史上初の試み“全身吹替”とは? “作品全体を壊しかねない”プレッシャーの中で感じた吹替の楽しさ|『ビートルジュース ビートルジュース』日本語吹替版 ビートルジュース役・山寺宏一さん×アストリッド役・伊瀬茉莉也さんインタビュー
ティム・バートン監督の最新作『ビートルジュース ビートルジュース』が2024年9月27日(金)より公開中です。
本作は、1988年に公開された『ビートルジュース』の35年後を描く続編です。前作から引き続きビートルジュース役をマイケル・キートンが、リディア役をウィノナ・ライダーが演じています。また、リディアの娘アストリッドを演じるのは、『ウェンズデー』でウェンズデー役を演じたジェナ・オルテガ。ハリウッドの新旧オールスターが揃ったキャスティングにも要注目な作品となっています。
『ビートルジュース ビートルジュース』でもホラーコメディとして話題の魅力は健在。その作品の「怖くて」「楽しい」作品の良さを最大限に引き出すために、吹替声優陣も豪華。担当キャストをみれば、アニメファンのみなさんなら、その声がきっと自然を聴こえてくる人ばかり。きっと、「吹替で観よう!」と思えるはず。
本稿では、そんな吹替キャストの中からビートルジュースを演じる山寺宏一さんとリディアの娘であるアストリッドを演じる伊瀬茉莉也さんのおふたりにインタビュー。史上初の試みである“全身吹替”について、作品の印象、吹替ならではの醍醐味などを語っていただきました。
目次
- 吹替と字幕、両方楽しんでほしい『ビートルジュース ビートルジュース』
- ティム・バートン監督も絶賛した“全身吹替”とは
- 外すのは簡単、合わせるのは難しい。生身の人間に声を当てる吹替の難しさ
- 『ビートルジュース ビートルジュース』作品情報
吹替と字幕、両方楽しんでほしい『ビートルジュース ビートルジュース』
――元々『ビートルジュース』にはどんなイメージを持っていましたか? 実際に今回吹替をやってみて、どう感じましたか?
ビートルジュース役・山寺宏一さん(以下、山寺):1作目には関わっていませんが、ティム・バートン監督の初期のヒット作というイメージが強かったです。ビートルジュースというキャラクターに関しては、マイケル・キートンさんが演じるキャラクタービジュアルが、まず浮かんできましたね。今回改めて観賞して、「これぞホラーコメディ!」と感じました。
アストリッド役・伊瀬茉莉也さん(以下、伊瀬):1作目が公開されたのが1988年で、実は私も1988年生まれなんです。ですので、自分が生まれた年に公開された映画ということもあって、今回出演の機会をいただいて、ようやく『ビートルジュース』という作品をちゃんと知ることになりました。
ティム・バートン監督の作品は『チャーリーとチョコレート工場』など、いろんな映画がありますけど、この『ビートルジュース』の世界観は35年前から全然ぶれていないなと感じました。監督が表現したい世界観が初期の『ビートルジュース』の頃からずっと根付いていたんだな、と感動しました。
今回、続編に出演させていただくことになって、35年の時を経て、リディアが母親になり、その娘アストリッドを演じることができたのは本当に光栄です。
――実際にアストリッド、ビートルジュースを演じてみて、どうでしたか?
伊瀬:ジェナ・オルテガちゃんが演じるアストリッドというキャラクターは、思春期特有の内向的な部分があって、母親とうまくコミュニケーションが取れない葛藤が描かれていました。そういった部分を表現するのは少し難しかったですが、とても楽しかったですし、やりがいもありました。
山寺:マイケル・キートンさんは、声をしっかり作り込んで演じていらっしゃるので、ビートルジュースといえばこういう感じなのかなと思って、自分のできる範囲でなるべく寄り添うように演じました。
マイケル・キートンさんは台詞は声を作っているんだけど、歌になると、普通の声になるんですよ。歌は、僕が吹き替えていないので「山ちゃん、何声作ってるの?」って思うかもしれませんね。でも、字幕版を観たらわかると思いますが、「マイケル・キートンさんもそんな声だから!」というのは先に言っておきたいです(笑)。
伊瀬:山寺さんと一緒に試写を鑑賞させてもらったのですが、やっぱり山寺さんがビートルジュースを演じると、まるでマイケル・キートンさんが喋っているかのようにしか聞こえなくて、とても良かったんですよ。
ぜひ字幕も吹替も両方観て、しっかりと判断していただきたいですね。吹替版にも自信を持って観てくださいと言えるので!
山寺:茉莉也ちゃんをはじめ、他の声優陣も本当に豪華です。こういう扮装までしないといけないのに、よくOKしたなと(笑)。こんなに素晴らしいメンバーが集まったのは奇跡ですから、早くみんなで打ち上げしたいなと思っています。
――おふたりは同じ事務所の先輩後輩にあたりますが、山寺さんから見た伊瀬さんのお芝居はいかがでしたか?
山寺:今回もすごく良かったです。アニメはもちろんですが、吹替でも素晴らしい演技をする彼女を見て、「さすがだな」と思いましたし、嬉しかったです。
吹替の共演はそんなに多くはないんですが、事務所の後輩なのでいつも気にかけています。もう中堅どころかもしれませんが、僕にとってはまだ「うちの子」みたいな存在ですね。彼女がもう 20 年もこの業界でやっていると聞いてびっくりしちゃいましたね。