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森田成一&杉山紀彰が感じた『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』の厚みと広がり【インタビュー】

「みんな『BLEACH』が大好きなんです」20年という歳月が生んだ奇跡的な繋がり――『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』黒崎一護役・森田成一さん×石田雨竜役・杉山紀彰さんインタビュー

20年という歳月が生んだ奇跡的な繋がり

ーー2004年から始まったアニメ『BLEACH』は、今年で20周年を迎えました。

森田:20年といえば、ひとりの人間が生まれて20歳を迎えるほどの年月ですから、相当長いですよね。僕も遂に50歳になりました。

杉山:『BLEACH』が始まった時は、この年齢でまだ高校生役を演じているとは思いもしませんでした(笑)。

森田:ただ、もっと年上の先輩方がもっと低い年齢の役をやっている訳だから(笑)。僕自身の感覚として、この20年間は本当にあっという間でした。ただ、これまでを振り返ってみると、本当に色々なことがあって。最初のTVシリーズの頃は、ただがむしゃらにやりながらも、虚栄心が強く出ていて、「この作品を機に売れたい」と思っていました。もちろん「純粋に良い作品を作りたい」という想いもありましたが、若さゆえの過ちとでも言いましょうか。

20年経った今では雑念が抜け落ちて、「黒崎一護をもう一度構築し直そう」という落ち着いた考え方に変わったんです。そして、『千年血戦篇』のアフレコが始まる時には「みんなに任せよう」というポリシーを決めました。スタッフ、キャストのみなさんが凄腕の方々ばかりなので、それぞれがトップレベルのものを出してくださることは重々承知しています。

その中で、「自分は自分でやりたいことをしよう」という考えに行き着いたんです。黒崎一護というキャラクターと向き合って、自分らしくシンプルにやりたいなと。この現場なら、それを受け止めてくれる気がしたというか。若い時は「誰かに甘えよう」なんて考えは持てませんでしたが、「周りにも頼ろう」と思えた時、すごく自由になれました。

杉山:数字だけ聞くと長く感じますが、「大変だった」という気持ちはないです。いち出演者・視聴者として楽しませていただいているうちに、いつの間にか時間が過ぎていった印象です。『BLEACH』に関わらせていただく中で、沢山のことを勉強させていただきました。作品や役と一緒に、役者、声優としても成長させていただいたと感じます。

若い頃から現在に至るまで、同じ役をやらせていただくのはとても貴重なことで。そういう機会に恵まれたのもありがたいですし、感謝の気持ちでいっぱいです。相当時間は経っているのに、共演者の方々が演じるキャラクターの声を聞くと、すぐに20年前の気持ちに戻れます。他のキャストさんとも、「滅多に味わえない不思議な感覚だよね」という話をしていました。

また、時を経て、今回の『千年血戦篇』という作品の締めくくりをやらせていただけることにも大きな縁を感じています。前シリーズから続投できただけでなく、子供の頃に視聴者として観ていた方も新たに参加してくれて。アニメの放送が始まり、当時ご覧になってくださった方だけでなく、新しい世代の視聴者にも観ていただけるという流れには運命的なものを感じますし、幸せなことだと思っています。

ーーキャストさんは誰しも「物語の最後まで演じたい」という希望を持っていると思いますが、実際に叶えられることはごく僅かだと思います。

森田:「原作の最後までアニメ化したい」という想いは、僕らキャストはもちろんですが、スタッフ陣が特に強く願っていたんじゃないでしょうか。

株式会社ぴえろの本間(道幸)前社長も、初代社長の布川(郁司)さんもしょっちゅう現場に来てくださっていたんです。本間さんは当時『BLEACH』の製作プロデューサーで、親身に見てくださっていましたし、その頃のメンバーと「最後までやりたい」とずっと話していて。僕自身、他の現場で「『BLEACH』は最後までやらないのか?」と言われることも多かったです。時間はかかりましたが、その願いはようやく実現しました。みんな『BLEACH』が大好きなんです。

