令和の時代にここまでの直球青春恋愛作品は逆に珍しい!? 友情に部活に恋愛模様……『アオのハコ』が人気を集める3つの理由
人気の理由②:青春の全てをかけて打ち込む姿が胸を熱くする部活動
先にも触れたように、物語の舞台となる栄明中学高等学校はスポーツ強豪校。
作中では学生達が部活動に青春を捧げる姿が胸を熱くしてくれます。
スポットが当たる部活は、学校の体育館で活動するバドミントン、バスケットボール、新体操の3つ。
そこで汗を流す高校生達には、強豪校であるがゆえの期待が寄せられていて、プレッシャーも並大抵のものではないはず。
例えば体操元日本代表の父を持ち、中学時代も新体操の大会で輝かしい成績を収めてきた雛は、1年生にして既に大きな期待と重圧を背負っています。
辛いこともあるはずですが、普段から努力を努力と思わず、自分にストイックな姿勢を崩しません。
そんな彼らが取り組む部活動は、勝者が生まれれば、敗者も生まれる世界。
努力をしたからといって報われるとは限らず、涙をこぼすほど悔しい思いに打ちひしがれることだってあるでしょう。
それでも顔を上げ、それぞれの目標に向かって一直線に努力を続ける姿は、私達に元気や勇気を与えてくれます。
そして忘れてはならないのが、やけどするほど熱い試合シーン。
三浦先生はバドミントン経験者で、作中に登場する部活動の中でも、バドミントンにおける迫力ある試合の描写は息をのむほどの臨場感に心をつかまれます。
体育館に響くシューズの音、羽を打つラケットの音、滴り落ちる汗。
一進一退の攻防は、一瞬たりとも見逃すことはできません。
人気の理由③:心に響く直球のラブストーリー
部活動と共に大きな存在として描かれるのが、直球で爽やかな恋愛模様です。
恋愛漫画があふれる今だからこそ、まっすぐな物語が楽しめる本作は、多くの人の心に響きます。
物語の中心にあるのは、大喜と千夏の恋の行方。
1歳差で違う部活のため、同じ体育館で部活動に励むも当初は話したことがなかった大喜と千夏。
当初は千夏から名前を呼んでもらえただけで舞い上がっていた大喜でしたが、一つ屋根の下での同居をきっかけに、その距離は一気に縮まることに。
「いってらっしゃい」の言葉にドキドキしたり、先輩男子と親しく話している姿にモヤモヤしたり、千夏の一挙手一投足に心動かされる大喜。
何とも可愛らしく応援せずにはいられない恋愛模様が繰り広げられていきます。
そんな大喜はとにかく一途で、千夏に対して純粋な気持ちを持つ少年です。
作中で、千夏はインターハイを目指すため、海外赴任する親にはついていかず一人で日本に残ることを決心。
それを知った大喜は、今の自分では釣り合わないと考え、自分も同じ年にインターハイに出ることを決意します。
これだけでも、大喜の真摯さが伝わるはず。
対する千夏は1人の人間として魅力的に描かれていて、バスケに向かう熱量の高さは、バドミントンで少しでも強くなろうともがく大喜と重なります。
お互いを少しずつ知る過程で、千夏の大喜に対する気持ちがどう変化していくのかも見どころです。
そして、本作では恋愛の喜びや楽しさだけでなく、思い通りにならない苦しさやしんどさがリアルに表現されているのもポイント。
・好きな人が自分ではなく別の誰かを目で追う姿を見た時の胸の痛み
・叶わないと知りながらも、抑えることができない恋心
こうした部分からも目をそらさず、その時に抱く気持ちを細やかにとらえたキャラクターの表情や仕草、台詞の1つひとつが丁寧に描かれていて、感情移入してしまうこと必至です。
最後に
部活に全身全霊を傾ける熱さ、そして恋愛の甘酸っぱさや、ほろ苦さを思いっきり味わうことができる本作。
そこには様々な「好き」の形があり、現在学生生活を送っているあなたも、かつて学生だったあなたにも刺さるものがあるはず。
ぜひ原作漫画やTVアニメを通して、直球の青春を味わっていただけたら幸いです。