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- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。
10月より放送が始まるアニメ『ダンダダン』(原作・龍 幸伸)。幽霊を信じる女子高生・モモ(綾瀬桃)とUFOを信じるオカルトマニアの同級生・オカルン(高倉健)が、遭遇する怪奇な存在とのバトルを繰り広げる物語です。
マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」で連載中の本作は、コミック累計発行部数320万部(2023年11月時点)を記録し、同アプリの看板作品ともいわれる人気作。アニメ化が決定する前から様々なメディアにも取り上げられており、読んではないけどタイトルを聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本作の三大要素は「オカルト」、「バトル」そして「ラブ」。この3つの要素がテンポよく絡み合い、読者をジェットコースターのように揺さぶるのです。本稿では、原作ファンの筆者が「オカルト」、「バトル」、「ラブ」それぞれの魅力を解説していきます。
※本記事はネタバレを含みます。
本作最大の特徴は、妖怪や宇宙人、UMA(未確認生物)など、オカルト的存在が多数登場するところです。彼らは様々な特徴や個性を持っているのですが、どのキャラクターもゾッとするような不気味なビジュアル。
そんな怪奇な化け物たちが、すさまじいパワーでモモたちに襲い掛かるので、さらに怖さは倍増。しかも怪異たちには元ネタとなる都市伝説や逸話が存在しています。あまりオカルトを知らない人でも1つ2つはきっと聞いたことがあるはずです。
恐ろしく凶悪な妖怪たち。しかしながら、登場する妖怪たちは怖いだけの存在では終わりません。それぞれに憎めないバックグラウンドを抱えているのです。
例えば、オカルンが最初に遭遇し呪われてしまう妖怪・ターボババア。近代妖怪ながら非常に強い霊力を持つ妖怪で、昔から日本各地に出没しているといいます。
ターボババアが出没するのは決まって非業の死を遂げた少女の霊がいる場所であり、そのことからモモの祖母・星子は「成仏できない少女のところに行って慰めて回ってたのかもしれねえ」と推測。
ターボババアだけでなく、登場する妖怪たちは圧倒的な力でモモたちを殺そうとしてくるのですが、その多くが成仏できないほどの大きな未練や思いを抱えています。描かれる妖怪たちの背景に涙が止まりません。
様々な能力を持つ宇宙人たちとも熾烈な戦いを繰り広げるのですが、そんな宇宙人がなんと仲間になってしまうのです。
モモが初めて出会う宇宙人・セルポ星人は、一度はモモの超能力で撃退されてしまうのですが、再びモモやオカルンを狙って奇襲をかけてきます。賢いセルポ星人は、自分たちだけでは勝てないと考え、獰猛なUMAや他種の宇宙人を雇用してモモたちを襲撃。
モモたちは苦戦を強いられるのですが、なんとその中の1人が仲間に。彼はのっぴきならない事情を抱えており、モモたちを攻撃せざるを得なかったのです。その事情とは何なのか、果たして誰が仲間になるのか……この熱い展開をぜひ体感してください!
2つ目の魅力はバトル! 王道少年漫画にはなくてはならない要素とも言えますよね。本作の怪異たちとのスピード感あるバトルは見ごたえ抜群です。
モモはセルポ星人に捕まった際に能力が開花し、手のような形の念力で生物や物体を掴める超能力に目覚めます。しかしその超能力をもってしても怪異たちは皆手強く、襲い来る人知を超えた力を前に毎回窮地に立たされるモモたち。そんな状況を打開する瞬間がなんとも爽快なのです!
モモは自ら超能力を開花させますが、他の仲間たちは物語が進む中で妖怪の力を得て戦えるようになります。例えば、オカルンはターボババアに呪われたことをきっかけに、その力を使えるように。
初めはモモに呪いの力を抑えてもらわなければ自我を保つことができませんが、次第に成長し自分でも制御できるようになっていきます。妖怪の力は、戦闘力だけでなく人格や姿にも影響を及ぼし、その変化もユニークで魅力的。
のちに登場するアイラ(白鳥愛羅)やジジ(円城寺 仁)はどんな妖怪の力を得るのか……楽しみにストーリーを追ってください。
本作のバトルの面白さは、なんといってもモモの機転! 絶望的な状況であっても彼女は諦めたり狼狽えたりすることなく、柔軟な発想で打開策を考え出すのです。
自宅で巨大な宇宙人・フラッドウッズモンスターの奇襲を受けた際には、相手が相撲取りの格好をしていることに気づき、地面に手をつかせることを発案。また、巨大なカニの姿をした地縛霊に対しては、大浴場に逃げ込んでそこで熱湯を浴びせます。カニを茹でると身がしまることから、筋繊維が硬くなって動きが鈍くなると考えたのです。
モモの数々の打開策に仲間たちはいつも助けられており、「綾瀬さん天才っスか」と言われることもたびたび。それに対して必ず「知ってる」と返す彼女が私は大好きです。
彼女の柔軟な発想は頭の回転の速さももちろんですが、怪異を前にしても自分を見失わない胆力があればこそだと思います。普通なら恐怖で足がすくんでしまうような不気味な妖怪や宇宙人を前にしても「キモ!」「ヤバ!」などと発言し焦りや驚きは見えるもののモモはモモのまま。
