ヒナコは、何かに打ち勝とうとする強さも秘めている――TVアニメ『ザ・ファブル』宇津帆編:安済知佳さん(佐羽ヒナコ役)インタビュー
2024年4月から放送中で、現在、第2クールへと突入しているTVアニメ『ザ・ファブル』。第2クールの第17話からは、南 勝久による原作漫画でも特に人気の高いエピソードの一つ「宇津帆(うつぼ)編」がスタート。大平興信所の所長で裏の顔を持つ宇津帆玲をはじめとする4人の新キャラクターのキャストも発表されている。
今回は、大平興信所の事務員兼秘書で、「宇津帆編」のヒロインでもある佐羽ヒナコを演じる安済知佳さんにインタビュー。作品やキャラクターへの思いとともに、「宇津帆編」の見どころなども語ってもらった。
血生臭い内容もあるのに、読み心地の良い作品
――『ザ・ファブル』という作品のことは、キャストとして関わることになる前からご存じでしたか?
安済知佳さん(以下、安済):『ザ・ファブル』という作品が人気だということは、もちろん存じ上げていました。実写映画になった時も、すごく話題になりましたよね。だから、いつか読んでみたいなとは思っていましたが、なかなか読む機会が無かった感じでした。
ただ、今回、佐羽ヒナコのオーディションに参加させていただけることになって、届いた資料が、オーディションで演じるシーンだけを抜粋した原作の切り抜きみたいなものだったんです。
――シナリオ形式ではなく、原作の該当ページのデータだったのですね。
安済:原作の絵は、すごくシリアスでリアリティがあったので、エンターテインメント寄りのお芝居よりも、どちらかと言えばハードボイルドな雰囲気のお芝居を求められているのかもしれないなと思ったんです。
でも、資料の中には(お笑い芸人の)ジャッカル(富岡)が出ているシーンもあったから、「絵柄はシリアスだけど、ギャグなのかな?」って分からなくなって(笑)。これは、ちゃんと読まないと(作品の空気を)掴めないなと思って、原作を1巻から読ませていただきました。
あと、今、お話ししながら思い出したのですが、オーディションのお話をいただいたのが、たしか、今年の2月か3月くらいだったんです。
――そんなに最近のことだったのですね。
安済:作品やキャラクターに関する資料は何もなかったので調べてみたら、「今年の4月から放送」と書いてあって、「え、そんなにすぐなの!」とすごく驚いたのを覚えています(笑)。それで、きっと2クールとかある作品で、ヒナコは途中から出てくるキャラクターなのだと分かり、なおさら原作を読んでおきたいなと思いました。
――原作の印象を教えてください。
安済:本当に面白すぎて、全然、読むのが止まらず、ヒナコが出るのは、9巻くらいだったんですけど、「あ、もう出てきた!」と思うくらいにスラスラと読めてしまいました。最初のシーンは、殺し屋としての仕事の現場で、そこを読むだけで“ファブル”という殺し屋が本当にヤバい存在だと分かるのに、すぐ後のシーンでは、そのシリアスな雰囲気が一気に崩れて(笑)。
――伝説の殺し屋「ファブル」こと主人公の佐藤明は、普段は天然ボケで観ていて面白いですよね。
安済:そうなんですよ。その緩急を楽しんでいるうちに、いつの間にか読み終わっていました。本当に読み心地の良い作品なんですよね。お話的には、いろいろな人の生き様とか、人間の裏の部分もしっかり描かれていて血生臭いシーンも多いのに、なぜ、こんなにも爽快に読めるんだろうって、とっても不思議でした。