音楽
Aimerが『狼と香辛料』OPテーマ「Sign」に込めた想い

アニメ『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』第2クールOPテーマを歌うAimerさんにインタビュー! 「Sign」は“痕跡”があるからこそ深まっていく2人の関係性へフォーカスした楽曲に

 

海外ツアー中に感じた心情や葛藤を落とし込んだ「Wren」

――『狼と香辛料』は“旅”も大きなテーマのひとつですが、Aimerさんもライブツアーという意味で“旅”をする機会が多いと思います。いろんな場所を巡って歌を届けることは、Aimerさんにとってどんな刺激になっていますか?

Aimer:それこそ最近、ひさしぶりに海外ツアー(「Aimer 3 nuits tour 2024」)を行ったのですが、単独での海外ツアーはまだ2回目で、アリーナ規模の会場を回るのは今回が初めてだったので、そこで予想以上の愛をいただけたことは、自分にとって大きなことでした。

日本の私のファンの方は心に秘めた熱いものをもって来てくださる方が多いのですが、海外のファンの方はライブでのテンションや熱量、空気感という意味ではもっとわかりやすくて、その意味では全然違いましたね。

 

 

――ちなみに海外ではライブ以外にも“旅”を楽しまれましたか?

Aimer:はい。今回のツアーでは上海・台北・香港に行ったのですが、上海では豫園(よえん)という歴史のある庭園みたいな場所、台湾では夜市、香港では夜景の観られる場所に連れて行ってもらいました。短い時間のトリップではあったのですが、そのなかで最大限、現地の空気感を知りたくて、いろんなところを見てきました。

――夜市や夜景ですか。Aimerさんはやっぱり“夜”がお好きなんですね。

Aimer:たしかに(笑)。特にアジア圏の夜はすごく好きなんです。日本の夏も最近はすごく暑いので近しいところがありますけど、ぼわーっとした熱気もそうですし、日本のお祭りのような夜の熱気があってすごく心がそそられるんですよね。提灯じゃないですけど、灯っている光もいつもよりぼんやりオレンジみがあって。そのなかでたくさんの人がいる感じを肌で感じて。やっぱり素敵だなと思いました。

――ちなみに旅すること自体は好きなんですか?

Aimer:好きになりましたね。昔はインドア派で「おうちでいいや」って思っていましたけど(笑)。でも、歌を歌い始めて10数年の間にイベントや撮影で海外に行く機会が多くなったら、そこでインスピレーションを得ることが多いですし、特にここ数年はコロナの影響で家にいることが多かったので、刺激というか新しい種のようなものを外に見つけに行きたい士気が自分の中で高まっています。それこそ今回のシングルのカップリング2曲は海外ツアーのなかで制作したんですよ。なので、最新の海外での刺激がこの中に入っていると言っても過言ではないです。

 

▲Photo by:平野タカシ

▲Photo by:平野タカシ

 

――では、ぜひカップリング曲のお話もお聞かせください。「Wren」はダークかつどこか淡々とした雰囲気が不思議な魅力を放つロックナンバー。

Aimer:この曲はちょうど海外ツアーをしている最中に、海外と日本を行き来しながら制作していたのですが、海外ですごく大きなステージに立って、たくさんの声援や愛をいただいて、手応えを得ている自分がいる一方で、異国の地でひとり歩いているときに「自分はちっぽけな存在だな」と感じる気持ちもあって。そういう相反する気持ちがないまぜになっているなかで、それでも、ちっぽけな自分だからこそ、誰かに背中を押される前に、もっと自分から羽ばたいていきたい。そういう自分の中のごちゃごちゃした葛藤が入った曲になっています。

――歌詞に〈どれひとつ描いた未来じゃないのに〉と思い悩む描写もありつつ、〈傷つくとしても 声枯らしても 叫び続けたい〉と歌われていて。それはいわば、いまのAimerさんの心情をそのまま落とし込んだものだったんですね。

Aimer:そうです。そうやってある意味素直に、自分の今の感触を音楽や歌詞にすることって、実はめずらしいかもって自分でも思っていて。いままでは自分そのものというよりも、楽曲の世界観としての誰かがいて、そこに自分をあまり投影しない感じだったのですが……気がついたらこうなっていました(笑)。

――曲名の「Wren」というのは、渓流の歌姫の異名を持つ鳥・ミソサザイを意味する言葉で。この鳥は小さな体にもかかわらず大きく長く鳴くことで知られています。それはAimerさん自身を投影したタイトルだったんですね。

Aimer:その通りです。ミソサザイは冬を越えるために越境して飛んでいく渡り鳥らしいのですが、私もそうありたいというか、そうでなくちゃいけないという気持ちがあって。

 

 

――まさに海外のファンの方からの応援の刺激を受けて生まれた曲だったと。レコーディングではどんなことを意識して歌われましたか?

Aimer:この曲も「月影」もそうなのですが、ある意味、開き直っている感じで、無駄な力みを極力排除して歌いました。なので何かを演出するということはしなかったですね。居直っているというか、吹っ切れているというか。2曲とも、ある意味、すごくまっすぐで衒いのない曲なので、そういうストレートな曲たちに、あまりにも激しく感情を入れて歌うとトゥーマッチになってしまうかなと思って。

――なるほど。「Wren」がご自身のことをミソサザイに例えた楽曲だとしたら、もう1曲の「月影」は自分自身を月に例えた楽曲のように感じました。

Aimer:はい。これは台北で夜市に行ったときに月がすごくきれいに見えて。とても安直なのですが、いままでなら作らなかったけど、そういうベタな曲があってもいいかなと思って作りました。この曲はメロディーもアレンジもとても普遍的で、それが自分の中では逆に新鮮だったんですよね。だからテーマや歌詞も普遍的なもの、どんなに違う場所でも、みんなが眺められる“月”を取り上げて、ストレートに作りました。

――Aimerさんの月ソングと言えば、個人的にはPS Vita版「Fate/hollow ataraxia」のテーマソング「broKen NIGHT」(2014年)を思い出します。

Aimer:ありがとうございます。あの曲も、もう10年近く前になるんですよね。私は天体全般が好きなので、天体に関する曲はこれまでにも結構作っているのですが、タイトルにここまではっきり“月”を打ち出した曲は今回が初めてで。

――ちなみにAimerさんは月のどんなところに惹かれますか?

