『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅤ 豊穣の女神篇』ヘディン・セルランド役 島﨑信長さん|「リアルに想像してみてほしい……5時間前から待ち合わせ場所でデート相手を待つ時の気持ちを」【連載第2回】
5時間前から待ち合わせ場所でデート相手を待つ気持ちを想像してみてほしい
──そんなヘディンはベルのためというより、シルのためにベルを鍛えているような印象があります。ヘディンを演じる島﨑さんから見たシルの印象も教えてください。
島﨑:清純な感じを受けますが、案外したたかさも持っているなと。多分みなさんもそう思っているのではないかという気がしています。
でも逆にそこが良いとも思います。彼女のあざとさやしたたかさから、今の段階だと嫌な感じを受けないので。どこか品があるんですよね。その塩梅がちょうど良いですし、そういう一面も好きになってしまうようなキャラクターですよね。
僕の目線でいうと先のことが想像しやすい子かなと思います。ピュアなところがあってもしっかりしていることが伝わってくるといいますか。オラリオではなく現実世界の大人の目線になってしまいますが、自分がリアルで一緒に生活することを想像できそうな相手だなとは思います(笑)。
──ヘディンが鍛えたベルとシルとのデートシーンに関しての感想もお願いします。
島﨑:ド頭から凄く良いですよね。ヘディンはベルのことを愚兎なんて呼び方をして、5時間前に待ち合わせ場所に行けなんてとんでもないことを教えるわけですが、「マジか!?30分前で良いだろ!」って思いますよね(笑)。
──5時間前からあの場所で待つとか、ありえないですよね(笑)。
島﨑:でもベルくんは言いつけを守ってそんなことをおくびにも出さず、5時間前から待ち合わせ場所にちゃんといる。アニメでは具体的な時間はおそらく描写されないのですが、シルもかなり早く待ち合わせ場所に来ているはずなんです。
だけどベルくんはキメキメの格好でずっとあの場所で待っていた。明らかにデートの待ち合わせなのにたったひとりでずっと。ベルくんなら逆にナンパされたりしている可能性も否定できないところではありますが、周りの人から「あの人なんかずっといない?」みたいにヒソヒソ話のネタにされていたかもしれない。
そういう色々な葛藤を見せず、ナチュラルにシルを迎えていたんです。その姿を見て僕は凄く成長したなというか、よく頑張ったなと思いました。僕だったら「やっときた――!」みたいな反応になっちゃう(笑)。
ぜひみなさんもリアルに想像してみてほしい……5時間前から待ち合わせ場所でデート相手を待つ時の気持ちを。初っ端から注目のシーンです。
──ありがとうございます。ヘディンの所属するフレイヤ・ファミリアの面々にどんな印象を受けたかもお聞かせください。
島﨑:これは全てのファミリアに言えることではありますが、とにかく個性的でクセが強い! 特にフレイヤ・ファミリアは所属人数も多く歴戦の猛者揃いなので、一筋縄ではいきません。だけど、結局みんなフレイヤ様が好きで、彼女への想いが強いところが良いファミリアだと思います。
弱小ファミリアだったら小さな家族みたいな状態なので、誰が欠けても立ち行かなくなる。だから支え合って力を合わせていかないといけない。
けれどフレイヤ・ファミリアの規模ならみんな実力者だし、ちょっと誰かが欠けただけならある程度の運営は成り立つ。みんな仲が悪いし口も悪い……だけど確かにフレイヤ様を中心として集まっているメンバーなんですよね(笑)。
どんなに憎まれ口を叩きあっていても、本当に殺したいと思うようなことを言ったとしても、彼らの根底にはそういう気持ちがあるんです。
──男性キャラクターが多いような印象を受けたのですが、島﨑さんが今後の活躍に注目してほしいキャラクターはいますか?
島﨑:ヘディン視点だとヘグニですね。謎の中二病みたいなキャラクターなのですが、そんな彼にも色々なバックボーンがあります。フレイヤ・ファミリアの幹部のひとりでもありますし、ヘディンとは腐れ縁のような因縁があります。
ヘグニへの対応や関係性は、他のメンバーとは一線を画すものがあるんですよね。それが今回どこまでみられるのかはぜひ期待してもらえればと。気になる方はぜひ原作を読んでみてください!
島﨑さんが考えるフレイヤの隠れた魅力
──そして、そんな彼らを統べるフレイヤの印象もお願いします。
島﨑:客観的に見てフレイヤ様は損をしているなって感じます。そういう立ち振る舞いをせざるを得ないのだとは思うのですが、やっぱりちょっと胡散臭いですよね。真意が伝わらなかったりして、もったいないなとも思います。
本人はできる女神な感じで振舞っていますが不器用な人って感じですし、彼女を見ているともっとスムーズにいくようにしてあげたいとも思います。ヘディンにもどこかそういうニュアンスがあるんじゃないかなと。
ファミリアの中には色々なキャラクターがいますが、ヘディンはフレイヤ様に忠義を誓いつつも盲目にはなっていないタイプです。客観的に物事を見られる人なので、彼は彼女のそういった一面もわかっているんじゃないかと感じています。
フレイヤ様はオラリオの中でも美しいとか、素晴らしい神だとかもてはやされているじゃないですか。でも紐解いていくと、女神的な部分ではなく人間臭い魅力がしっかりとある。だからこそ、そういう胡散臭く見られがちな動きをせざるを得ないんじゃないかって。
──確かに黒幕感や胡散臭さはありますね。
島﨑:でも本当に器用だったらヘスティアをはじめ他のキャラクターたちから好かれるようにするのが一番楽ですし、胡散臭さは出さないはずです。
どこかのファミリアと折り合いがつかなかったり、喧嘩を売ってしまったり、何を考えているのかわからないとか胡散臭いと思われたり。色々な気持ちが相手に伝わっていないのは不器用だからですよね。
そこには立場やプライドが絡んでいたりするのですが、そこが彼女の良さだったりもする。そんな一途さや不器用さ、頑固さがフレイヤ様の隠れた魅力なのかなと思います。彼女のキャラクター性が明らかになっていくのが楽しみです。みなさんもどんどん色々なものが見えてくると思います!
──ありがとうございます。最後に第3話以降の見どころや個人的に注目してほしいシーンをネタバレギリギリの範囲で教えてください。
島﨑:アニメ『ダンまち』はこれでもかと原作の要素を限界まで詰め込んでいるので、終盤はテンポも展開も怒涛です。それにしっかりついていき素敵なお芝居ができるキャストが揃っていますから、現場のスムーズさや熱さも含めてアフレコしていて楽しかったです。
第3話までは色々なことが起こりつつもまだ平和で、楽しいシーンがいっぱいあります。でもずっと和気藹々と平和でいられるはずもなく……色々な大きな動きの初動が見えてくる。
第4話以降ではとんでもないことが起きてしまい、ベルくんがどんどん擦り減っていきます。アフレコで禎丞も苦しいといっていました。でもそれはまだ先の話なので、その苦しい展開に備えて、心と身体を段々と慣らしてから楽しんでもらえたら嬉しいです!
──第4期でリュー・リオンと心身共にボロボロになったベルを演じた松岡さんをして、苦しいと感じる展開が待っている……と。
島﨑:今回は肉体的な苦しみというよりも、ベルくんの心が折れるかどうかの精神的な戦いです。何のために頑張っているのかとか、そういう彼の根幹の部分が揺れ動きます。辛い展開ですが最後までご覧いただければ、きっとお楽しみいただけると思います!
作品概要
あらすじ
キャスト
(C)大森藤ノ・SBクリエイティブ/ダンまち5製作委員会