仁と義一は激辛カレーみたいな組み合わせ? 原作と同じ、彼らの過程をアニメならではの熱量で味わってほしい──『黄昏アウトフォーカス』菊地原 仁役・古川 慎さん、市川義一役・中澤まさともさんインタビュー
原作の雰囲気が変わらないままのアニメに感動
――実際にアニメの映像をご覧になった感想をお聞かせください。
中澤:第1話と第2話などPVで使われる部分はしっかり収録の時点でもしっかり描き込まれていましたが、色彩が付くと感触が変わってきますね。でも原作の雰囲気は失われていなかったので感動しました。
古川:原作は陰影などベタが強いところがあるなと思っていたので、アニメではそのベタな部分がどう表現されるのかなと気になっていました。そしてアニメになると、より鮮やかな印象を受けて。モノクロのマンガがアニメになれば、そう感じるのは当たり前ですけど(笑)。第1話をいち視聴者として眺めていると、セリフのスピード感などあるかもしれませんが、見てくださっている皆さんにはすっと届いているんだなという印象があって。たぶん僕らの苦労は報われるだろうなという安心感を感じました。
中澤:マンガを読んでいる時のスピードと同じ感じでアニメを見られるかもしれないね。
古川:そうですね。黙読と同じスピードって、割と酷なことされていませんか?(笑)
中澤:それくらいの詰め込み感はあったよね。
――映画部を舞台にした作品ということで、専門用語が使われてたり、映画撮影時の映像演出も多々ありますね。
中澤:原作でも、例えば我々がフィーチャーされた『残像スローモーション』では、「スロー、スロー。1秒960コマの高速撮影」というモノローグのリフレインとか、映像表現もそちらに寄っていると思いますし、真央と寿がフォーカスされた『黄昏アウトフォーカス』のラストシーンも映像的に気合いが入っているはずです。原作で、言葉で表現していたものを改めて映像化する、みたいなところの美しさは映像を題材にした作品であり、アニメならではかもしれませんね。
――映画は今デジタル撮影が主流ですが、アナログ8ミリ的な演出もいいですね。
中澤:この取材の時点ではまだ見られていませんが、次回予告もそうなっているそうなので、オンエアで見るのが楽しみです。
――じゃのめ先生から質問を預かっています。「演じられているキャラのように、もしお互い寮で同室になったらどんな生活になりそうですか?」
中澤:どうなるんだろう?
古川:たぶん、あまり寮に帰らないと思います。僕はなるべく一人の時間が欲しいタイプなので。
中澤:じゃあ一人部屋になるために、3年で優秀な成績修めないと(笑)。
古川:もしくはマクドナルドにずっといるとか。
中澤:じゃあ点呼は代返しとくから。
古川:ありがとうございます。そういうことをしてくれると嬉しいので、おみやげは買ってきます。マックのベーコンポテトパイとか(笑)。
中澤:僕もマイペースだからなあ。寮生活をしたことがないからわからないけど。
古川:同室になってホテル暮らしと考えても、あの広さ感なわけですよ。四六時中一緒にいるってキツいと思うんです。
中澤:キツいね。僕も寝る以外は部屋にほとんどいないかもしれない。
古川:でも食事に行くことはあると思うんです。「一緒にご飯を食べに行きましょうよ」って……部屋っていうのがよくないですね。抵抗感がすごい。
中澤:同じ部屋だからね。
――では高校時代だったらアリ?
古川:よりダメだと思います! 思春期真っ盛りの高校生なんて、よりダメだと思いますよ。何を考えて高校生だったらと言ったんですか?(笑)
中澤:僕は高校時代だったらどうだろう? やっぱり相手次第だよなあ。
古川:例えば、そこに『モンハン(モンスターハンター)』のソフトとゲーム機があったらずっといられるかもしれない。なければ厳しいかも。共有できる何かがあれば一緒にいられると思うけど。
中澤:だから寮の一部屋に一台、『(ニンテンドー)スイッチ』は必要だよね。ということで寮生活に向いていない二人です(笑)。
二人が今ハマっているのは「YouTube配信」と「鼻うがい」!?
――作中では義一がBL作品にハマっていて、仁に強く勧めるシーンがありましたが、お二人が今ハマっていることは?
中澤:YouTubeの視聴と配信です。
古川:何の配信しているんですか?
中澤:アクションフィギュアでいろいろな動きを付けて遊んだり、プラモデルをただ静か~に作ったり。派手なことはまったくしてないよ。
古川:寝落ち通話みたいなものですか?
中澤:そうそう。マイペースな雑談配信みたいなのをずっと続けてる。配信していて最近は緊張しなくなりました。あと人がどういうふうに配信しているかなと勉強するためによく他の方の配信も視聴しています。
――最近よく視聴されているチャンネルは?
