史上初の試み“全身吹替”とは? “作品全体を壊しかねない”プレッシャーの中で感じた吹替の楽しさ|『ビートルジュース ビートルジュース』日本語吹替版 ビートルジュース役・山寺宏一さん×アストリッド役・伊瀬茉莉也さんインタビュー
外すのは簡単、合わせるのは難しい。生身の人間に声を当てる吹替の難しさ
――吹替ならではの面白さや醍醐味、普段のアニメーションのアフレコとの違いについて教えていただければと思います。
伊瀬:私の場合、吹替のお仕事が楽しいなと感じられるようになったのは、ここ数年のことです。アニメーションのお仕事というのは、まだ音楽や絵が完成する前の状態でアフレコすることが多いんです。ですが、吹替の場合、完全に仕上がった映像が目の前にあって、生身の人間の演技に合わせて、原音を聞きながらアテレコするという点には、慣れるまで少し時間がかかりました。
でも、山寺さんや先輩方が見せるお芝居には全く違和感がなく、まるでキャストの口から日本語が自然に出ているように見えるんです。それを見て、「どうしてこんなに皆さん素敵なんだろう?」と感じました。
大学生の頃は、家で同じ映画を字幕で観た後、吹替でも観るということを繰り返していました。その時期に、自分でも練習したり、現場で先輩たちの姿を見て学んだりしていました。でも最近は、「アニメだから」「吹替だから」という区別が自分の中で少しずつ薄れてきて、演じるということ自体をもっと自由に楽しめるようになってきました。
今は、むしろ吹替のお仕事が好きになってきて、自分の中でいろいろ模索している最中です。吹替の仕事が本当に好きだなと感じるようになってきたところですね。
――山寺さんは吹替のお仕事でも長いキャリアをお持ちですが、どう思われますか?
山寺:僕は昔から洋画を見るのが大好きで、その世界に入れるというのは本当に嬉しいことでした。僕が子供の頃は、大人が見るアニメって今と比べて少なかったんです。もちろんいくつかはありましたが。
憧れのハリウッド映画に実際に出ることは難しいですが、声の仕事であれば参加できる。例えばアカデミー賞にノミネートされたり、オスカーを獲るような作品の吹替を担当するのは、本当に光栄なことだと思います。とんでもないことをやっているな、すごいなと思いますよ。
当然ですが映画においてセリフはとても重要な要素です。吹替え版でその声を担当することは大変な責任でもあります。特に、今回のようにマイケル・キートンさんというハリウッドを代表する俳優の吹替をするのは、本当に名誉なことです。
ただ、怖いの吹替が合っていなかったりすると、その作品全体を台無しにしてしまうということです。字幕版でオリジナルの声を聞いた方が良かったと思われてしまう。
ぴったりと声が映像に合って、まるでその人が日本語で喋っているかのように感じさせるのは、すごく難しいことです。だからこそ、毎回吹替の仕事には怖さを感じます。
昔はいろいろなバージョンの吹替版を作る事が多かったけど、今は1つだけというのがほとんど。だからこそ、自分が担当したバージョンがそのまま残る。アニメももちろん責任重大ですが、吹替には特別なプレッシャーがあります。
[インタビュー/失野]
『ビートルジュース ビートルジュース』作品情報
2024年9月27日(金)全国公開
あらすじ
そんななか、死後の世界で事件が起きる。何世紀にもわたり、死後の世界の倉庫に身体をバラバラに封じ込められていたビートルジュースの元妻・ドロレス(モニカ・ベルッチ)が復活してしまう。ドロレスはビートルジュースに復讐したい因縁があるらしく執拗に探し回るが、一年で最も不気味な夜が訪れるハロウィンの日に急展開が。なんとアストリッドが死後の世界に囚われてしまい、なんとか娘を助け出したいリディアは最終手段としてビートルジュースに助けを求めることに。
ビートルジュースへの復讐に燃えるドロレス、今度こそリディアとの結婚を成就させたいビートルジュース、死後の世界に囚われた一人娘を助け出したいリディア、はたしてハロウィンの夜に訪れる結末とは——。
キャスト
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