Aimer:星も好きなんですけど、月はやっぱり特別ですよね。地球ってすごくラッキーだと思うんですよ。太陽もあるし、月みたいに満ち欠けしていく存在も見ることができて。しかも月は自分で光ることができない。だからモチーフとして創作意欲をすごくくすぐってくれます。

 

 

――歌詞に〈月のように ただここで歌う〉というフレーズがありますが、これはもしかしたらAimerさんの願いが込められているのかなと思いました。

Aimer:それはあると思います。どちらかと言うと太陽ではなく、月みたいな存在になりたいと思いますね。それこそ満ち欠けもありますけど、必ずみんなが見ようと思えば見られるものですし、いつも消えずに存在としてそこにあるものなので。これから自分がどういう音楽を歌っていくにしても、どう活動していくにしても、そんな風に歌い続けたいという気持ちがあります。

――秋からはホールツアー「Aimer Hall Tour 2024-25 “lune blanche”」の開催が決定していますが、タイトルの「lune blanche(リュヌ・ブランシュ)」はフランス語で“白い月”を意味する言葉ということで、こちらも月がモチーフになっていますね。

Aimer:そうなんです。先にツアーのタイトルを決めていたので、「月影」はそれを意識して作った曲でもあるんです。“白月(びゃくげつ)”という月の満ち欠けの期間を表す単語があるのですが、今回のツアーは“満ち欠け”をテーマにしていて。演出、セットリスト、編成を含めて、ツアーでどう“満ち欠け”を表現するか、ぜひお楽しみにしていただければと思います。

私自身の活動も、歩く速度をその都度変えてきたし。その意味で自分の中でいろんなものが満ちたり欠けたりしながら、でもずっとそこにいるみたいなところがあると思っていて。曲たちもそうなんですよね。これまで様々な曲調をやってきたので、そのテンションや物語を混ぜていろんな曲を歌えたらと思っています。

[文・北野創]
 

「Sign」/Aimer

【発売日】2024年8月28日
【価格】
初回生産限定盤:1,760円(税込)
通常盤:1,320円(税込)
期間生産限定盤:1,760円(税込)

初回生産限定盤

「Sign」Music Video収録BD同梱

 

通常盤

 

期間生産限定盤

TVアニメ『狼と香辛料MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』描きおろしイラスト使用ミニポスター&三方背ケース仕様 
TVアニメ『狼と香辛料MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』ノンクレジットオープニング映像収録BD同梱

 

Aimer2024年秋 全国10都市19公演ホールツアー

【開催日程】
▼2024年
10/25(金)・10/26(土)市川市文化会館 大ホール(千葉県)
11/2(土)・11/3(日祝)神戸国際会館こくさいホール(兵庫県)
11/30(土)・12/1(日)仙台サンプラザホール(宮城県)
12/6(金)・12/7(土)愛知県芸術劇場大ホール(愛知県)
12/14(土)・12/15(日)パシフィコ横浜 国立大ホール(神奈川県)

▼2025年
1/12(日)・1/13(月祝)福岡サンパレスホテル&ホール(福岡県)
1/25(土)・1/26(日)ロームシアター京都 メインホール(京都府)
2/1(土)高崎芸術劇場 大劇場(群馬県)
2/21(金)・2/22(土)フェスティバルホール(大阪府)
3/8(土)・3/9(日)東京ガーデンシアター(東京都)

■チケット価格:【全席指定】8,800円(税込)
■ライブ情報詳細:https://www.aimer-web.jp/live/

 

作品概要

狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF

あらすじ

若き行商人クラフト・ロレンスは、荷馬車を引く一頭の馬を相棒に、街から街へと商品を売り歩く日々を送っていた。

ある日、黄金色の麦畑が広がる小さな村を訪れた彼は、耳と尻尾を有する美しい少女と出会う。

「わっちの名前はホロ」

自身を“賢狼”と呼ぶホロは、豊穣を司る狼の化身だった――。

彼女の「遠く北にあるはずの故郷・ヨイツの森へ帰りたい」という望みを聞き、ロレンスとホロは北を目指す商売の旅の道連れとなる。

だが行商人の旅には思いがけない波乱がつきもので……。孤独だった行商人と、孤独だった狼の化身を乗せた馬車が、今、騒がしく走り始める。

キャスト

クラフト・ロレンス:福山潤
ホロ:小清水亜美
ゼーレン:浪川大輔
リヒテン・マールハイト:大塚芳忠
ハンス・レメリオ:郷田ほづみ
ノーラ・アレント:中原麻衣
フェルミ・アマーティ:千葉紗子
マルク・コール:小山力也
エウ・ラント:笹島かほる
ディアン・ルーベンス:渡辺明乃
エルサ・シュティングハイム:Lynn
ギヨーム・エヴァン:阿部敦

(C)2024 支倉凍砂・KADOKAWA/ローエン商業組合

 

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