全力でバンド活動に打ち込む高校生たちの青春&音楽奮闘ドラマ──漫画『ふつうの軽音部』のふつうじゃないポイント3つを紹介!
ふつうじゃないポイント②:ギターや軽音部を続ける特別な原動力を持たない主人公
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本作において、主人公がギターや軽音部を続ける原動力はいたってふつうです。
それは「好きだから」、「やってみたいから」といったシンプルなもので、読者である私たちと同じ。
その点を描いていることは、逆にふつうではありません。
他作品でよく見られるのが、過去の衝撃的な出来事や特別な才能があって、主人公がギターをやっているというもの。
ふつうなら主人公には何かに取り組む強烈な原動力が用意されているところですが、本作の主人公である鳩野はそうした特別な原動力を持っていないのです。
父親がきっかけで邦ロックと出会った鳩野は、中学生の頃に家庭の事情で母親と2人で川崎から大阪へと引っ越してきました。
大阪で過ごした中学時代、同級生に自分の歌声を笑われた経験はトラウマとなり、鳩野は歌いたい気持ちに蓋をしてしまいます。
しかし、こうした過去の経験に後押しされ、鳩野はギターを始めたわけではないし、軽音部に入ったわけでもありません。
鳩野を突き動かすのは、邦ロックに対するシンプルな気持ちなのです。
作中では、自分の歌声にコンプレックスを持つ鳩野が、夜の視聴覚室に設置されたステージで一人熱唱する場面が象徴的です。
憧れていたバンドのように、自分も歌ってみたい。そうした衝動が鳩野をマイクスタンドの前に立つよう、駆り立てます。
大反響の青春ドラマ新連載
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『ふつうの軽音部』
第8話「弾けないギターを弾く」配信🎊
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あなたにも「何となく好きだから」、「やってみたいから」と思って、取り組んでいることはありませんか?
これといった理由はないけれど、それでもやってしまうような何かが。
鳩野がギターと向き合う原動力は、何ら私たち読者と変わりません。
そんな姿に共感できるし、がむしゃらにギターと格闘する鳩野を、私たちは応援せずにはいられなくなるのです。
ふつうじゃないポイント➂:物語を動かす「ふつう」じゃない策士の存在
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本作には、明らかに「ふつう」とはかけ離れたキャラクターが登場します。
彼女こそが主人公と一緒にバンドを組むベース担当の少女・幸山厘(こうやまりん)です。
ショートヘアでおっとりした印象を与える厘ですが、作中では物語を動かす役割を担っており、自分の思惑通りに物事を進めるべく様々な策を講じます。
その姿はまさに策士と言って差し支えありません。
鳩野が一緒に部活でバンドを組んでくれる人を探していた矢先、同じクラスの友人を介して出会ったのが厘。
当初は鳩野と共に男女4人組バンドを結成したものの、夜の視聴覚室で熱唱する鳩野の姿を目撃したのを機に、鳩野がボーカルのバンドを新たに作るべく暗躍し始めます。
誰よりも軽音部内の人間関係に詳しく、人間観察も怠らない厘の手にかかれば、人の心を意のままに操るのも何のその。
「機が熟した」と目を輝かせて厘が口にした時には、必ず物語に新たな動きが生まれます。
ふつうの軽音部第12話「バンドが解散する」配信されました。機は熟した!!
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後に軽音部では様々なバンドで人間関係の問題が噴出し、鳩野が厘と活動していた前身バンドは自然消滅。
こうした問題に火を付けていたのが厘で、軽音部内の人間関係があれよあれよと変わっていく様には、どこかサスペンス的なものを感じるかもしれません。
彼女の思い通りに物事が進んでいくのは怖くなるほどで、厘はどこまで先を見通して行動しているのか?本当に高校生?といった疑問が頭を埋め尽くします。
そんな厘が普段から鳩野を神とあがめる態度は筋金入りで、周りが見えなくなってしまうこともしばしば。
ぶっ飛んだ厘の存在は、本作の最もふつうじゃないポイントかもしれません。
最後に
連載を重ねるたびに、ファンを着実に増やしている『ふつうの軽音部』。全力で部活動に打ち込む高校生たちのドラマは、私たち読者を魅了してやみません。
自身の衝動に従いギターの練習やバンド活動に励む鳩野の姿は、見る者の心にきっと熱い感情を呼び覚ましてくれるはず。
何かやってみたいことがあれば、理由なんてなくてもいい。衝動のままに取り組んでみてもいいのだと背中を押してくれます。
コミックはまだ2巻までしか出ていないので、すぐに最新話まで追いつけますし、少しでも興味を抱いた方は、ぜひ本作に触れてみてください!
いつもと変わらない「ふつう」の日常が、昨日よりちょっとだけ輝いて見えるかもしれません。
[文/シモヤマ ヨウ]