『鴨乃橋ロンの禁断推理』TVアニメでロンを演じる阿座上洋平さんと、舞台でロンを演じる岸本勇太さんによる”Wロン対談”！　アニメと舞台……それぞれからロンを演じる”違い”に迫る

僕が見えなかったロンを別角度から見せて欲しいと思います（阿座上）

──この秋からアニメの2nd Seasonと舞台の上演が始まるわけですが、お互いの作品で注目しているロン以外のキャラクターを教えてください。

岸本：僕はやっぱりマイロ（・モリアーティ）ですね。起こす事件は100%迷宮入りするという、ロンの対極にいるキャラなので、感情移入してしまうというか、追ってしまいますね。

アニメを見てても、勝手ながらもうロン目線で見ているので、「こいつ……」ってなってしまうんですよね。掴んでも掴みきれないキャラなんですけど、今後の動きに注目しています。

阿座上：僕は、皆さん本当にビジュアルを見る限りキャラクターそのままだと思っていて。たくさん気になるキャラクター、演じている俳優さんがいらっしゃると思うんですけど、一番はグリズリー先生です。

アニメではグリズリー先生は山路さんでしたが、年も離れた大先輩で、一緒に同じブースの中で3人とか4人とかで録っていく緊張感がすごい勉強になったというか。やっぱり最年長の方って若い人たちがいる中にポンと入って、そこで最高のパフォーマンスをしなきゃいけないし、先輩らしさも出さなきゃいけないのもあるじゃないですか。で、それをちゃんと見せていくという。

グリズリー先生という役柄もそうですし、なんだか注目しちゃいますよね、どんなお芝居をされるんだろうって。ちょっと皆さんと空気感が一つ違うようなキャラクターになるんじゃないかなって思いますし、そういう年長者の方がいると締まる現場とかあるじゃないですか。僕は声優ですけど、役者でもあるので、そこのバランスとか掛け合いとかを見てみたいなって思いますね。

岸本：（グリズリー役の和泉）宗兵さんとは以前共演させていただきましたが、とんでもなく堪らないですよ（笑）。

阿座上：本当ですか（笑）。楽しみだなぁ。

──アニメと舞台、同じ役者で演じるという部分はありますけども、アプローチの方法は違うと思いまして、声のみで魅せるアニメと全身で魅せる舞台、それぞれの立場として演じる楽しさや大変さみたいなものをお伺いしたいなと。

阿座上：舞台は大変ですよね。ビジュアル……身体とか見た目といったものはどうにもできない部分でもあるじゃないですか。キャラクターがまず二次元で、そこから出てきたかのようなキャラクターを自分の身体で表現しなきゃいけないという。

それこそ先ほどおっしゃっていましたが、何度も何度も稽古してキャラを落とし込んでいく作業。それはやっぱり僕ら声優にはなかなかできないことだし、ある種の憧れみたいなのもあるんですよね。

どうしても声優は台本を読むので、読んでいないように演じることが前提ですが、セリフを自分の中で生み出していくというのは、ずっとリスペクトや憧れがあるので今回の舞台も楽しみにしたいなと思っています。

岸本：逆に僕らは視覚や聴覚などいろんな要素でお客さんにキャラクターを感じてもらえますが、声優さんたちって声だけじゃないですか。声のみで魅せるっていうのが、考えられなくて。こっちはもう武器がたくさん、いろいろなものを持ってる。でも声という1本の刀で挑むのはちょっと異次元というか……。

阿座上：お互いにありますよね、隣の芝は青い感覚は。僕が演じたキャラクターが2.5次元の舞台に上がるのは今回が初めてなので、とても勉強になるなって思いまして、ぜひ観劇させていただきたいと思います。

岸本：ありがとうございます、光栄です！

── ちなみに、一足先にロンを演じた身として、岸本さんに何かアドバイスみたいなものはありますか？

阿座上：僕のことを本家と言ってくださる方も多いのですが、そこは舞台とアニメという別の媒体なので、全然違うものとして扱って欲しいな、と思います。アプローチも全然違うとこがあるでしょうし、僕もそれを見たい。「僕だったらこうアプローチするだろうな」とか、「岸本さんはこうするのか」という、僕が見えなかったものを別角度から見たいんですよね。

だから、映像を何度も見て僕の声を聞いていると言っていただきましたが、この先はぜひ岸本さんが作るキャラクターを見たいと思っていますし、ファンの皆さんにも、どちらも本家と感じてもらいたいです。

岸本：本当に嬉しいという言葉以外ないです。“僕だからこそできるロン”というものは大事にしていきたいですし、ロン以外のみんなも全員大事にして、「舞台ならではだよね」「舞台版ってこうだよね」というものが届けられたらと思っています。

逆に舞台から作品に触れて、原作漫画やアニメを見てみよう、という人が一人でも多く居たら“舞台をやってて良かった”と感じますので、本当に今頂いた言葉を大事にしながら稽古に臨みたいと思います。