田中有紀さんが語るアーティストとしてデビューするまでの道のり|1stライブはお互い全部出しきれるような楽しいものにしたい
『アイドルマスター シャイニーカラーズ』芹沢あさひ役などで活躍する声優・田中有紀さんが、10月2日に1stアルバム『Crier』をリリースし、ソロアーティストとしてデビューする。すでに、アルバム収録の「Crier」「KURAGET DOWN」が先行配信されているが、確かな歌唱力と、幅広い音楽性をうかがい知ることができる。今回のインタビューでは、デビューにあたって、これまでの道のりや、アルバムの先行曲「Crier」のことなどを聞いた。
アーティストとしてソロデビューするまでの道のり
――10月2日にソロデビューをすることが決定していますが、個人名義でのアーティスト活動は、もともと夢として持っていたことなのでしょうか?
田中有紀さん(以下、田中):物心付く前、祖母が保育園の送り迎えをしてくれていたんですけど、移動時間もずっと歌っていたそうなんです。その頃から、歌とかアニメが好きで、自分の生活の一部になっていたんですけど、歌やお芝居をする仕事に就くんだろうなっていう漠然とした確信はあったんです。しかも、それを確信した時の光景も覚えていて、車の中で歌いながら、ふと「私、将来も歌っているんだろうな」って思ったんですよね。
――それはいくつくらいですか?
田中:4歳か5歳の頃でした。globeさんやMISIAさんを聴いていて、車の中で、ライブ映像も流してくれていたんですけど、私もこういう場所にいつか立ちたいなと思ったんです。
――じゃあ、歌手になりたかった?
田中:歌手になりたかったんですけど、授業で音読ってあるじゃないですか。あれを本気でやる子で、学芸会でも「主役をやらせてください!」って言っちゃうくらい、お芝居も好きだったので、歌もお芝居も両方好きだったんです。
――声優なら、両方できるじゃん!と。
田中:そうなんです。声優でアーティスト活動をされている方を知ったとき、お芝居ができて、歌も歌える。私がやりたいことを全部やってる!と思ったんですね。
私、『犬夜叉』が大好きだったこともあって、中学生時代に、周りにアニメ好きの子が増えたんです。その中に、声優を好きな子もいて、その子に水樹奈々さんの存在を教えてもらって、衝撃を受けたんです。そこから目指すようになりました。『魔法少女リリカルなのは』シリーズも観ていて、このOPカッコいいなって思っていたら、それを歌っているのが水樹さんだったと、あとから知るような感じでした。
――そこから始まったのですね。でも、実際に夢を掴んでいるのがすごいです。
田中:でも母は、最初反対していました。そんな優しい世界じゃないのよ!って。もちろん、それは私のことを考えて言ってくれていたんですけど、「でも私はなりたい!」っていうやり取りを何年も続けて、高校3年生のときに、このオーディションを受けさせてくださいと言って受けたのが、キミコエ・オーディションだったんです。
――そのオーディションに受かり、NOW ON AIRというユニットとして、そして声優としてもデビューしたんですよね。劇場アニメ『きみの声をとどけたい』もすごく良かったです。
田中:ありがとうございます!
――実際、声優になったあとは、厳しい世界だなぁと思ったのではないですか?
田中:でも、辛いとかは全然なくて、辞めたいと思うこともなく、ただただ、いただくお仕事との出会いが嬉しかったです。もちろん、仕事について悩むことも多かったんですけど。
この仕事にどう応えていけばいいんだろうとか、自分はどこまでできるんだろうとか、そうやって自分の成長という部分で悩むことは多かったけど、楽しく活動はしていました。
――2016年から声優と音楽活動をされていますが、これまで、どんな活動をしてきて、そこでどんなことを経験してきましたか?
田中:声優に関してだと、最初のうちは、外画の吹き替えをやらせていただくことが多かったんです。それは今もやっているんですけど、映画も好きで、海外ドラマやホラー映画も好きでよく観ていたので、外画の芝居も楽しいし、アニメのお芝居も楽しいです。
アーティストに繋がる話でいうと、NOW ON AIRとKleissisというユニットでアーティスト活動をさせていただいたり、あとは、芹沢あさひ役で出演している『アイドルマスター シャイニーカラーズ』では、作中のユニットとしてイベントに出させていただくこともあります。
そこでいろいろなステージに立って、強くなれる経験をたくさん積ませていただけたなと思っています。ステージに立ってパフォーマンスをする強さをもらえたと思います。
――特にアニメやゲームのコンテンツになると、いきなり大観衆の前でライブをしたりするので、緊張しますよね。
田中:そうですね。めちゃめちゃ緊張しいなので、緊張はするんですけど、ステージに立つとスイッチが入るのか、めちゃめちゃ楽しめちゃうんですよ(笑)。
皆さんの熱量と一緒になって盛り上がることができるので、そういう皆さんの反応に助けられながら、もらった分を私も返すよ!っていう気持ちで盛り上がれるあの空間は、すごくいいですよね。何にも変えられないものだなと思っています。
――歌やパフォーマンスが、どんどん成長していった感触はあったのですか?
田中:NOW ON AIRでも、Kleissisでも、コンテンツのステージであっても、それぞれのユニットに合った向き合い方を私なりに真剣に重ねてきたつもりです。それが自分を成長させてくれたのかもしれません。
――どんなことにも真剣に臨まなければ、成長はできないですからね。
田中:そう思います。その活動の中でも、アーティストデビューをしたい!という軸はずっとあったので、自分の歌とか、気持ちも大事にしていました。
ユニットのメンバーは、一緒に高め合っていくことができる素敵な仲間ばかりだったので、その子たちと作るステージは大切にしていたんです。そうすると、自然に「もっとここはこうしたほうが良い」って意見を言い合える信頼関係ができてくるんです。それも、私自身をより成長させてくれたと思っています。
――そこからのソロデビューというのは、また全然違う挑戦になるような気がします。
田中:だいぶ違いました。ユニット活動で積み上げてきた自信がなくなるわけではないけど、新たなスタートラインに立つような気持ちになりました。