音楽
『モブから』シルフィーの期待を音楽に乗せて。May'n「ストロボ・ファンタジー」インタビュー

変わらないスタイルと、新しい挑戦を融合させたMay'nの20年目。TVアニメ『モブから始まる探索英雄譚』EDテーマ「ストロボ・ファンタジー」インタビュー

「バッテリーで歌いたい」

――「ウイニングショット!!feat. AYAME(from AliA)」は高校野球愛知大会のテーマソング。野球好きな名古屋人ということでオファーをいただいたとか……?

May'n:そうなんですよ(笑)。それでこのテーマソングのお話をいただきました。私も野球が大好きで。プロ野球を見ていると、やはりプロならではの葛藤があるんだろうなって常に思っていました。

小さい頃から野球が好きで、学生の頃もずっと野球を続けてきて、プロになって、お金を稼ぐようになって……「生きるために野球をしなければならないのか」という現実と向き合うのは、どういう気持ちなんだろうとよく考えていたんです。

また「自分にとってのスター選手とひとつになるというのはどういう感覚なんだろう」「自分より若い選手たちと一緒にプレイするってどういう感覚なんだろう」と、選手の背景を勝手に想像しながら観ていました。

そんな中で、高校野球ならではの特別なものがあるんじゃないかと思ったんです。プロ野球とは違うからこそ、高校野球にしかない感情を探してみたいなって。そう考えたときに、密着などのドキュメント映像を見ていて、私自身がよく感じていた“絆”という言葉が思い浮かんだんです。

もちろんそれは、プロ野球選手にも共通するものだとは思うんですけども、高校野球って、より一瞬の戦いだと思うんです。大会や甲子園ではシビアな側面がありますし、高校野球というのはどんなに長くても3年間しかないものなので。そういった儚さや切なさも、学生の野球ならではだと思っています。その中での、仲間同士の絆を描きたいなと思ったときに、バッテリーの絆にフォーカスを当てたら高校野球ならではの歌詞を書けるかなと。

――とりわけバッテリーというのは、絆が顕著に現れるものですもんね。

May'n:そうなんです。それであればふたりで歌うのが自然だと思い、最初はソロの予定でしたが、こちらから逆に「バッテリーで歌いたい」とお話させていただいたんです。それで、AYAMEちゃんにお声がけさせてもらいました。

――ピッチャーがMay'nさん、キャッチャーがAYAMEさんという役割で。ふたりの楽しさというのも、すごく伝わってくるのが印象的だなと思っていました。

May'n:野球をしていて「楽しい!」という思いも込めたかったんです。私自身のただの野球ファンとしての想像でしかないんですが……プロの野球選手になると、楽しいと思いながら野球をするのは難しいことだろうと思っていました。もちろん楽しい瞬間もあるとは思いますし、そこにグッときて応援しているのですが。

でも、高校生や中学生の球児たちは、仲間と一緒に野球をすることが楽しいという気持ちが強いと思うんです。もちろん、厳しいところもあると思いますが。

このメンバーで少しでも長く野球をしたい、それなら勝ち続けなければいけない……そういう思いを歌詞に込めました。

――とりわけ〈終わりたくないよ僕らの夢〉という歌詞はグッとくるものがありますし、切なさだけではない楽しさも伝わってくるしで、いろいろな想像が膨らみました。

May'n:嬉しい!私もそこは気に入っているんです。この試合が勝ったのか負けたのか、わからないままで終わらせたというのも私のこだわりです。

どの立場にとっても「終わりたくない」という思いがあると思うんです。もちろん負けたくはないけど、勝ったとしても、ゴールにたどり着いたらこのメンバーで野球をすることはないわけで……野球をもっともっとしたいよね!って気持ちって、勝っても負けてもあるのかなって思っています。だから、この一行にはすごくこだわりましたし、ここで初めて二人がユニゾンになる部分でもあるんです。

相手を感じながらも、これまで一人で戦ってきたピッチャーとキャッチャーが、同じ気持ちを抱いて、改めて思いをぶつけ合う瞬間を表現したくて。歌い分けもものすごくこだわっています。歌っていても、聞いていても、心が震えるところですね。

――〈降り注いだ美しい音は 僕らの今に挑んで〉というのは、もちろん野球の音だとは思うのですが、なんだかライ部も思い出す一節でした。

May'n:甲子園や高校野球のバッテリーのそれぞれの役割を意識して書いた歌詞でもあるのですが、野球というのは球場全体の雰囲気や他の景色も含めて成り立っているものだと思うんです。その部分は自分が抑えるべき場面、つまり、相手側の応援が一番鳴り響いているところです。客観的に見るとすごくかっこいい景色ではあるけれど、その音に飲まれてはいけないという緊張感もあります。それでも、この光景自体がとても美しいというか……。そんなことを考えながら書いていました。

