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夏アニメ『逃げ上手の若君』立山秋航に聞く劇伴制作秘話

「逃げ」を披露するところで流れる曲はアフリカ音楽を取り入れると面白いかもという話になりまして|TVアニメ『逃げ上手の若君』連載第7回:劇伴制作担当・立山秋航さんインタビュー

 

第一回ラストで流れる楽曲は「自分に酔っているように聞こえる」と指摘がありリテイクしました

――本作の劇伴は、キャラクターとシナリオどちらに付けるものが多かったですか?

立山:圧倒的にストーリーやシーンに付けるものが多かったですね。時行の曲なども作りましたが、それも時行の曲としてよりかは、彼の心情を表現したものなんです。

――その時行の心情を表現した曲というのは、どこで流れますか?

 

 
立山:第一回のラストで諏訪頼重の馬に乗りながら時行が「あなたのせいで生きる喜びにときめいてしまった」というシーンです。あそこで流れる楽曲を最初に制作したとき「ちょっと歌い過ぎている。自分に酔っているように聞こえるので、もっと抑えてください」という指摘がありました。

僕が最初に書いた曲は、アニメ的にデフォルメ化し過ぎていたんですよね。分かりやすく時行が悲しんでいるという表現で書いていました。そうではなくて、ちょっと俯瞰で彼のことを見ているような曲にして欲しいというリクエストがあり、リテイクしたんです。

――お話を聞いていて、アニメも音楽も、ひとりで作っている訳じゃないと言うのがよく分かります。

立山:そうですね。まだ経験が浅かったころは、自分が音楽を作るということしか見えておらず、作った音楽がどう使われるのか、どういう意図で発注が来たのかを考える力がありませんでした。それが経験を積めば積むほど考えられるようになってきて。やはりアニメは総合芸術だなと思います。誰かの意図が思った通りに進むこともあれば、思った通りに進まなくて「いや、でも面白いものになったぞ」となることもある。それが、モノづくりの面白いところですよね。

 

いらないと思った情報からあえて「逃げる」のは、現代人にとって重要なスキル

――本作は「逃げる」という言葉がキーワードです。立山さんは「逃げる」にどういう印象をお持ちでしたか?

立山:「逃げる」というのは、取捨選択することだと思います。僕自身は「逃げる」ことが現代では実は大事なことだと思っていまして。今の世の中は昔に比べて、あらゆる情報が手に入る時代になりました。

ネットやSNSでは、知らなくてもいい情報が山のように流れてきます。しかも、そのひとつひとつが刺激的で、面白そうな情報ばかりなんですよ。加えて、周りが知っているから自分も知っておかないとダメだという気持ちになりがちな気もしています。

――確かに、そうかもしれません。

立山:「自分も知っていなきゃ」という追い込みは、すごくストレスになると思います。だから、これは今の自分にはいらないと思った話や情報からあえて「逃げる」のは、現代人にとって重要なスキルなのかもしれません。情報化社会のなかで情報から距離を置くと言う意味で「逃げる」というのは、実はすごく大事なことなんじゃないかな。

 

 

――自分にとって必要じゃない情報もありますからね。

立山:自分の身の周りにある情報の9割近くは、実は必要じゃないのかもしれません。でも周りが知っていたら、あたかも必要だという風に思えちゃう。決してそんなことはないと思うんですけどね。

――ネットやSNSが今のように発達していない時代がありましたが、普通に暮らしていましたよね。そう思うと、別にそれらがもたらす「情報」はなくても、生活していくことはできるのかなと。

立山:おっしゃる通りだと思います。

――本作は歴史を題材にした作品ですが、立山さんは歴史の勉強はお好きでしたか?

立山:好きじゃなかったですね。学生の頃は歴史の授業が暗記ばかりで、面白くなかったです。テストもひとつでも多く単語を覚えた人の点数がいいみたいな感じでした。でも、歴史って本当はすごく面白いものなんですよね。今はすごく興味があります。

――本日は貴重なお話ありがとうございました。最後に、関わってみて改めて感じた『逃げ上手の若君』の魅力を教えてください。

立山:シリアスもありギャグもありと、すごく色々な要素がありますよね。原作を読む時からそう感じていましたが、アニメになってよりその点が強調されていると思いました。歴史に全然興味がなくても、主人公の成長に着眼点を置いて楽しめる作品です。音楽もそういう作品の魅力に合わせて、バラエティに富んだものになりました。ぜひアニメを最後まで楽しんでいただければと思います。

 
[文・M.TOKU]

 

作品概要

逃げ上手の若君

◆放送情報
2024 年 7 月 6 日より毎週土曜日 23:30~TOKYO MX・BS11 ほかにて放送開始!

