田中有紀さんが語るアーティストとしてデビューするまでの道のり｜1stライブはお互い全部出しきれるような楽しいものにしたい

ソロのレコーディングを経て感じた自分自身の進化

――今回のソロ活動には、田中さん自身、どんなふうに関わっていったのでしょうか？

田中：最初に自分がどんな曲を好きなのかをスタッフさんとお話しさせていただきました。それから作っていただいた曲を歌う、という感じでした。でも、スッと自分の中に入ってくる曲ばかりでした。

もうデビューアルバム『Crier』のレコーディングは済んでいるんですけど、録り終わったときに「収録曲、どうだった？」と聞いてくださったんです。それに「最高です！」と答えたくらい、どれも私の好きな曲です。

――ちなみに、どんな曲が好きなのですか？

田中：水樹奈々さんの曲はいつまでもカッコいいなと思っているんですけど、ReolさんやALI PROJECTさんも好きですし、好きな方はたくさんいます。ソロなので、色んな曲に出会えるのが幸せですし、すでにアルバムにはいろいろな曲があるので、楽しみにしていてほしいです。

――リード曲でもある「Crier」については、どんなふうに歌っていこうと思ったのですか？

田中：これがアルバムで一番最初にレコーディングをした曲で、もちろんしっかり準備をして行ったんですが、自分はこういう風に歌えばいいんだって、いろいろと掴めたのは、ディレクションをしてくださった小久保祐希さんのディレクションがあったからでした。その中で、自分の歌の芯が出来上がってきたような感じがします。

――自分の歌い方を見つける作業が最初にあったのですね。

田中：自分がこう歌いたい！というのも大事なんですけど、客観的に聴いて、私の声なら、こういう届け方が合うよと言っていただいたとき、自分の思っていたのと違っていました。

確かに自分で歌っていると、好きなアーティストさんを無意識に真似ていたりするところがあるんです。もちろん、それは後々、技術のひとつとして活かせたりすると思うんですけど、そうではなく、田中有紀として歌うなら、この箇所はこういう届け方がいいよねっていうのを、本当に細かくディレクションしていただいて、話し合いも重ねることができたんです。しかも、何度も何度も録ってくれたので、私も必死にがむしゃらについて行って、気づいたら終わっている感じでした。でも、このレコーディングは、これから私はこうやって歌っていくんだ！という光になりました。

――自分の芯ができるくらいまで、最初のレコーディングで追い込んでやることができたんですね。

田中：そうですね。あとはどう筋肉に落とし込んでいこうかなと…。

――それは喉の筋肉ということですか？

田中：そうですね。私、踊るときに意識しているのが、筋肉で踊るということなんです。目をつむって真横に手を伸ばしてみると、それが真横になっていなかったりすることがあって、それを正しく真横だと体に覚えさせれば、上達が早くなる、みたいなことを武井壮さんがテレビで言っていて、衝撃を受けたんです（笑）。それってダンスでも活かせるじゃんと。

いつも鏡を見て、ここだここだってやっていますけど、本番は鏡がない中でやるわけだから、いつも練習でやっているものを本番で出すにはそれしかない！と思って、正確に自分の体を動かせるようにしたんですね。歌もそれだと思って、結構勝手にニュアンスを入れちゃう部分とか、勝手に前の歌い方に戻っちゃうことがレコーディングでもあったんです。それを修正して、自分が思ったように歌えるよう、正しく筋肉に覚えさせるしかないと思いました。そこはライブでの正確さにもつながってくると思うので、マスターしたいなと。

――アルバムレコーディングを経たことで、歌い方も変わってきそうですね。

田中：実際に変わったと思います。ユニットのライブで、これまでの曲の練習をしているときも、言葉の立たせ方とか、マイク乗りが以前と違っていて、自分の中で進化を感じて、嬉しく思っているんです。

――その変化って、例えばキャラソンでも同じなのですか？

田中：それが面白いことに、こだわりたい部分がすごく変わっていたんですよ。声の使い方としては、ちゃんとキャラクターになる声質にするんですけど、パッと切るところはこことか、後ろのサウンドに合わせてゆったり歌うけど、サビは粒として立たせようとか、いろいろなことを考えるようになりました。

