『鴨乃橋ロンの禁断推理』TVアニメでロンを演じる阿座上洋平さんと、舞台でロンを演じる岸本勇太さんによる”Wロン対談”! アニメと舞台……それぞれからロンを演じる”違い”に迫る
「ロンだったらどう考えるんだろう」と常に考えることが、舞台に立つために重要なポイント(岸本)
──お二人とも本作のロンに限らず、役者として“役作り”をしていく中でしていることや心がけていること、気をつけていることのようなものがあればお聞きしたいのですが。
阿座上:人間味みたいなものはどんなキャラクターでも持っていると思うので、強さだけじゃなくて弱さを持っていて欲しいし、綺麗なだけではなくて汚い面もある。そういうものをどこかで出したいなと常に思っています。
ロンで言えば、これだけカッコよくても、一度弱ってしまうとトトが居なければ何もできなくなってしまう面がある。そういうところはグッとカッコ悪い方に振りたいな、と。そうしないと何か表面的なだけで立体的でないキャラクターになってしまうと僕は思っているので、キャラクターの長所よりも短所を大事にしたいなと思っています。
キャラクターを演じるとなった時、キャラクタープロフィールに長所は書いてあるんですが、短所は書いてないことも多いんですよね。僕としてはいっそそれを生み出しちゃおうかなとか、それはむしろ任されていることなのかもしれないなと思ってしまいますね。
岸本:もちろん原作では本当に細かく描かれていますが、同じ空間にいる中、別のキャラクターにスポットがあたったコマの裏で、ロンがどうやって過ごしているのか、といったことは大事にしています。
また、「ロンだったらどう考えているんだろう」「ロンだったらどう向き合うんだろう?」といったことを、特に稽古期間中や作品に向き合っている時、逆に全然関係ない時に何度も何度も考えていて。たまに入り込みすぎる時はあるのですが、それを考える時間がとても大事だと思っているんです。
というのも、やっぱり舞台って生物で、アクシデントや想定外のことが公演中に起きてしまうんです。でもそういう時に、何度も繰り返し考えていた「ロンだったらこういう時どうするかな」が自然に出てくる。
「僕だったらこうだけど、ロンだったらきっとこう動くだろう」という道筋を辿っていくことで大事な所に辿り着いたという経験を何度かしているので、今作でも色々なところで“ロンだったら……?”を考えてみよう、というのが僕なりの考え方ですね。
──アニメの2nd Seasonと舞台、それぞれの注目ポイントはありますか?
阿座上:1st Seasonで出来上がった役者同士の関係性みたいなものがありまして。すごく現場の空気が良くて、毎回ゲストで犯人役や刺されてしまう役とか、色々な役で豪華なキャストさんが入れ替わり立ち替わり来てくださるんですよね。そうすると、一つ一つの事件が全然違う空気感になるんです。全然違う作品をやっているかと思うくらいキャストによってこんなにも空気が変わるんだなって。
もちろんメインで一緒にやっているチーム……頼りがいのある仲間たちの距離感はすごく縮まっていて。その距離感で生み出す掛け合いや空気感は1st Seasonで出来上がったので、2nd Seasonはそれを色々なアプローチで皆さんにお届けできたらなと思っています。
見れば「あぁ、この二人のセリフの掛け合い、めちゃくちゃノってたんだな」みたいに感じ取ってもらえるところもたくさんあって、そこは2nd Seasonだからできたことだと思っています。それくらい僕らも楽しんで収録していたので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
岸本:この作品……共演させていただいたこともあるキャストも何名か居るんですけど、先程の野嵜くんのように初めましてな人も多くて。その初めての人たちが集まって作るからこそ、色んな化学変化が生まれるだろうなという確信があります。もちろん、それがゆえに大変なこともあると思うんですけれど、そんなメンツだからこそできることもあると思うので、みんなで体現したいなと思っています。
あとはやっぱりトトとの掛け合いやバディ感はすごく大事にしたいですね。原作やアニメの楽しさの大きな部分を担っているところだと思うので、そこは本当に野嵜くんとたくさん向き合って、僕ら二人で、ロンとトトの二人を表現したいなと思っています。
──せっかくなのでお互いの作品、阿座上さんは舞台の、岸本さんはアニメ2nd Seasonの楽しみにしているポイントも教えてください。
阿座上:僕はさっきも話しましたが、出演作品が2.5次元舞台化するのが初めてで。身体全部を使ってキャラクターを一人作りあげて、掛け合って。それを皆さんにお届けするという意味では、僕らがアニメの収録で全然気づかなかったポイントにも絶対に気づくはずなんですよ。
