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『機動武闘伝Gガンダム』と外伝『天地天愕』の魅力について語りたい

30周年を迎えた『機動武闘伝Gガンダム』の思い出と魅力、連載がスタートした外伝『天地天愕』の注目ポイントについて語りたい

1994年4月22日から1995年3月31日にかけて放送されていたTVアニメ『機動武闘伝Gガンダム』。今年4月には30周年を迎え、今川泰宏総監督書き下ろしのストーリーテキスト『機動武闘伝Gガンダム外伝 天地天愕』の連載もスタートするなど、新しい動きも見られます。

今回はそんな『Gガンダム』の魅力や、『天地天愕』の注目ポイントを紹介していきます。

なお、本記事は『機動武闘伝Gガンダム』及び公式サイトで公開中の『機動武闘伝Gガンダム外伝 天地天愕』のネタバレを含む内容となっておりますのでご注意ください。

 

 

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機動武闘伝Gガンダム
未来世紀――荒廃しつつある地球を捨てた人類は、宇宙にスペースコロニー国家を作り生活していた。各国では宇宙での大規模な戦争を避けるため、ガンダムファイトと称し、地球をリングに各国の代表としてガンダム同士を闘わせ、優勝した国にその後4年間の主導権を与える制度を発案する。そして未来世紀60年、ガンダムファイト第13回大会が開催されようとしていた。作品名機動武闘伝Gガンダム放送形態TVアニメスケジュール1994年4月22日(金)~1995年3月31日(金)テレビ朝日ほか話数全49話キャストドモン・カッシュ:関智一レイン・ミカムラ:天野由梨マスター・アジア:秋元羊介チボデー・クロケット:大塚芳忠ジョルジュ・ド・サンド:山崎たくみアルゴ・ガルスキー:宇垣秀成サイ・サイシー:山口勝平シュバルツ・ブルーダー:堀秀行アレンビー・ビアズリー:日高奈留美ウルベ・イシカワ:飛田展男スタッフ企画:サンライズ原作:矢立肇 富野由悠季総監督:今川泰宏シリーズ構成・チーフライター:五武冬史キャラクターデザイン:逢坂浩司キャラクター協力:島本和彦メカニカルデザイン:大河原邦男 カトキハジメ 山根公利メカニックディレクター:佐野浩敏美術監督:東潤一撮影監督:大神洋一...

 

『ガンダム』シリーズの大きな分岐点となった異色作

『Gガンダム』は『ガンダム』シリーズの歴史においてめちゃくちゃ重要度が高い作品でして、今『ガンダム』シリーズといえば、『機動戦士ガンダム』から地続きとなっている「宇宙世紀」シリーズの他に、『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダム00』『機動戦士ガンダム 水星の魔女』といったオルタナティブ作品(ファンの間では「アナザーガンダム」の名称で呼ばれることが多いです)の2つの軸に分かれて展開されています。

 

 
『SDガンダム』のような派生を除くと、『Gガンダム』は最初のオルタナティブ作品といえる『ガンダム』であり、シリーズの可能性を大きく広げた作品でもあります。

よりにもよってその一発目が、「『ガンダム』同士を格闘技で戦わせて代理戦争させる」という、これ以上ないほどにぶっとんだコンセプトなのがとにかくすごい。今でも、「『ガンダム』シリーズの中で一番異色のタイトルは何か?」と聞かれたら、自分は迷わず『Gガンダム』を挙げるくらい、今でも唯一無二の個性をもつ作品なんですが、1話を見た時の当時の『ガンダム』ファンが受けた衝撃の大きさはさぞかし凄かったんだろうと思います。

 

 
一応自分もギリギリ放送リアルタイム世代ではあるんですが、まず「『ガンダム』とはこういうもの」みたいな認識が持てるような年齢でもなかったので、違和感なく受け入れられた……というよりは、子どもの頃に『Gガンダム』を見たからこそ、その後に『ガンダム』シリーズのファンになったと言えるくらいです。

やっぱり『ガンダム』って、子供にとっては内容の敷居が結構高いんですけど、『Gガンダム』はシャイニングフィンガーや石破天驚拳といった、分かりやすい“必殺技”を使ってくれるので、様々な『ガンダム』シリーズの作品の中でもとくに子供心にガッツリ刺さったんですよね。

 

 
実際学校でも結構流行っていて、頭を掴んで「ゴッドフィンガー」って言ったりするのは、普通に自分以外の子も結構やっていたのを覚えています。『SDガンダム』と並んで、『Gガンダム』から『ガンダム』を知ったという子供たちはかなり多かったんじゃないかと思います。

ただ、エキセントリックな設定や、登場するコミカルな見た目のガンダムに印象が引っ張られがちなんですけど、中身はしっかりと『ガンダム』らしさを残しているのが『Gガンダム』のすごいところでもあるんですよね。

『Gガンダム』の主人公であるドモン・カッシュは、「実の兄の裏切りによって母は死に、父は冷凍刑」「尊敬していた師匠も実は敵」という、『ガンダム』シリーズの主人公の中でもトップクラスと言ってもいい程に不幸な境遇のキャラクター。さらに『Gガンダム』の地球って度重なる戦争と環境破壊によって荒廃しきっていて、人類は地球にある種の“見切り”をつけてスペースコロニーに移住したというなかなかエグめの設定になっていて、メインのストーリーラインはかなりシリアスなんです。