今までは心地よく歌っていたけど、ソロのレコーディングで、歌うときに考えなくてはいけないことがものすごくあるということを学んだ結果、これまでより考えられることが増えたんです。だから、より良いものを作れたらいいなって、今は思っています。

――どちらにもいい影響を与えているんですね。

田中：特に小久保さんは、私とすごく向き合ってくださったので。「Crier」だけでなく、他の曲もOKが出るまでは何度も何度も歌わせてくれたので、鍛えられました（笑）。

お互い全部出しきれるような楽しいライブにしたい

――「Crier」は、疾走感のある曲で、ラップ調のところもあって、結構要素が多い曲ですよね。

田中：レコーディングでは今までの武器を勢揃いさせて、このようなものを持ってきましたと歌ったんですけど、それでは全然太刀打ちできず。そこからブラッシュアップさせてもらうような作業をずっとしていました。

――この曲の歌詞だったら、どこを立たせたい、伝えたいと思いましたか？

田中：自分の好きなところというのならば、〈答えのない世界に夢を持つなら諦めずにほら自分を信じて〉という一番のサビです。ここには励まされたし、そうだよなって思いました。

日常の中で試練にぶち当たると視野が狭くなって、自分の中でぐるぐるしちゃうし、周りの景色や人とか物事が見えにくくなっちゃうと思うんですけど、そんなときに「Crier」は、それでも前に進む強さをくれる曲だと思っているんです。

それでも進んでいけばいいじゃん！未来はわからないけど、今までやってきたことがあるんだから、自分を信じて前へ進んで行きなよ！みたいなメッセージをくれる曲なので、アーティスト活動の始まりとして、私自身も応援してもらえた曲だったので、歌詞に励まされながら歌っていました。

――まさにここまで話してくれたようなことを、伝えてくれている歌詞な感じがします。

田中：時間の制限もあるのでレコーディングは本当に手探りで、がむしゃらだったんですけど、それも「Crier」に合っているかもなって思いました。

――でも、本当に、声優も歌手も〈答えのない世界〉ですよね。

田中：そうですね。誰かに答えを求めても、いやいや正解なんてないから全然大丈夫だよって感じになるんです。だからこそ、ちゃんと自分としてその世界に進んでいって、自分を信じて表現していかなければいけないんだなって、噛みしめることができる曲でした。

――お話してくださったように、田中さんがすべて真剣にぶつかってきたから、それを噛み締めて歌うことができたかもしれませんね。ちなみにラップ調のところはどうでしたか？

田中：これまでもラップは歌わせてもらっていたんです。コンテンツ作品の曲でもちょこちょこラップパートはあったので。

でも、以前にラップもカッコよく歌えるようになりたいと思うきっかけがあって、めちゃめちゃ練習していたんですよ。それを家族は見てくれていたので、活かせて良かったねとは言われました（笑）。

――まずは10月2日にリリースされるデビューアルバム『Crier』で、いろいろな田中さんが見ることができそうですね。

田中：リード曲の「Crier」は強い楽曲ですけど、そうではない楽曲などもあって、楽しいアルバムになっていると思います。私が作詞に参加させてもらった「Dear STELLA」という曲もありますので。

――結城アイラさんとの共作でしたね。

田中：そうなんです！　アイラさんは、NOW ON AIRのときからのご縁で。そのときはサウンドプロデューサーをしてくださっていたので、ソロ活動でまたご一緒できるというのは感慨深かったです。

本日6月26日、26歳になりました✨
そして…！

ランティスさんより、10月2日にDebut Album「#Crier」でソロデビューさせていただくことが決定いたしました！
25年1月11日には1st Liveも開催させていただきます！

アーティスト田中有紀を、これからよろしくお願いいたします！https://t.co/ANpovwjQ4C pic.twitter.com/MCnbxq0AQH
— 田中有紀@10月02日Debut Album 「Crier」発売 (@yuki_t0626) June 25, 2024