ロンの立ち方とか仕草とか、原作にもアニメの台本にもないセリフを言うシーンもあると思いますし。さっきおっしゃっていたアクシデントに対しての反射的な反応は、やはり俳優として役に相対してる方だからこそ見つかるものがあると思うので、それはもらっちゃおうかなって(笑)。
僕は岸本さんのロンから摂取したいものがたくさんありますし、一つの作品として楽しみにしつつ、役者としても興味があるという意味でも楽しみなポイントしかないですね。なんならアクシデントがちょっと起こってほしいぐらいです(笑)。これをどう切り抜けるんだろうとか(笑)。
個人的に、僕はアドリブが本当に苦手で。原作にないセリフを喋ってくださいと言われた時に結構困っちゃうんですよね。キャラクターを私物化してるんじゃないかと。でも役者とはある種、そうなるべきなのでは、と考えた時に僕はアドリブが苦手なんだって気づきました。
ただ、そういうのは自分から生み出すというよりかは、色々な人から学んでいこうと思ったので、ぜひ勉強させてください(笑)。
岸本:僕はやっぱり、1st Seasonがあの終わり方をしているので、M家の動向が非常に気になっています。これまでは一つ一つの事件があって、ちょっとずつ繋がりのあるストーリーが見えてきて。でもどんどん重くなってきていて、シリアスなものになっている。そういった事件の裏で暗躍しているであろうM家が大きくいえば気になりますね。
でもシリアスになってきている分、1st Seasonでは見れなかったロンやトトといったキャラクターたちの姿、それぞれの新たな関係性も見れるんじゃないかなと楽しみにしています。
──最後に、アニメ・舞台を楽しみにしているそれぞれのファンへのメッセージをお願いします。
岸本:まず舞台化できることが僕自身すごく嬉しく思っていますし、ロンを演じられるなんて本当に嬉しいです。でもやらせていただくからには、「岸本勇太でよかったよね」と言っていただけないと選んでもらった意味がないと思うので、絶対にそう言っていただけるように向き合っていきたいと思っています。
ただ、自分一人では舞台は成り立たないものです。支えてくださるスタッフの皆さんや、僕とトトのダブル主演という形でやらせてはもらいますが、固めてくださる役者の皆さんは僕よりも大先輩の方々ばかり。そういった方々のお芝居であったり、吸収できるものは吸収しながら、そして最終的には“ロン”としてアウトプットできたらいいなと思ってます。ぜひ生のライブを、『鴨ステ』を楽しんでもらえたら嬉しいなと思っています。
阿座上:アニメの2nd Seasonが放送され、そして同時期に舞台の上演が行われる……『鴨乃橋ロンの禁断推理』という作品が広がっていくのをすごく感じています。本当にこの対談の機会があって、僕は良かったなと思っています。
同じキャラクターを演じる対談ってなかなかないと思うんですよ。とても不思議な時間じゃないですか? だからこの機会をくれた作品、そして作品全体のムーブメントが大好きです。原作もアニメも、そして舞台もまるごと応援していただけたら嬉しいなと思います。
──ありがとうございました。
[取材・文・撮影/二城利月]
舞台「鴨乃橋ロンの禁断推理」
■原作
天野明「鴨乃橋ロンの禁断推理」(集英社「少年ジャンプ+」連載)
■キャスト
鴨乃橋ロン:岸本勇太 一色都々丸:野嵜 豊/シュピッツ・ファイア:馬場良馬 雨宮:石井陽菜/山根:中島大地 ジョン・グリズリー:和泉宗兵 卯咲もふ:田上真里奈/ウインター・モリアーティ:土生瑞穂 マイロ・モリアーティ:佐々木喜英/翡翠臣疾:鈴木拡樹 ほか
■スタッフ
脚本・演出:川尻恵太(SUGARBOY)
音楽:あらいふとし
主催:舞台「鴨乃橋ロンの禁断推理」製作委員会
■公演日程
【東京公演】日本青年館ホール
2024年11月1日(金)~11月4日(月・祝)
【大阪公演】サンケイホールブリーゼ
2024年11月9日(土)、11月10日(日)
■チケット(販売スケジュールは後日発表)
S席(前方5列以内確約):16,800円(税込)
A席:12,800円(税込)
B席:9,800円(税込)
【子供無料チケットの実施】
舞台「鴨乃橋ロンの禁断推理」では、文化庁による「文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業)」により、6歳以上(小学生)〜18歳以下のお子様を無料で公演にご招待いたします。また同伴する保護者様においては、特別価格にてご観劇いただけます。
■公式サイト
http://kamonohashiron-stage.com
■公式X
@kamoron_stage(https://x.com/kamoron_stage)
TVアニメ『鴨乃橋ロンの禁断推理』作品情報
放送・配信情報
■2nd Season 2024年10月7日(月)よりAT-X、TOKYO MXほかにて放送開始!