――ブログで見ましたが、レコーディング当日に呼吸音を入れようというアイディアが出たそうですね。これはかなり大胆な試みだと思います。

May'n:アレンジはほぼ完成している状態で、歌詞を書くときにはすでに現在の音がすべて揃っていました。その時からBメロに入る前の長い間奏がとても素敵だなと思っていて。呼吸音がなくても、青春らしい緊張感じるキラキラとしたオケだったんです。それを聴いたときに、自分自身に集中する場面のイメージが湧いてきて、〈目を閉じよう呼吸しか聞こえないように〉という歌詞を書きました。

その歌詞を見たEOさんが「この歌詞がすごく良い。実際の呼吸音を入れたい」と言ってくださったんです。この歌詞からさらにEOさんがブラッシュアップしてくださったことが、本当に嬉しかったですね。呼吸音を入れたことで、歌詞が一層引き立ったように思います。

――EOさんとは、歌詞も一緒に書かれていますね。

May'n:EOさんは野球経験がある方なんです。野球を知っているからこその気持ちをEOさんに書いてもらいたいなと思って、最初の打ち合わせでお願いしていました。だからデモの段階から歌詞を入れてくれていたんです。例えば〈始まりはいつも君の手から〉とか。2番は私が書いたんですが、ゼロからイチとなる歌詞をEOさんが書いてくださっていました。

――ライブでAYAMEさんとふたりで歌っているところも、ぜひ見てみたいなと思うんですが、どうですか?

May'n:そうですね、AliAのAYAMEちゃんのボーカルが元々すごく好きで、一緒に歌ってみたいなと思ったことがきっかけでお願いしたんです。逆に言うと、ひとりでも歌えるように作ってはいたんです。ふたりでしか絶対に歌えないとなると、楽曲を披露するタイミングが限られてしまいますよね。それは音楽的にもったいないなと思って。

だから、ひとりでも歌える構成ではありますが、ふたりじゃないと100パーセント完成しない曲ではあるので、早く歌いたいなって今は思っています。実は10月のライブ(2024年10月20日(日)「Nice to MEAT you!」)にAYAMEちゃん(AliA)が出演していただくことが決まっているので、そこで歌えるかなって思っています。

たくさんの人に届けたいという想いからの音源化

――今回収録された「Pray」(スマートフォン向けゲーム『クァンタムマキ』の主題歌)は待望の音源化。私はこの曲をライブで聴いたとき、ぜひ音源化してほしいと強く思いました。May'nさんにとって、この曲はどんな立ち位置の曲ですか?

May'n:「Pray」が出来上がったのは数年前なんですけど、当時から仲間と共にもっと前に進もうという気持ちを共有できる、拳を共に突き上げられる曲だなと思っていました。なので、この曲をもっとたくさんの人に届けたい、ライブで歌いたいという気持ちがずっとありました。前回のアルバム『Prismverse』に収録された「AMICITIA」(AMICITIA -2024 ver.-)もレーベルが違う曲ではありますが改めて音源化をさせてもらったので、今回も「実はこういう曲もあるんです」というお話をさせてもらって音源化されることになったんです。

――May'nさんが「もっとたくさんの人に聴いてもらいたい」と強く思ったことが、今回の音源化の後押しになったんですね。今後もこういった形で音源化されることはありそうです?

May'n:そうですね……現段階ではわからないのですが、自分のアルバムには収録はされてないけど「歌わせていただきました」というゲームの楽曲などもたまにあるんです。そういった曲もライブで披露して、もっとたくさんの人に届けたいという思いがあります。

全ての曲を大切に制作しているからこそ、より多くの人に届けたいという気持ちがあります。特に今の時代は配信があるので、CDが中心の時代とは違って、よりたくさんの人に音楽を聴いてもらえるチャンスがあるなと。過去の楽曲を改めて音源化することは簡単ではないですが、いい曲を届けたいという思いに賛同してくれるスタッフさんがいてくれることに、本当に感謝しています。そういう方がいてくれるからこそ、できることだなと思っているので。

――May'nさんのお人柄があってこそのように思いますね。

May'n:ありがとうございます(笑)。長く活動していると、言葉にする前から「大人の事情で難しいんだろうな」「言ったところで実現はできないんだろうな」とか思ってしまうことがあるんですが(苦笑)。まずは「やってみたい」ってことを言葉にしたいなって。

で、普通に考えたら、大人の事情で超えられないものがあるはずなのに、なんか、同じようにやりたいって思ってくれてる大人が集まったことで、できちゃったんですよね。「とにかく楽しいことをしようね」とか、「とにかくファンの人に喜んでもらえることをしたいよね」っていうことを、年齢やキャリアが追いついてきたこともありますけど、部長として一番掲げていたいし、チームにたくさん提案していたいなってすごく思っています。

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