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「KENPROCK Festival 2024」増元拓也、三川華月、大熊和奏インタビュー

賢プロダクション主催「KENPROCK Festival 2024」開催記念! 増元拓也さん、三川華月さん、大熊和奏さんインタビュー|声優事務所の中でも賢プロは熱い体育会系!?【前編】

日本を代表する声優事務所・賢プロダクションが今年で40周年。そんな記念すべき年に伝説のミュージックライブが帰ってくる……! それがライブイベント「KENPROCK Festival 2024(以下、KENPROCK)」です!

2024年11月2日、3日の2DAYSでLINE CUBE SHIBUYAにて開催される「KENPROCK」には、賢プロダクションを代表する声優、アーティストが出演し、40周年をお祝いします。

アニメイトタイムズでは、「KENPROCK Festival 2024」の開催を記念して、賢プロダクションに所属する声優のみなさんにインタビューを実施しました。

さらにインタビューには、賢プロダクションの社長である内海健太郎さんも登場。

「KENPROCK Festival 2024」への意気込みだけでなく、賢プロダクションと声優のみなさんの関係性、声優としてのサクセスストーリー、昔懐かしい思い出話まで、様々なお話を聞くことができました。

連載前編となる本稿では、増元拓也さん、三川華月さん、大熊和奏さんの3名が登場。みなさんが語る“賢プロism”の秘密について迫ります!

スクールデュオならではの切磋琢磨

ーー本日は「KENPROCK」にご出演されるみなさんにお集まりいただきました。「KENPROCK」だけでなく、賢プロダクションという事務所についてなど、幅広くお話をお聞きできればと思っています。まずは、みなさんの養成所時代、デビュー前後のお話からお伺いしたいと思っています。

内海賢太郎さん(以下、内海):ウチには養成所に入ってきた年代ごとによって「期」という概念が存在するんですよ。最新は26期で……みんなは何期?

増元拓也さん(以下、増元):僕は12期です。

三川華月さん(以下、三川):20期です。

大熊和奏さん(以下、大熊):22期です。

ーー養成所に歴史有りですね! 増元さんが養成所に通っていたのも、期で言うと14期前の話になる、ということですか?

増元:そうなりますね。今日久しぶりに稽古場に来たのですが、懐かしいです。卒業後も来る機会はありましたが、毎月のように来ていた頃と比べるとだいぶ足が遠のいていたので、感慨深いものがあります。

ーーそんな養成所での思い出などについて、お聞かせください。

増元:スクールデュオ(※賢プロダクションが運営する声優養成所・養成学校)は2年制なのですが、僕は2年目から入ったんです。1年間切磋琢磨してきた人たちの中にいきなり入っていった形になったので、個人的には「馴染まなきゃ」というプレッシャーもありました。

あと、授業で何か取り組む際には「抜きん出なければならない」とは思っていましたね。プロの世界なので、お互いに牽制し合いながら、授業に参加していた思い出があります。

ただ、このおかげで12期という同期ができて。お仕事をしていても心強い存在なので、ありがたかったですね。

ーー仲間であり、ライバルでもあるという関係値で、日々レッスンを受けられていたのですね。

増元:そうですね。授業でみんなと演技をする時は「そういう感じで演じるのね。ならこっちはこうやって演じるよ」みたいに、バチバチしている時もありましたね。

スクール事業部長・杉本さん(以下、杉本):12期は、2年目から入ってくる生徒が多かった年でした。たしか、4人くらいいたと思います。1年目からいるメンバーは「負けてたまるか」という気持ちが強かったんじゃないでしょうか。

増元:1年目からやっているメンバーからすれば、我々のように2年目から入ってきた存在は面白くないと思いますし……。

杉本:特に増元さんは、同じ12期の益山武明さんと名前も似ていますからね。

増元:そうなんですよ!(笑) 入って間もない時は名前が馴染んでいないから、益山と増元が混同されることがあって。そのたびに「頑張らないと」と思っていましたね。事務所も悪気はないのはわかっているのですが……(笑)。

でも今となっては、益山はとても心強い存在ですね。

ーー納得をさせるためにも、日々の努力が欠かせなかったのですね。

増元:そうです。思い返すと、益山を始めとした12期のメンバーはライバルだけど、一体感もありました。最初期の授業で朗読劇に取り組んだのですが、良いものを作るために、お互いの良いところを見つけ合ったりして、協力して物を作る力も12期の中で培えたと思っています。

杉本:切磋琢磨する姿勢が強かったこともあって、レベルの高い代だったと思います。

ーーやはり期によって、特徴は違うものなのですか?

杉本:かなり違いますね。

香川からバスで10時間かけて毎週上京!?

ーー三川さんの期はいかがでしたか?

三川:私はちょっと特殊で、19期で入っているんです。声優アワードの新人発掘オーディションがきっかけで、たまたま賢プロに拾っていただいた形でした。

内海:声優アワードのオーディションって、欲しい人材に事務所が札を上げるんです。三川の時も7、8社くらい上げられていましたね。

増元:すごい! 取り合いだ!

三川:所属事務所は私から選べるものでもないですし、逆指名制度のようなものもなかったので、お声がけいただいた事務所に所属するという形になりました。結果的にご縁があったのが、賢プロダクションだったんです。

そのオーディションが3月中旬でギリギリで、みんなよりちょっと遅れて入ることになりました。絶妙な時期に見学に来た私を見て、「あれは誰だろう」「声優アワードのオーディション出身らしいぞ」みたいな、ピリピリした空気感がすごかったのを覚えています。 

ーー三川さんからすると、ちょっと威圧感を感じてしまいますね……!

