夏アニメ「先輩はおとこのこ」連載:早瀬 藍役・加隈亜衣さん×早乙女 純役・梶原岳人さん|好きっていう気持ちを育てるのも消すのも、その人自身の力でないと無理
竜二は周りに対しては器用なのに、自分のことになるとめっちゃ不器用
――咲についてはいかがでしょうか?
梶原:咲ちゃんは元気で瑞々しくて人当たりもいいのですが、ひとつ間違えたら崩れてしまいそうな危うさもある子だと感じています。あの元気さは、何かを隠すためのものなのではと、心配になっちゃいますね。表で見えている姿がすべてじゃないという人間の不安定さや裏側も垣間見える、人間味のあるキャラクターだと思います。
加隈:みんなに好かれたい、嫌われたくない、わがままを言ったら嫌われるかも、迷惑をかけたら嫌われるから言えないなっていう咲ちゃんの感覚。私もわりと近しい部分があるから、共感できるんです。ただ、咲ちゃんって「嫌われてもいい」と思った竜二との付き合いが結果的にいちばん楽しそうなんですよね。自分の素直な気持ちを見せるのには勇気が必要だけれど、その分きっと甘えることができるようになると思うんです。
――確かに、そうかもしれません。
加隈:だけど、彼女は自分の特別が何かをずっと探し続けていて。しかも、周りをよく見ている子だからこそ、自分以外の人がキラキラ見えて、自分は空っぽだ、自分には誰も目を向けてくれないという焦燥感を抱えている気がします。相手を傷つけたくないという思いと同時に、自分に自信がないから、伝えたいことがあっても飲み込んじゃうのかも。彼女には、すぐそばに素敵な人たちがいて、素敵な関係が築けているよと伝えてあげたいですね。
――竜二についてはいかがでしょうか?
梶原:竜二はめちゃくちゃ友達思い。言っている言葉がまっすぐだから誰かを助けられる存在だし、誰かから助けてもらえる存在でもあると思います。そんな竜二も、複雑な悩みを抱えていますよね……。まことを好きになるという感覚が普通なのか、普通じゃないのか。同じような悩みをもし学生時代に僕が抱えていたら、打ち明ける人をめちゃくちゃ選ぶだろうな。彼の悩みは、簡単に解決できるものではないと思います。
加隈:竜二は本当にいい人。まことのためにピアスを開けたり、誰かのために身を挺してでも守ってあげたり。男気がある子だなと思います。
――まこととの対比という面では、ちょっと自分を貫けないところがある気がします。
加隈:そうなんですよね。相手を優先する優しさのほうが勝っちゃう。周りに対してはめっちゃ器用なのに、自分のことになるととても不器用ですよね。そこが愛おしくもあるのですが。そんな竜二には、幸せになって欲しい!
――咲を演じる関根明良さんも、竜二に幸せになって欲しいとおっしゃっていました。
加隈:それだけの魅力を持った人物なんだと思います!
好きっていう気持ちを育てるのも消すのも、その人自身の力でないと無理
――アフレコはいかがでしたか?
梶原:空気感がすごくナチュラルで、要らぬことを考えず、その場の空気に身を任せて自然に演じることができました。あとは明るい現場でしたね。
加隈:そうだね。ずっと喋っているような現場だったかも。修学旅行のシーンでは「キュンキュンするよね!」とキャッキャしていました(笑)。あとはお腹が空いている人が多くて、お腹の音との戦いが現場では繰り広げられていました。
梶原:そうでしたね(笑)。
加隈:印象深かったのはハトの声。スタッフさんたちが細かくディレクションするくらいこだわっていて、演者たちがざわついていました(笑)。面白くて、思わず笑っちゃったので、見逃した方はぜひ見返してみてください。あとは、早乙女くんの告白シーンで噛むのが大変そうだった!
梶原:大変でした……。噛みづらい言葉で自然に噛むというお芝居がすごく難しくて。
加隈:文字としては自然でも、音になると不自然になっちゃうっていうこともあるもんね。
――本日は色々なお話ありがとうございました。最後に本作の推しポイントを語っていただければと思います!
梶原:簡単ではない悩み・問題をテーマに扱っていますが、読んだ人が前向きになれるような描写が本当にたくさんあります。それが素敵だなと思いながら原作を読んでいました。アニメではそこにお芝居が付き、より繊細さが増して、言葉をかける相手の気持ちが伝わりやすくなったり、見ている方が受け取りやすくなったりと、表現の幅が広がっていると感じています。きっと「見てよかった」と言ってもらえる作品だと思うので、最後までまことたちを見守っていただければと思います。
加隈:かわいさと美しさのバランスが素敵で、儚さや危うさが絵や物語のなかに詰まっている作品です。アニメの収録時には、あたたかく作品を届けられるように、スタッフさんがひとつのワードにこだわったり、会話のバランス感を繊細に考えたりしていました。その思いがアニメにものっていると思います。
好きっていう気持ちを育てるのも消すのも、その人自身の力でないと無理です。だからこそ、周りがその気持ちを潰すことは違うと思うんですよね。あのときはこうだったかもしれないから気をつけよう、気持ちの届け方をこうしたら相手が喜んでくれるかもしれないという気づきや勇気を与えてくれる本作。アニメの物語もラストスパートとなっていますが、ぜひ見届けていただけたらと思います。
[文・M.TOKU]
作品概要
■放送情報
2024年7月4日よりフジテレビ"ノイタミナ"ほかにて毎週木曜24:55〜放送予定
※放送時間は変更の可能性がございます
■配信情報
Netflix/U-NEXT/アニメ放題にて
2024年7月4日より毎週木曜25:25~見放題先行配信!
その他配信プラットフォームでも順次配信!
あらすじ
男だけど可愛いものが大好きで、女の子の姿で高校生活を送る“男の娘”・花岡まこと。
ある日の放課後、まことは、“女の子だと勘違いしたまま”の後輩女子・蒼井咲に告白をされる。
「実は自分は男の子なのだ」と打ち明け、告白を断るまこと。
しかしまことの予想に反し、咲はあきらめるどころか、「男女両方の先輩が楽しめる」とテンションアップ!
さらに、「私が先輩の初恋の人になってみせます」と宣言して……。
可愛いものが大好きな、まこと。
まことに恋をする、元気いっぱいの後輩・咲。
まことを近くで見守り続けてきた、幼馴染の竜二。
3人の、恋と友情と、成長の物語がはじまる――。
キャスト
花岡まこと:梅田修一朗
蒼井 咲:関根明良
大我竜二:内田雄馬
花岡美香:中原麻衣
大我小夏:前田佳織里