と向き合っていて。結果、採用してもらえて、とても嬉しかったです。
やはりこの作品、画作りがすごいんですよね。アーティスティックで、ちょっとファンタジーといいますか、敢えて現実離れしているように作られていて。それでいて人間ドラマのリアルさみたいなものも引き立っています。そして、ほかのみなさんは生っぽいお芝居で収録に挑まれているんですけど、私が演じるカメというキャラクターはすごくキャッチーな存在なんです。どうやってみなさんのお芝居に合わせていくのか、という部分は肝だなと思ったので気合を入れて収録に臨みました。
ーーオーディションではほかのキャラクターも?
悠木:自分はアサとカメを受けました。アサが誰なのか気になっていたんですよね。
黒沢:意外でしたよね?(笑)
悠木:私たちって逆だもんね(笑)。
黒沢:そうなんですよね! 私はカメを受けていないんですけど、カメがあお様(悠木さん)だと聞いたら心強く思えて!
悠木:私はともよちゃんなら全部何とかしてくれると思ったよ(笑)。
黒沢:(笑)
悠木:それだけ心強いと思いました!