 

 
ドモンにとって大きな壁となる東方不敗・マスターアジアがやろうとしている「人類を滅ぼして地球を再生させる」という目的も、『逆襲のシャア』でアクシズを落とそうとしたシャアや、『閃光のハサウェイ』でハサウェイ・ノア(マフティー)がやろうとしたことと通じる部分も多いです。

 

 
ドモン自身も、熱いハートをもったファイターではあるんですが、単純な熱血漢みたいな性格ではまったくなくて、アムロ・レイやカミーユ・ビダンのような『ガンダム』シリーズ主人公に多い、精神的にナイーヴだったり子供っぽい部分が随所に見られて、かなり味わい深いキャラクターになっています。

このドモンが様々なファイターとの戦いを通して成長していき、やがて東方不敗・マスターアジアを超えるという師弟のドラマはまさに『Gガンダム』の真骨頂とも言え、『ガンダム』シリーズの中でも屈指の“熱さ”をもった作品でもあります。

ただ『ガンダム』シリーズの常識を壊すだけではなく、世界観やキャラクター設定の本質的な部分にしっかりと『ガンダム』らしさが貫かれていたからこそ、『ガンダム』シリーズの一作として認知され、その後のシリーズの可能性を大きく広げることができたんだと思います。

 

『天地天愕』では、東方不敗・マスターアジアの姉弟子が登場!?

そんな『Gガンダム』ですが、記事冒頭でも紹介した通り、現在公式サイトでは『機動武闘伝Gガンダム外伝 天地天愕』が毎週1話ずつ公開中。

「外伝」と銘打たれてはいるんですが、結構がっつりと『Gガンダム』本編の時間軸に組み込まれたエピソードとして描かれていて、ガンダムファイト決勝戦の開会式前日(第24話 「新たなる輝き!ゴッドガンダム誕生」と第25話 「決勝開幕!ガンダムファイター大集合」の間)に起きた出来事として設定されています(ギアナ高地でゴッドガンダムに乗り換え、ネオホンコンに駆けつけた後のタイミング)。

 

 
主人公のドモンに加え、ネオアメリカ代表のチボデー・クロケット、ネオチャイナ代表のサイ・サイシー、ネオフランス代表のジョルジュ・ド・サンド、ネオロシア代表のアルゴ・ガルスキーの5人が現在のシャッフル同盟のメンバーですが、『天地天愕』では先代よりも前のシャッフル同盟だったメンバーが、デビルガンダムの力で「ダーク・シャッフル」として復活。現シャッフル同盟が紋章を受け継ぐ相応しいかを試すために、決闘を挑んで来ます。

 

 
そもそもシャッフル同盟が具体的にどういう存在なのかとか、シャッフル同盟のメンバーが国家間の代理戦争であるガンダムファイトに参加していいのかとか、本編内であまり深く語られていなかった部分を掘り下げる内容になっていて、『Gガンダム』という作品の世界観の理解をより深められそうな展開が描かれています。

また、ダーク・シャッフルの一人であるダーク・ハートこと、東方不敗・マスターアジアの姉弟子で、2代前のキング・オブ・ハートだった《独狐求敗》の活躍も目が離せないポイントの一つ。

 

 
東方不敗をもってして「生涯で唯一勝ちを得なかった」と称するほどの実力者で、白いマスターガンダムに乗りドモンたちの敵として立ちはだかるという、『Gガンダム』ファンにはたまらない、ワクワクする展開が描かれており、今後が非常に楽しみ。

もしかすると、キング・オブ・ハートになる前の東方不敗・マスターアジアの過去なんかも、今後描かれることがあるかもしれません。

 

 
30周年を迎え、なおも新しい動きを見せている『機動武闘伝Gガンダム』。それだけ本作が多くのファンに長く愛され続けたことの証明でもありますが、白いマスターガンダムの戦闘シーンとかも絵として見てみたいですし、さらなる『天地天愕』の映像化やコミカライズみたいな展開にも期待したいところです。

 

 
[文/米澤崇史]

『機動武闘伝Gガンダム』作品情報

機動武闘伝Gガンダム

あらすじ

未来世紀――荒廃しつつある地球を捨てた人類は、宇宙にスペースコロニー国家を作り生活していた。各国では宇宙での大規模な戦争を避けるため、ガンダムファイトと称し、地球をリングに各国の代表としてガンダム同士を闘わせ、優勝した国にその後4年間の主導権を与える制度を発案する。そして未来世紀60年、ガンダムファイト第13回大会が開催されようとしていた。

キャスト

ドモン・カッシュ:関智一
レイン・ミカムラ:天野由梨
マスター・アジア:秋元羊介
チボデー・クロケット:大塚芳忠
ジョルジュ・ド・サンド:山崎たくみ
アルゴ・ガルスキー:宇垣秀成
サイ・サイシー:山口勝平
シュバルツ・ブルーダー:堀秀行
アレンビー・ビアズリー:日高奈留美
ウルベ・イシカワ:飛田展男

(C)創通・サンライズ
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