三川:香川の田舎から出てきたお上りさんなのに(笑)。他の養成所の様子は分からないのですが、スクールデュオは「真正面から戦うぞ!」みたいな、熱い人が多かったのも要因かもしれません。仲良しこよしの雰囲気ではなかったのですが、私も体育会系なので「この雰囲気の方が上手くなれる!」と思いましたね。19期はバチバチしつつもお芝居の話をし合ったり、良い距離感で切磋琢磨できました。

ーー良い環境ですね! 波乱の幕開けとなった三川さんのキャリアですが、その後はいかがでしたか?

三川:その後もすんなりは行かず……。当時香川県の大学に通っていたのですが、「大学も大事にしたほうが良い」とスクールデュオの担当のスタッフさんからお話しいただいたんです。養成所に入ったのがちょうど大学3年生のときで、教育実習とスクールデュオの最後の学年がかぶってしまったんです。どうにか両立ができないものかと、面談を何時間もしていただきました。

ーー現在、教員免許をお持ちだと思いますが、どちらも両立されたということですよね。

三川:はい! 特例だったのかもしれませんが、1年間は大学に専念するためにスクールデュオはお休みして、卒業できる目処が立ったタイミングで上京して、という動きに決まりました。その結果、20期のみんなと合流していって……。

増元:より箔が付いた編入生が入ってきたと(笑)。

三川:そうなんです!「19期だったらしい先輩が、1年休んで帰ってきたらしいぞ」みたいな噂と一緒に(笑)。

ーーしかも、声優アワードのオーディションで指名されていて……!

増元:鳴り物入りが過ぎますね!(笑)

三川:その時も転校生のような雰囲気の中に入っていきましたね(笑)。しかも、当時の私は「負けたくない!」と強く思っていたんです。「友だちなんか絶対に作らない」と思っていて……(苦笑)。

ーー覚悟の固さがすごい!

三川:なので、20期の同期に私の印象を聞くと、「怖かった」って言われます。同じようなタイミングで入所した葵あずさとも、バチバチしつつも協力し合って頑張ってましたね。

ーースタッフ側からご覧になって、三川さんの印象はいかがですか?

杉本:期待されていたからこそ、特例を用意したのかなと思います。大学を卒業した後も、しっかりと帰ってきてくれましたし(笑)。

三川:それはもちろん、帰ってきますよ!(笑)

杉本:(笑)。就職して別のお仕事をする可能性もゼロではありませんから。逆に大学を辞める選択をする生徒もいるので、どちらも頑張ったのは彼女の努力の賜物だと思います。

三川:それこそ、最初の面談の時は「大学辞めます! 19期のみんなと2年目に上がりたいです!」と無茶を言ったような気がします……(笑)。そこで「落ち着いて考えよう」と、スタッフのみなさんが宥めてくださったり、大学と養成所の年次の計算とかも一緒に考えてくださったことを覚えています。

増元:人生設計も相談していたんだね。

三川:当時の私は、人生設計を勢いで決めたかったんだと思います。ただ、今考えると、様々な選択肢を残してくださった事務所に感謝ですね。このおかげで大学も卒業できて、教員免許も取れたので。

内海:三川は気合がすごくて、週一回の授業のために香川からバスで通ってたんですよ。

ーーバスで!? どのくらいの時間がかかるのですか?

三川:うーん……10時間くらい? キャリーケースを引いて来ていましたね。

ーーより良い人生設計というのは、やはり事務所として大事にされていることなのですか?

内海:そうですね。デュオには様々な経歴の人がいるので、それぞれの意見や思いを尊重しつつ、人生の一瞬の分岐を見極められるように気をつけています。平日はサラリーマンとして働きながらデュオに通っている生徒や、有名企業に務めていたり、弁護士をやりながら通っている人もいましたね。

役者になるという目標においては、他人と違うことをやっている経験は、引き出しも増えるしアドバンテージになります。そういう意味では3人とも才能があって、今があると思いますよ。

増元:ありがたいですね。

三川:私の場合は特に感謝ですね。今になって思い返すと、面談の時にはとんでもないワガママを言っていたなと……。

内海:親御さんの気持ちを考えたら、大学に行っていたら卒業させてあげたいと思うのは当然ですから。「声優の仕事って何?」と、疑問に思う方もいらっしゃるでしょうしね。

三川:そうですね。声優アワードのオーディションは何も相談せずに受けたから、そう思われていたかもしれません。

内海:相談してなかったんだ?

三川:言ってなかったですね。「受かった!」という報告だけをしたら、とても困惑していた記憶があります(笑)。

ーー親御さんも驚かれたでしょうね……!

三川:(笑)。徐々に理解を得られた感じでしたね。

ーー増元さんも、特殊なバックボーンをお持ちだと思いますが……。

増元:僕はただお芝居が好きで、年に1回でも良いから舞台に上がりたいと思っていたんです。そうしている間に20代が過ぎていって、さすがに「このままだとマズい」と思いました。そんな時に賢プロダクションの全国オーディションがあって、ラストチャンスのような心持ちで応募したのが始まりでしたね。そこで何とか最後まで残ることができて、デュオに1年だけ通うことになりました。

デュオで同期にも出会えたので、飛び込んで良かったと思います。だから、太いバックボーンがあるわけではないんですよ(笑)。でも、デュオで得たものはかけがえのないものですね。諦めない気持ちとか。

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