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夏アニメ『逃げ上手の若君』弧次郎役・日野まりが語る演じる難しさと衝撃を受けたディレクション【連載05】

「弧次郎ってそんな簡単に吹き飛ぶかな? 悔しくてすぐ戦闘態勢に入らない?」悩み苦労した分思い入れあるキャラクターに|TVアニメ『逃げ上手の若君』連載第5回:弧次郎役・日野まりさんインタビュー

 

弧次郎は若に出会えて人生が変わった

――悩みながら演じたという弧次郎。改めて、日野さんは彼をどういう人物だと捉えていますか?

日野:先ほども言いましたが、弧次郎には色々な面があるので、一言で表すのは難しいです。ただ、若に出会えて人生が変わった人物のひとりだとは思います。彼は幼い頃から生き残るために修業してきましたが、その力を仕えるべき主であり、かつ親友みたいに寄り添ってくれる存在でもある若を守るために使えるようになりました。

弧次郎は、アニメでは特に若の相棒という面を強調したいというお話がスタッフの方からあったので、やはり、若の右腕みたいな存在なのかなと思っています。

 

 

――先ほど日野さんからもお話がありましたが、ちょっと大人な面もありますよね。

日野:ですね。精神力がめっちゃ強い。これから若を守る仲間が増えていくなかで、彼が「自分の出る幕がないんじゃないか」と思い悩むシーンもあるんです。でも、それを外にあまり出さずに、淡々と自分の仕事を全うしようとするんですよね。そういう面が大人だなと思いました。カッコいいです。

――仕える主となった時行への印象もお聞かせください。

日野:人間って、この世に生まれ落ちた瞬間は、みんなピュアな魂を持っていると思うんです。でも、色々なことに触れてひねくれたり、ちょっと歪んじゃったりすることもあるじゃないですか。信頼していた幕臣に裏切られてすべてを失った若だって、闇落ちしてもおかしくないんですよ。

でも、若はとても純粋な魂を持ったままでいるんです。できないことをちゃんと「できないから助けて欲しい」と言える素直さと勇気があって、「ありがとう」と感謝も伝えられる。ひねくれてないですよね。そういう人だからこそ、自然と手を差し伸べたくなるんだと思います。

――そういう自然と手を差し伸べたくなる時行は、予測できない行動をとりながらも人を惹きつける魅力を持つ尊氏とは、また違ったカリスマ性を持っているのかもしれません。

日野:確かに!尊氏は人を寄せ付けない孤高のカリスマみたいな雰囲気もありますもんね。対して若はやりたいことがむき出しというか。だから心配で、守りたくなるんです。でも、ただ守られるだけなら、ここまで味方になってくれる人はいないはず。率先して「一緒に戦いたい」という意識を高めてくれる存在だから、みんなが「一緒にいたい」と思うんでしょうね。尊氏との対比という意味でも、若はすごく美しい主人公なのかもしれません。

 

 

――演じる結川さんのお芝居には、どのような印象をお持ちですか?

日野:私、第一回のアフレコを見学していたときに、「おい」「こら。死んだらどうする」というセリフの「おい」という第一声を聞いて、鳥肌が立っちゃって。あの瞬間に、「結川ちゃんって時行なんだな」と思いました。私にはもうできないお芝居をしています。

「1000本ノックを受けた」というお話が先ほどありましたが、恐らく、セリフの意図とかが間違っていたことはあまりなくて。「こういう感じに聞こえるから、もっとこうしたほうがいいよ」というようなディレクションが多かった気がします。

――なるほど……!

日野:それって、実はとてもすごいことなんですよね。なかなかできることじゃない。彼女のなかでは悩みながら演じている部分もたくさんあったでしょうけれど、それも含めてそのまま結川ちゃんが出したものが正解だったんじゃないかと思います。

――日野さんは、現場を俯瞰して見られているんですね。

日野:そう言われると、恥ずかしいですね(笑)。でも忘れたくないんです、一瞬、一瞬を。こういう生で芝居を感じられる場所にいさせていただけて、ありがたいです。

 

逃げるより道半ばで目的を果たせなくなるほうが、よくない気がします

――本作では結川さんをはじめ、逃若党のメンバーとかけ合う機会が多かったとお聞きしました。アフレコ現場全体の雰囲気はいかがでしたか?