AT-X:10月7日より 毎週月曜日 22:30~
※リピート放送:毎週水曜日 10:30~ / 毎週金曜日 16:30~
TOKYO MX:10月7日より 毎週月曜日 22:30~
KBS京都:10月7日より 毎週月曜日 24:00~
サンテレビ:10月7日より 毎週月曜日 24:00~
BS11:10月7日より 毎週月曜日 25:00~
テレビ愛知:10月7日より 毎週月曜日 25:30~
テレビ北海道:10月7日より 毎週月曜日 25:30~
TVQ九州放送:10月7日より 毎週月曜日 26:00~
静岡放送:10月7日より 毎週月曜日 26:19~
各配信サイトにて10月7日(月)22:30より地上波同時配信
■1st Season 各配信サイトにて好評配信中!
イントロダクション
世界最高峰の探偵養成学校BLUEで天才と呼ばれながら、ある致命的な“欠陥”を抱え、探偵の資格を剥奪された鴨乃橋ロン。
不遇の歳月を過ごした彼の運命は、警視庁捜査一課の一色都々丸――通称「トト」との出会いによって大きく変わる。謎を解くロンと、捜査に動くトト。難事件を次々と解決する二人は、次第に名コンビとなっていく。
そんなロンの行動に目を光らせるBLUEの内部には、彼の理解者もいた。その一人である校長のエメリッヒは、ロンを追放するきっかけとなった「血の実習事件」が何者かに仕組まれたものだと語る。
裏にいたのは、数多くの未解決事件に関わる「史上最悪の犯罪一族」――M家だった。当主の名は、マイロ・モリアーティ。彼はロンにさらなる絶望を与えるため、妹のウィンターを日本に送り込む。ロンとマイロ、両者の間にある因縁とは……!?
STAFF
原作:天野明(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:井畑翔太
シリーズ構成:渡航
キャラクターデザイン:石川雅一
イメージボード:益田賢治
美術設定:高橋麻穗
美術監督:李 書九
色彩設計:林 由稀
撮影監督:伊藤康行
編集:小島俊彦
音響監督:立石弥生
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽:辻陽 ※「辻」は 2 点しんにょう
音楽プロデューサー:水鳥智栄子
音楽制作:KADOKAWA
アニメーション制作:ディオメディア
製作:鴨乃橋ロンの禁断推理製作委員会
MUSIC
オープニング主題歌:ハンブレッダーズ「フィードバックを鳴らして」
エンディング主題歌:hockrockb「ラビリンス」
CAST
鴨乃橋ロン:阿座上洋平
一色都々丸:榎木淳弥
雨宮:日笠陽子
シュピッツ・ファイア:八代 拓
翡翠臣疾:福山潤
卯咲もふ:東山奈央
門季チコリ:小原好美
マイロ・モリアーティ:松岡禎丞
ウィンター・モリアーティ:花守ゆみり
公式サイト
公式X(@kamonohashi_ron)
ハッシュタグ:#鴨乃橋ロン
原作情報
「鴨乃橋ロンの禁断推理」(集英社「少年ジャンプ+」連載)
第1巻~第15巻好評発売中!
(C)天野明/集英社
(C)天野明/集英社・舞台「鴨乃橋ロンの禁断推理」製作委員会