彼女の戦いっぷりには「その発想はなかった!」とあなたもきっと驚かされることでしょう。
最後にご紹介する本作の魅力はラブ! 怪異たちとのハラハラドキドキの戦闘の間に入る高校生たちの恋物語にファンは別の意味でドキドキさせられています。メインとなるのは本作の主人公であるモモとオカルン。
怪異との戦闘では女子高生とは思えないほどの度胸で自分を見失うことのないモモですが、恋愛ではらしくない行動ばかり。そして不器用を自称するオカルンも恋愛でうまく立ち回ることができるわけもなく……。
恐ろしい妖怪や宇宙人たちとの戦闘の合間に描かれる高校生の甘酸っぱい恋模様もファンは楽しみに見守っています。
モモは友達も多く社交的なギャルですが、恋愛に関しては経験が浅く、オカルンに対する恋心の扱いに苦戦。対するオカルンは、モモが初めての友達であるため最初はそのことに浮かれていましたが、徐々に自分の気持ちに気づいていきます。
度重なる怪異との戦闘で絆を深めていき、相手への恋心も募らせていく2人。好きだからこそ時にはすれ違ってケンカをしたり、嫉妬したりしながら、少しずつ距離を縮めていく姿には読者もドキドキ・キュンキュンさせられます。
しかも、そんな甘酸っぱいシーンが思わぬ場面で挟まれてくるところがファンを虜にするポイント。怪異との戦闘でハラハラしていたかと思うと次の瞬間にはキュンとさせられてしまう、まるで感情がジェットコースターのように揺さぶられるのです。
恋愛だけではなく、高校生たちが友情を深めていく姿もぜひ注目していただきたいポイントです。
例えば、モモとアイラ。初めは自意識が高くちょっと嫌なキャラクターとして登場するアイラはモモとも相容れない様子でした。しかし、ストーリーが進むにつれて、口ではケンカしながらも内心では信頼し合う友達になっていきます。
また、オカルンとジジはお互いにモモを想う恋敵ではありますが、互いに親友と呼び合うような仲に。そんな高校生たちがワイワイと賑やかに過ごすシーンは、怪異の存在を一瞬忘れてしまうほど穏やかで微笑ましく見ることができます。アニメでも彼らの眩しい青春を見るのがとても楽しみです!
「オカルト」「バトル」「ラブ」と魅力たっぷりの『ダンダダン』。恐ろしい妖怪や宇宙人に恐怖を掻き立てられ、激しいバトルにハラハラさせられ、妖怪たちの過去に涙し、高校生の甘酸っぱい恋にキュンキュンする……。さらに、本稿では触れていませんが、ギャグ要素もあるので笑わせてもくれます!
今なら「少年ジャンプ+」で原作漫画が全話無料開放中。10/31までの期間限定公開とのことですので、原作漫画を読んでアニメの放送に備えてみてはいかがでしょうか。本稿をきっかけに『ダンダダン』のファンがひとりでも増えてくれると嬉しいです!
少年ジャンプ+|人気オリジナル連載が全話無料!の最強WEBマンガ誌
作品名 | ダンダダン |
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スケジュール | 2024年10月3日(木)〜 MBS/TBS系28局「スーパーアニメイズムTURBO」枠にて |
あらすじ | 霊媒師の家系に生まれた女子高生・モモ<綾瀬桃>と、同級生でオカルトマニアのオカルン<高倉健>。 モモがクラスのいじめっ子からオカルンを助けたことをきっかけに話すようになった2人だったが、「幽霊は信じているが宇宙人否定派」のモモと、「宇宙人は信じているが幽霊否定派」のオカルンで口論に。 互いに否定する宇宙人と幽霊を信じさせるため、モモはUFOスポットの病院廃墟へ、オカルンは心霊スポットのトンネルへ。 そこで2人は、理解を超越した圧倒的怪奇に出会う。 窮地の中で秘めた力を覚醒させるモモと、呪いの力を手にしたオカルンが、迫りくる怪奇に挑む!運命の恋も始まる!? オカルティックバトル&青春物語、開幕! |
キャスト | モモ<綾瀬桃>:若山詩音 オカルン<高倉健>:花江夏樹 星子:水樹奈々 アイラ<白鳥愛羅>:佐倉綾音 ジジ<円城寺仁>:石川界人 ターボババア:田中真弓 セルポ星人:中井和哉 フラットウッズモンスター:大友龍三郎 アクロバティックさらさら:井上喜久子 ドーバーデーモン:関智一 太郎:杉田智和 花:平野文 |
スタッフ | 原作:龍幸伸(集英社「少年ジャンプ+」連載) 監督:山代風我 シリーズ構成・脚本:瀬古浩司 音楽:牛尾憲輔 キャラクターデザイン:恩田尚之 宇宙人・妖怪デザイン:亀田祥倫 色彩設計:橋本賢 近藤牧穂 美術監督:東潤一 撮影監督:出水田和人 編集:廣瀬清志 音響監督:木村絵理子 アニメーション制作:サイエンスSARU |
主題歌 | OP:「オトノケ」Creepy Nuts ED:「TAIDADA」ずっと真夜中でいいのに。 |
1990年生まれ、福岡県出身。小学生の頃『シャーマンキング』でオタクになり、以降『鋼の錬金術師』『今日からマ王!』『おおきく振りかぶって』などの作品と共に青春時代を過ごす。結婚・出産を機にライターとなり、現在はアプリゲーム『アイドリッシュセブン』を中心に様々な作品を楽しみつつ、面白い記事とは……?を考える日々。BUMP OF CHICKENとUNISON SQUARE GARDENの熱烈なファン。