日野:収録中は緊張感があって、みんな台本に集中していました。でも、和気あいあいとはしていましたね。ある日の収録終わりに、逃若党のメンバーとご飯に行ったんですよ。そのとき、吹雪役の戸谷(菊之介)くんが会話の要所、要所でボケてきて(笑)。収録中はそんなことなかったので、こんなにボケる人なんだと驚きました。そういう思い出も含めて、楽しい収録でしたね。

 

 

――魅力的なキャラクターが多数登場する本作。日野さんがお気に入りのキャラクターを教えてください。

日野:ここまでの物語のなかでなら、(小笠原)貞宗様と(市河)助房様です。急に出てきて注目をかっさらって行って、ズルいです(笑)。演じるお二人の芝居が素晴らしいこともあって、アニメでより人気が出るキャラクターなんじゃないかな。あとはクライマックス付近で登場するおっさん3人組も好きですね。原作全体を通してだったら、北畠顕家さんが大好きです。

――今挙げていただいたキャラクターは、私も総じて大好きです。本作は「逃げる」という言葉がキーワードです。日野さんは「逃げる」にどういう印象をお持ちでしたか?

日野:私、後輩から相談を受けたとき「逃げちゃえ、逃げちゃえ。それ以外の道を探せばいいじゃん」とよく言うんですよ。

ゴールまでの正規ルートがあるけれど、その道が苦手だな、辛いなと思うことってあるじゃないですか。そんなときに逃げ道があるなら、そっちを選んでもいいと私は思っていて。逃げた先が目的とは全然違うものだったらダメですが、最終的にたどり着けるなら逃げるという選択もありだと思います。逃げるより道半ばで目的を果たせなくなるほうが、私はよくない気がしますね。

――確かに、結果的に目的が達成できるなら「逃げる」という選択もありですよね。本作は史実を題材にした作品ですが、日野さんは歴史の勉強はお好きでしたか?

日野:歴史というか、勉強自体が得意ではありませんでした。ただ子供の頃に本を買ってもらったことがあったからか、源平合戦あたりが好きで、テストでも点数がよかったんです。

鎌倉幕府って、滅亡が1333年5月22日だって言われているじゃないですか。で、アニメ第一回のサブタイトルも「5月22日」なんですよね。それも印象的ですし、私自身、5月22日が誕生日ということもあって、すごく縁を感じました。

 

 

――そんな縁を感じている本作の魅力や推しポイントを語っていただければと思います!

日野:松井先生の作品は、シリアスとコミカルの緩急が凄まじい。シリアスな場面でも鋭角にコミカルな要素が入ってきて、重くならずに物語を見られるんですよね。本作を通じて、時行が生きた時代に興味を持つ人も増えると思います。

あとは画面の華やかさも好きですね。キャラクターそれぞれが色濃く、きっちり描かれているんです。作業がすごく細かくて、ページをめくるのがすごく楽しみになります。そういったところも好きですね。

――そしてアニメではその華やかさがより出ている。

日野:第一回を見て、もともと華やかだった絵に色が付くとこんなふうになるのかとビックリしました。今後の放送も楽しみです!

 
[取材&文・M.TOKU]

 

作品概要

逃げ上手の若君

◆放送情報
2024 年 7 月 6 日より毎週土曜日 23:30~TOKYO MX・BS11 ほかにて放送開始!

【放送局】
TOKYO MX 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 23:30~
とちぎテレビ 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 23:30~
群馬テレビ 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 23:30~
BS11 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 23:30~
MBS 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 26:08~
RKB 毎日放送 7 月 9 日(火)より 毎週火曜 25:58~
長崎文化放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:18~
宮崎放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:26~
愛媛朝日テレビ 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:50~
HTB 北海道テレビ 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:55~
テレビ新潟 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:59~
中京テレビ 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:59~
北陸放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 26:00~
静岡放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 26:15~
大分放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 26:25~
IBC 岩手放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 26:28~
テレビユー福島 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 24:59~
鹿児島放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:20~
琉球朝日放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:20~
さくらんぼテレビ 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:25~
東日本放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:31~
信越放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:42~
秋田朝日放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:50~
青森放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:54~
RSK 山陽放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:55~
広島テレビ 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:59~
テレビ山口 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 26:00~
チューリップテレビ 7 月 12 日(金)より 毎週金曜 25:53~
熊本放送 7 月 12 日(金)より 毎週金曜 25:53~
テレビ山梨 7 月 12 日(金)より 毎週金曜 26:55~
アニマックス 7/27(土) 毎週土曜 20:30~
リピート:7/28(日) 毎週日曜 9:30~

