多種多様な仲間が暮らすベルン村の一員になった気持ちで見てほしい──秋アニメ『さようなら竜生、こんにちは人生』武内駿輔さん、関根瞳さん、大橋彩香さん、佐々木未来さん、松永あかねさんによるキャスト座談会
アフレコではキャラクターの息づかいを大事に
――皆さんは、アフレコではどんなことを大事にされましたか?
武内:竜と人間は違う生き物ですけど、同じ部分と異なる部分があると思うんです。例えばドランの信念という部分は人間になっても変わっていませんし、逆に体躯は大きく違っている。この共通することと異なることは、演技でもしっかり意識するようにしました。音響監督の阿部(信行)さんも調整してくださった部分です。
関根:セリナはかわいらしい女の子ですが、あざとい感じではなく、自然体のかわいらしさだと思うので、変にデフォルメしないようにしています。最初のアフレコでも気をつけてほしいというディレクションをいただきました。大変だったのは、戦闘などでセリフに力が入るところですね。私の場合、息を入れると年齢感が上がって、少し大人っぽくなってしまうんです。
武内:これは全員だと思いますけど、阿部さん(音響監督の阿部信行さん)は音色の統一感やキャラクターの息づかいをすごく大事にされていましたよね。
関根:そうなんです。「今の息は少し大人っぽすぎるから、セリナの息づかいにしていきましょう」というディレクションをいただきました。
武内:息づかいを大事にされていたのは、最初から映像が出来上がっていたのもあると思うんです。
――ちゃんと色がついた映像でアフレコされていたんですね。
大橋:アフレコがカラーでできるのは嬉しいんですけど、逆にパク(キャラクターの口の動き)に合わせるのが難しかったりするんですよね。
関根:そうなんです。でも、セリナはこういう間合いで喋るんだという新しい発見もありました。
武内:自然な日常の掛け合いと、完成されている間合いのせめぎ合いというんでしょうか。アニメーターさんのつけた演技と自分の呼吸感を合わせるのは新鮮なチャレンジでした。
――では、他の皆さんはアフレコでどんなことを大事にされましたか?
大橋:クリスティーナはコメディチックなシーンもあるので、どこまで振り切っていいかその加減が難しかったです。普通にやるとコメディじゃなくなりますし、かといってやりすぎるとクリスティーナから外れてしまうんです。結果、阿部さんに相談させていただいて、シリアスなほうがギャグも映えるから、真面目さを強めに出していこうとなりました。
あとは戦闘シーンの息づかいも気をつけました。息を入れすぎると焦って見えるので、クリスティーナは優秀な剣士だと意識して、弱く見えないように調整しました。
佐々木:ディアドラは、とにかく強さです。先ほどお話しさせていただいたように、クールな見た目と裏腹に慈悲深さや優しさがあるんですが、ともすると優しくなりすぎてしまうので、なるべく強い女性を意識するようにしました。それから、感情を出しすぎると弱く見えてしまうので、戦闘では感情をあらわにする部分でもなるべく余裕を持たせるようにしています。
松永:幼くて天真爛漫なアイリちゃんですが、真面目に魔法に取り組んでいて考え方もしっかりしているので、最初は私の中のアイリちゃん像が少し大人になっていたんです。アフレコでは「もう少し幼く」というディレクションを何度かいただいて、自分なりに幼い子の研究をしたり、子供なりの恋愛感情を考えたりしながら調整していきました。
――アフレコ現場の様子はいかがですか?
武内:すごく和やかで、一つの村みたいですよね?
大橋:確かに!(笑) ベルン村みたいです。
関根:初めて共演させていただく方もいらしたんですが、武内さんが中心になってお話ししてくださったので、現場自体がすごく楽しかったです。
武内:この現場特有なんですが、テスト(リハーサル)が終わるたびに「さっきのよかったです」って褒めてくださるんですよ。それを一人一人に対してやられているので、すごくありがたいですね。
佐々木:阿部さん、たまに小噺をされるときもありますよね?
大橋:先生みたいに「皆さん元気ですか?」という確認から入り、自分の健康状態などを話されて、ひとしきりおしゃべりしたあとにアフレコに入るんです。すごく和やかな現場です。
松永:私はすごく緊張していたので、現場の雰囲気が温かくてホッとしました! あと、ピザが描かれためちゃくちゃ適当なスエットを着ていったことがあって、そのときに武内さんに「そのピザなんですか?」とツッコミを入れられたの覚えています(笑)。
武内:着てましたね!
一同:(笑)
武内:普通にかわいいスエットでしたよ! インパクトありましたけど。
佐々木:私は、この現場でひとみん(関根)と久しぶりに会ったんですよ。5年前に一緒にラジオをやっていたとき以来だったから、すごく嬉しくて。でも、久しぶりに会ったら金髪になっていてびっくり!
武内:宣材写真も黒髪だよね?
関根:そうなんです! 当時も宣材写真も黒髪なので、確かに驚かれたかも(※現在は最新のものに更新されている)。私も未来さんとどこかで絶対に共演したいと思っていたので、嬉しかったです!
――では最後に、いよいよ放送がスタートする本作の見どころを改めて教えていただけますか?
松永:アイリのドランさんへの気持ちはどうなっていくのか、ドランさんたちの戦いはどこへ向かうのか。戦闘中心の話数は私もまだ見られていないので、皆さんと一緒に見守っていきたいと思っています。最後まで応援よろしくお願いします。
佐々木:序盤はぜひベルン村の温かさに注目していただきたいです。そして、ドランをはじめ、それぞれがどう成長していくのか最後まで見届けていただきたいなと思います。ディアドラの登場も楽しみにしてください。
大橋:クリスティーナ役としては、ドランやセリナ、ベルン村の皆さんと交流する中で変化していく部分と、彼女の華麗な剣技を楽しみにしていただきたいです。何やら秘密も抱えているようなので、そちらにも注目していただけたら嬉しいです。
関根:この作品は、ほっこりするシーンとかっこいい戦闘シーンの二つを味わえる作品です。まずはベルン村のゆったりとした空気感を味わっていただいて、自分も村の一員くらいのテンションで楽しんでいただけたら嬉しいです。
武内:『竜生』は、ローカルなコミュニティの中だからこそ生まれる対人関係の魅力に溢れています。ドランはさまざまな種族の架け橋になれるのか。SNS全盛の現代ともリンクする気がしますし、学びも多いのではないかなと思います。とはいえ、まずは日常シーンや戦闘シーンを楽しんで、作品に入り込んでいただけたら幸いです。
(文:岩倉大輔/写真:松本祐亮)
作品概要
あらすじ
悠久の時を生き、神々すらひれ伏す絶大な力を持つその竜は、孤独と共に己の死を受け入れた。
しかし、次に気がついた時、竜は辺境の村人ドランとして第二の生を受けていた。人間として竜よりずっと短い生を生きることになった彼は、畑仕事に精を出し、食を得るために動物を狩る……。
質素ながらも温かい村での生活に、ドランの心は竜生では味わえなかったささやかな喜びで満たされていく。しかしそんなある日、沼地の調査に出かけたドランの前に、セリナと名乗る半身半蛇のラミアが現れる。
伴侶を探して旅をしている彼女は、ラミアなのに人間を誘惑するのが苦手だという。人と魔物、相容れぬ存在ながらも次第に心を通わせていく二人。
だが、二人の前には様々な外敵が現れて――!?
辺境から始まる、元最強最古の竜の“生き直し”ファンタジー!
キャスト
(C)永島ひろあき・アルファポリス/「さようなら竜生、こんにちは人生」製作委員会