その想いを繋いでくださっていたのは、間違いなくファンの方々。そして、前シリーズ終了後の2015年に『BLEACH Brave Souls』というアプリゲームがリリースされたことも大きいと思います。役者さんたちと「あれがあったから、役を忘れないでいられた」とよく言っているんです。そういう奇跡的な繋がりがあったからこそ、『千年血戦篇』が来るべくして来たのかもしれません。本当にありがたいことだと感謝しています。

ーー自分たちでアニメ『BLEACH』に幕を引くことへの責任も感じられているのでは?

森田:責任を感じていない訳ではなく、当たり前のことだと思っています。それはTVシリーズの第1話から変わっていないし、黒崎一護を初めて演じたときから、責任感はずっと持ち続けているんです。現場の立ち振る舞いなども含めて、「どうすれば黒崎一護でいられるのか」を常に考えていたので、『千年血戦篇』ですべてを語り終えることになっても新たなプレッシャーは感じていません。

ただ、これまでの『BLEACH』と同様に、観てくださる方がワクワクするようなものを作るという責務はあると思っています。完結までのカウントダウンではなく、最後の最後までフルスロットルでいる。それが僕たちのやるべきことなのかなと。

そういう意味で、完結することへの寂しさはまだ感じていません。むしろ早く最後までやり切りたい。「それによって、自分はどう変わるのかな」と楽しみな気持ちです。黒崎一護を全うした時、自分はどんな姿になるのか。今はただそれだけですね。

杉山:僕も早く最後までやりたいです。基本的には原作準拠ですが、先生の監修のもと、これまで触れられていなかった部分も盛り込まれているので、そういったシーンを演じることはもちろん、いち視聴者として観るのも楽しみにしています。

ーー最後に、放送を楽しみにしているみなさんへのメッセージをお願いします。

杉山:アニメーション制作はこれまで「studioぴえろ」でしたが、第3クールから「PIERROT FILMS」という株式会社ぴえろの新ブランドに変わっています。それは『BLEACH』のような美しいアニメ表現を目指していくという意気込みからと聞きましたが、その言葉の通り、クオリティに更なる磨きがかかっていると感じました。その映像の素晴らしさを実際に観ていただければと思います。

それぞれのキャラクターたちが何を考えてどうしていたのか、という部分が細かく掘り下げられているので、『BLEACH』の世界観をより深く知れるのではないかなと。本筋である一護と雨竜の関係性やユーハバッハだけでなく、広い視点で『BLEACH』ワールドを楽しんでいただけると思いますので、ぜひ楽しみにしてください。

森田:ある話数の台本を確認したら、340カットと書いてありました。一般的な30分アニメでは大体250カットくらいかなと思いますが、他の話数の台本も見たら400カット、560カットというものも。

杉山:そのうえで、どこで止めても絵がきれいという。最早恐ろしくなるような…素晴らしいお仕事をされていて。

森田:『千年血戦篇』のスタッフ陣の熱の入れ方は、相当なものだと思います。久保先生も毎回現場に来てくださって、朝から晩まで収録に付き合ってくださるんです。特に第3クールのアフレコでは、久保先生の思いやりとリスペクトを強く感じました。久保先生のアニメーターさんに対する目線がとても温かいんですよね。それがスタッフさんたちにも伝わって、「先生が唸るようなものを作ろう」と一致団結して制作してくださっているようです。久保先生自身が、先頭で現場作りをしてくださっているのは僕たちにとっても幸せなことで。やれることをやったら、あとは考えすぎず、「良いものを作るためには、ただ現場へ行けばいい」という雰囲気を作ってくださっています。

『BLEACH』のアニメに昔から携わっている方々、ファンとして観ていた『BLEACH』を今度は自分たちで作るという若い方々。それぞれの力によって、作品の熱量もより高まったんじゃないでしょうか。中入り(制作途中での親睦会)の時、そういった若い方々と沢山お話させていただきましたが、「『BLEACH』を観てアニメ制作を志した」という方もいて。そういう人たちをずっと見守り続けてきましたし、逆に見守られていたことが再び花開いて、自分自身も作品に携われていることが本当に幸せです。

その想いをみなさんにお届けできる喜びと自負を持ちながら作品作りをしているので、間もなく幕が上がる第3クールを是非楽しみに待っていてください。

『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』作品情報

2024年10月5日(土)よりテレ東系列ほかにて放送開始!