【配信】
▼7 ⽉ 6 ⽇(⼟) 24:00〜 毎週⼟曜⽇ 24:00〜
Prime Video

▼7 ⽉ 9 ⽇(⽕) 12:00〜 毎週⽕曜⽇ 12:00〜
d アニメストア/d アニメストア/FOD/ABEMA/U-NEXT/アニメ放題/バンダイチャンネル/Hulu/Lemino/Netflix/TELASA
(⾒放題プラン)/J:COM STREAM(⾒放題)/au スマートパスプレミアム/milplus ⾒放題パックプライム/DMM
TV/WOWOW オンデマンド/アニメタイムズ/Disney+/
※配信⽇時は編成の都合等により変更となる場合がございます。予めご了承下さい。

◆スタッフ
原作 : 松井優征(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督 : 山﨑雄太
シリーズ構成 : 冨田頼子
キャラクターデザイン・総作画監督: 西谷泰史
副監督 : 川上雄介
プロップデザイン : よごいぬ
サブキャラクターデザイン : 高橋沙妃
色彩設計 : 中島和子
美術監督 : 小島あゆみ
美術設定 : taracod/takao
建築考証 : 鴎 利一
タイポグラフィ : 濱 祐斗
特殊効果 : 入佐芽詠美
撮影監督 : 佐久間悠也
CG ディレクター : 有沢包三/宮地克明
編集 : 平木大輔
音響監督 : 藤田亜紀子
音楽 : GEMBI/立山秋航
音響効果 : 三井友和
制作 : CloverWorks

◆キャスト
北条時行 : 結川あさき
雫 : 矢野妃菜喜
弧次郎 : 日野まり
亜也子 : 鈴代紗弓
風間玄蕃 : 悠木 碧
吹雪 : 戸谷菊之介
諏訪頼重 : 中村悠一
足利尊氏 : 小西克幸

◆イントロダクション
少年は逃げて英雄となる―――
鎌倉幕府滅亡から始まる一人の少年の物語
『魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室』の松井優征が描く、「週刊少年ジャンプ」で大人気連載中の歴史スペクタクル漫画がついにアニメ化!

鎌倉幕府滅亡の後、北条家の生き残り・北条時行が動乱の世を駆け抜ける!アニメーション制作は『ぼっち・ざ・ろっく!』などを手掛ける「CloverWorks」が担当、監督は『ワンダーエッグ・プライオリティ』で副監督を務めた山﨑雄太、シリーズ構成に『その着せ替え人形は恋をする』の冨田頼子、キャラクターデザインに『劇場版ポケットモンスター ココ』で総作画監督を務めた西谷泰史など奇才たちが集結し、美麗かつ迫力の映像で歴史の一片を紡ぐ!

◆プロローグ
時は西暦 1333 年、武士による日本統治の礎を築いた鎌倉幕府は、信頼していた幕臣・足利尊氏の謀反によって滅亡する。
全てを失い、絶望の淵へと叩き落とされた幕府の正統後継者・北条時行は、神を名乗る神官・諏訪頼重の手引きで燃え落ちる
鎌倉を脱出するのだった......。逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で、信頼できる仲間と出会い、鎌倉奪還の力を蓄えていく時行。
時代が移ろう大きなうねりを、「戦って」「死ぬ」武士の生き様とは反対に「逃げて」「生きる」ことで乗り越えていく。
英雄ひしめく乱世で繰り広げられる、時行の天下を取り戻す鬼ごっこの行方は――。

◆WEB
公式サイト:https://nigewaka.run
公式 X :@nigewaka_anime (推奨ハッシュタグ:#逃げ若)

◆原作情報
既刊1~16 巻 発売中(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)

 

(C)松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
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