【放送局】
TOKYO MX 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 23:30~
とちぎテレビ 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 23:30~
群馬テレビ 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 23:30~
BS11 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 23:30~
MBS 7 月 6 日(土)より 毎週土曜 26:08~
RKB 毎日放送 7 月 9 日(火)より 毎週火曜 25:58~
長崎文化放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:18~
宮崎放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:26~
愛媛朝日テレビ 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:50~
HTB 北海道テレビ 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:55~
テレビ新潟 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:59~
中京テレビ 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 25:59~
北陸放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 26:00~
静岡放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 26:15~
大分放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 26:25~
IBC 岩手放送 7 月 10 日(水)より 毎週水曜 26:28~
テレビユー福島 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 24:59~
鹿児島放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:20~
琉球朝日放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:20~
さくらんぼテレビ 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:25~
東日本放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:31~
信越放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:42~
秋田朝日放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:50~
青森放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:54~
RSK 山陽放送 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:55~
広島テレビ 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 25:59~
テレビ山口 7 月 11 日(木)より 毎週木曜 26:00~
チューリップテレビ 7 月 12 日(金)より 毎週金曜 25:53~
熊本放送 7 月 12 日(金)より 毎週金曜 25:53~
テレビ山梨 7 月 12 日(金)より 毎週金曜 26:55~
アニマックス 7/27(土) 毎週土曜 20:30~
リピート:7/28(日) 毎週日曜 9:30~

【配信】
▼7 ⽉ 6 ⽇(⼟) 24:00〜 毎週⼟曜⽇ 24:00〜
Prime Video

▼7 ⽉ 9 ⽇(⽕) 12:00〜 毎週⽕曜⽇ 12:00〜
d アニメストア/d アニメストア/FOD/ABEMA/U-NEXT/アニメ放題/バンダイチャンネル/Hulu/Lemino/Netflix/TELASA
(⾒放題プラン)/J:COM STREAM(⾒放題)/au スマートパスプレミアム/milplus ⾒放題パックプライム/DMM
TV/WOWOW オンデマンド/アニメタイムズ/Disney+/
※配信⽇時は編成の都合等により変更となる場合がございます。予めご了承下さい。

◆スタッフ
原作 : 松井優征(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督 : 山﨑雄太
シリーズ構成 : 冨田頼子
キャラクターデザイン・総作画監督: 西谷泰史
副監督 : 川上雄介
プロップデザイン : よごいぬ
サブキャラクターデザイン : 高橋沙妃
色彩設計 : 中島和子
美術監督 : 小島あゆみ
美術設定 : taracod/takao
建築考証 : 鴎 利一
タイポグラフィ : 濱 祐斗
特殊効果 : 入佐芽詠美
撮影監督 : 佐久間悠也
CG ディレクター : 有沢包三/宮地克明
編集 : 平木大輔
音響監督 : 藤田亜紀子
音楽 : GEMBI/立山秋航
音響効果 : 三井友和
制作 : CloverWorks

◆キャスト
北条時行 : 結川あさき
雫 : 矢野妃菜喜
弧次郎 : 日野まり
亜也子 : 鈴代紗弓
風間玄蕃 : 悠木 碧
吹雪 : 戸谷菊之介
諏訪頼重 : 中村悠一
足利尊氏 : 小西克幸

◆イントロダクション
少年は逃げて英雄となる―――
鎌倉幕府滅亡から始まる一人の少年の物語
『魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室』の松井優征が描く、「週刊少年ジャンプ」で大人気連載中の歴史スペクタクル漫画がついにアニメ化!

鎌倉幕府滅亡の後、北条家の生き残り・北条時行が動乱の世を駆け抜ける!アニメーション制作は『ぼっち・ざ・ろっく!』などを手掛ける「CloverWorks」が担当、監督は『ワンダーエッグ・プライオリティ』で副監督を務めた山﨑雄太、シリーズ構成に『その着せ替え人形は恋をする』の冨田頼子、キャラクターデザインに『劇場版ポケットモンスター ココ』で総作画監督を務めた西谷泰史など奇才たちが集結し、美麗かつ迫力の映像で歴史の一片を紡ぐ!

◆プロローグ
時は西暦 1333 年、武士による日本統治の礎を築いた鎌倉幕府は、信頼していた幕臣・足利尊氏の謀反によって滅亡する。
全てを失い、絶望の淵へと叩き落とされた幕府の正統後継者・北条時行は、神を名乗る神官・諏訪頼重の手引きで燃え落ちる
鎌倉を脱出するのだった......。逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で、信頼できる仲間と出会い、鎌倉奪還の力を蓄えていく時行。
時代が移ろう大きなうねりを、「戦って」「死ぬ」武士の生き様とは反対に「逃げて」「生きる」ことで乗り越えていく。
英雄ひしめく乱世で繰り広げられる、時行の天下を取り戻す鬼ごっこの行方は――。

◆WEB
公式サイト:https://nigewaka.run
公式 X :@nigewaka_anime (推奨ハッシュタグ:#逃げ若)

◆原作情報
既刊1~16 巻 発売中(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)

 

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