あらすじ

三界の存亡を賭けた戦いに、流れるのは血か涙か──

《見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)》の第二次侵攻により《影の領域(シャッテン・ベライヒ)》へと変貌した瀞霊廷で、死神と滅却師(クインシー)の戦いは続く。

奪われた卍解を取り戻し、反撃の狼煙を上げた護廷十三隊は、次々と星十字騎士団(シュテルンリッター)の聖章騎士(ヴェルトリッヒ)たちを撃破していく。

そんな中、霊王宮での修業を終えて、新たな力を得た阿散井恋次、朽木ルキア、そして──黑崎一護が瀞霊廷に帰還する。

再びユーハバッハに挑まんとする一護の前に立ちはだかったのは石田雨竜。

引き絞った弓を向ける友の真意を問う一護に、雨竜が返したのは訣別の矢であった。

ユーハバッハは雨竜と親衛隊を引き連れて遮魂膜を突破。遂に戦いの舞台は、不可侵の神域・霊王宮へと移る。

不遜な侵入者を迎え撃つ王属特務・零番隊の五人。その驚異的な力の前に、ユーハバッハも親衛隊も敗れ去ったかに見えたが......

真の戦い、真の絶望は今まさに始まらんとしていた。

死神と滅却師、一護と雨竜、信念と決意──決して相容れぬ光と影は、紺碧の天空に相剋する。

キャスト

黒崎一護:森田成一
井上織姫:松岡由貴
茶渡泰虎:安元洋貴
志波岩鷲:高木渉
朽木ルキア:折笠富美子
阿散井恋次:伊藤健太郎
浦原喜助:三木眞一郎
四楓院夜一:ゆきのさつき
京楽春水:大塚明夫
砕蜂:桑島法子
鳳橋楼十郎:樫井笙人
平子真子:小野坂昌也
朽木白哉:置鮎龍太郎
六車拳西:杉田智和
日番谷冬獅郎:朴璐美
更木剣八:立木文彦
涅マユリ:中尾隆聖
浮竹十四郎:石川英郎
伊勢七緒:生天目仁美
涅ネム:釘宮理恵
藍染惣右介:速水奨
ユーハバッハ:菅生隆之
石田雨竜:杉山紀彰
ユーグラム・ハッシュヴァルト:梅原裕一郎
ペルニダ・パルンカジャス:島田敏
アスキン・ナックルヴァール:武内駿輔
ジェラルド・ヴァルキリー:小山剛志
リジェ・バロ:日野聡
バズビー:小野友樹

スタッフ

原作・総監修:久保帯人「BLEACH」(集英社 ジャンプコミックス刊)
総監督:田口智久
監督:村田光
シリーズ構成:田口智久 平松正樹
キャラクターデザイン:工藤昌史
総作画監督:長谷川亨雄 小松原聖 高柳久美子
アクション・エフェクト作画監督:酒井智史 橋本敬史 若林厚史
美術監督:谷岡善王
美術設定:天田俊貴
色彩設計:合田沙織
編集:三嶋章紀
撮影監督:山田和弘
CG監督:佐々木俊宏 後藤和史
チーフ演出:陳達理
音楽:鷺巣詩郎
音響監督:長崎行男
音響制作:ザック・プロモーション
アニメーション制作:PIERROT FILMS

公式サイト
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(C)久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ
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