中澤:結構、参考にしているのは「某四人のチャンネル」です。あとはゲーム実況されている方のチャンネルを見たりしています。「ずっとしゃべり続けることってこんなに大変なんだ」と思いながら。
古川:VTuberとかやらないんですか? 中の人が中澤さんとわからない状態でやるのはおもしろそうです。
中澤:……それもやってみたいし(笑)、自分だけの映像も作ってみたい。
――古川さんはいかがですか?
古川:僕は鼻うがいですね。気持ちいいんです。
中澤:マジで!? めっちゃ痛いじゃん!
古川:僕は水道水に塩を混ぜてぐちゃぐちゃ振って、生理食塩水を作る方法は、量を間違えそうで怖くてできないんです。だから市販の鼻うがい薬を使ってやっていますが、無限にできるんじゃないかなと思うくらい、気持ちよくて、全然痛くないんです。
中澤:いい配分なんだね。
――鼻うがいを始めたきっかけは?
古川:花粉が飛ぶ時期ですね。当時は「この鼻をもいでやろうか」と思うほどつらかったけど(笑)、こんなに簡単に解消する方法が身近にあったのかと。それでも鼻水は出るけど、それに対しては善玉菌ヨーグルトドリンクという強い味方があるので。併用していると、いつの間にか花粉の季節が終わって、「もう治ったかな」という誤解を今しているところです。
中澤:アレルギーは体の中のせめぎ合いで、年ごとに勝つかもしれないし、負けるかもしれない、みたいなところがあるからね。
古川:異物と判断した上で、どう動くか、ですからね。
原作のセリフそのままで、映像と声と演出が付いた『黄昏』アウトフォーカスを安心して楽しんでください
――では、皆さんへメッセージをお願いします。
古川:マンガを読まれたり、ドラマCDを聴いてくださった方もいらっしゃると思いますが、原作が1つ目の矢、ドラマCDが2つ目の矢、そしてアニメ化で3つ目の矢と、これだけ矢継ぎ早に出てくる作品はなかなかないことなんじゃないかなと思っています。もしかしたら原作やドラマCDから大きく変わってしまうのではないかと心配や不安を抱かれている方もいらっしゃると思いますが、基本的にアニメのセリフは原作を忠実に移植して描かれています。
今まで皆さんが愛してくださった『黄昏アウトフォーカス』シリーズに映像と声と演出がついて楽しんでいただける形になっています。だから安心して楽しんでいただきたいですし、仁と義一も原作と同じ過程をたどっていきますので(笑)。アニメならではの尺感の熱量やふと落ち込んだ時の気持ちなど、マンガやドラマCDとは違った楽しさがあると思います。既にご覧になっていただいている方は引き続き、まだの方は配信などで第1話から視聴していただけたら嬉しいです。
中澤:まったく同じ素材からマンガ、ドラマCD、アニメになることで、それぞれの楽しみ方の違いを感じていただけると思います。各エキスパートが『黄昏アウトフォーカス』という作品を表現しているので、それぞれ楽しんでください。アニメであれば時間の使い方や絵でフォーカスするポイント、ピントの合わせ方やあえてはずしているところがあります。こだわりの数々をアニメでたっぷり堪能してください。
TVアニメ『黄昏アウトフォーカス』作品情報
あらすじ
男子校の映画部を舞台に交差する、きらきら眩しい三組三様の青春恋愛譚(ラブストーリー)。
不良で一匹狼の寿と、映画部で寿を撮影することになった真央。寮で同室の二人が交わした「約束」が、やがて二人を甘く縛りつけて――。
映画部部長で人気者の仁と、仁に対抗心を燃やす後輩の義一。ぶつかりながらも、やがて二人は惹かれ合い――。
無口で不愛想だが信頼の厚い副部長の礼と、季節外れの新入部員・詩音。
不意のキスから、二人の「お付き合い」が始まって――。
スタッフ
原作:じゃのめ『黄昏アウトフォーカス』『残像スローモーション』『黄昏アウトフォーカスoverlap』『宵々モノローグ』(講談社「ハニーミルク」所載)
監督:渡部穏寛
シリーズ構成:成田良美
キャラクターデザイン:菊地洋子
美術監督:山梨絵里
色彩設計:安住唯
撮影監督:越山麻彦
編集:小池祐樹
音響監督:矢野さとし
音響効果:奥田維城 牛黒希美
音響制作:Ai Addiction
音楽:宝野聡史 中野香梨
音楽制作:AQUA ARIS
アニメーション制作:スタジオディーン
主題歌 OP:「クランクアップ」山崎育三郎
ED:「Unchain×Unchain」Amber’s
キャスト
土屋真央:松岡禎丞
大友寿:内田雄馬
菊地原仁:古川慎
市川義一:中澤まさとも
稲葉礼:江口拓也
吉乃詩音:斉藤壮馬
加賀利ルナ:市川蒼
加賀利テル:柳晃平
本條雪孝:大塚剛央
千秋 実:佐藤元
土谷功緒:田所陽向
ルディ:内匠靖明
九条桐斗:伊東健人