『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』渕崎ゆり子さん、池澤春菜さん、アミノテツロー監督、高見明男さんインタビュー|28年の時を経て語られる制作秘話。黒沢太の再登場や、『WGP』でローラースケートを履くようになった理由とは
当時の渕崎さんと池澤さんの関係は、烈と豪そのままだった
――当時と今で、烈と豪への見方や解釈が変わってきたところはありますか?
池澤:なんか、どんどん可愛くなっていってますね。
渕崎:分かる。私、『レッツ&ゴー!!』の良さの一つは大人との関わりだと思っていて、登場する大人もすごく素敵じゃないですか。博士たちだけじゃなく、お父さん、お母さんたちも。年齢を重ねるにつれて、そういう人たちへのリスペクトが増してくるのはあるなと。
あとは烈っていつも一歩引いて豪を見ているところとか。豪も、意外と烈に言われると「なるほど」って納得して収まるんですけど、そこが偉いなと。ふたりの成長具合をより深く理解できるようになったと思います。
――当時よりも大人側の目線で見られるようになったというか。
渕崎:そうですね。あの時はやっぱり同じ子供の目線で見ていたので、豪に「お前は全くもう!」となるところも多少あったんですけど(笑)、今は良江さん(※烈たちの母)のほうに目線が移ってるところがあるのかもしれないですね。
池澤:私の場合、豪を演じていた頃は本当に余裕がなくて。その回で声がカスカスになっても、できることは全部やりきる、みたいなスタンスでしか演じられなかったんです。
ただ、それが今になると、多少成長しちゃった分、外側の目線からも見られるようになってしまっていて。もし、また豪を演じるとなったらそれじゃダメで、今の自分にある余裕を全部なくして、120%で演じなきゃダメなんだなって思っています。
だから、CMとかでまた豪を演じさせてもらう時は、ちょっとできるようになった自分をもう1回崩すというか、「できると思っちゃダメだ、カッコいい声を出そうとしちゃダメなんだ」って。そこまで崩さないと豪にはなれないと思いながら演じています。
あとは、私には当時の先輩方が余裕あるように見えていましたが、実は私と同じように120%でやっていたのかもしれないなと。今はその頃の先輩方に近づいて、もしかしたらちょっとだけ追い越せたのかもしれないって、当時の先輩方が見ていた光景がちょっとずつ見えるようになってきた気がしています。
あの頃の私には、みんな大人で、かっこよくて、余裕があってクールで……なんか軽々と全部こなしてるように見えていたんですよね。
渕崎:私もまったく同じだった。私たち以外の先輩方がいっぱいいた現場だったので。ただ、アフレコの思い出話となると終わった後に飲んでた時の話ばっかりで(笑)。でもスタジオの中で遊んでいる時と、本番が始まった時の切り替えの速さとかはピカイチで、今思い返しても一流の方たちばかりだったなと思いますね。
池澤:私たちを主役としてきちんと立ててくださりつつも、甘えは許されない雰囲気があったというか。「この作品を引っ張っていくのは烈と豪なんだよ。烈と豪の熱量がなかったら作品も止まっちゃうんだよ」っていう、覚悟みたいなものを教えていただいた現場でもあったなと思います。
――池澤さんは本作が初主演なのに対して、渕崎さんはそれまでにもキャリアを重ねられていたと思うのですが、当時はおふたりでどのようなお話を?
池澤:当時の私としては、「何があっても烈兄貴がフォローしてくれる」「烈兄貴がそこにいてくれるから何でもできる」みたいな意識があって。多分、作中の烈と豪の関係と、私と渕崎さんの関係はほとんどイコールだったんじゃないかと思います。
渕崎:私、元々後輩というか、年下の子の面倒を見るタイプではまったくなかったんですけど、最初の頃の春菜ちゃんが本当に危うげで……。
池澤:あの頃はもう本当に前のめりでやっていたので……「本泣きしちゃってもう声が出ません! ごめんなさい!」みたいな(笑)。
渕崎:もう見ていてすごくハラハラしてたんですけど、同時に新鮮で面白くてしょうがなかった(笑)。森久保祥太郎さんもそうでしたけど、私にとって春菜ちゃんみたいなタイプも初めてだったし、本当にワクワクするような現場だったんですよ。話を聞いてると知らない話がいっぱい出てくるし、ミニ四駆もどんどん作っちゃうし(笑)。
池澤:ジャパンカップに普通に参加して、結構いいところまでいったりしてました(笑)。
渕崎:最初の頃こそそんな感じだったんですけど、どんどん私の方が教わることが増えてきて、今なんかもう頼りっきりですからね。イベントとかインタビューも「ウチには春菜ちゃんがいるから大丈夫」って気持ちでやっています(笑)。
池澤:私の方も同じなので……めっちゃお互いに頼り合いながらやっています(笑)。
――おふたりはそのまま続編の『MAX』にも、違った役どころで出演されていますよね。収録も心境的には違いましたか?
池澤:そうですね。主役の椅子を豪樹と烈矢に渡して、新しい世代の『レッツ&ゴー!!』を作っていくところを、私たちはちょっと別の場所から見守っていたような感覚でした。実際、マリナとミナミちゃんっていう大事な役を任せていただいて、引き続き作品に関われたことはとても嬉しかったです。
渕崎:愛があるなって感じました(笑)。だって、前作の主役ふたりが揃って続編でヒロインを演じるって、なかなかないというか、普通はありえないじゃないですか。
高見:でも、ファンは喜んだんじゃないですか? 少なくとも僕はそう思いますよ。『レッツ&ゴー!!』からの繋がりみたいなのを感じられますし。
渕崎:もしそうだったら良かったなって。私自身も本当に嬉しくて、心を込めて演じさせていただきました。マリナとミナミで、また春菜ちゃんと間逆の役どころだったのも面白かったですね。