月バレ編集部全面協力! 『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』試合レポート
集英社「週刊少年ジャンプ」にて2012年2月から連載が開始され、バレーボールに懸ける高校生たちの熱い青春ドラマが人気を博したスポーツ漫画の金字塔、古舘春一先生による漫画『ハイキュー‼』。
原作でも人気の高いストーリーのひとつである通称“ゴミ捨て場の決戦”を描いた『劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦』が、2024年2月16日(金)に劇場公開。興行収入115億円超の大ヒットを記録しています。
本稿では、月刊バレーボール編集部に協力をいただいて現実の試合さながらの試合レポートを執筆いただきました! 熱い戦いを繰り広げた春高3回戦、烏野高校VS音駒高校の試合をお楽しみいただけると幸いです。
この記事には『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の結末に関わる内容が掲載されています。
“ゴミ捨て場の決戦”音駒高校と烏野高校の因縁の対決に決着‼
全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高)は大会3日目を迎え、音駒高校(東京)と烏野高校(宮城)による男子3回戦が東京体育館(東京都渋谷区)で行われた。因縁の両チームによる対戦は、烏野が2-1で勝利した。
春高の舞台で、“ゴミ捨て場の決戦”が実現した。学生時代から切磋琢磨してきた烏野の烏養一繋(うかい・いっけい)前監督と音駒の猫叉育史監督が、それぞれ指揮を執るようになってからも高め合ってきた両校。烏野に武田一鉄監督と、烏養前監督の孫である繋心コーチが就任した今年度からは、練習試合などを通して交流を再開していた。
これまでの戦いを振り返ると、烏野はセッター影山飛雄(1年)を中心にミドルブロッカー日向翔陽(1年)とのコンビなどで高い攻撃力を誇るチーム。春高宮城県予選では、準決勝で注目のセッター及川 徹(3年)擁する青葉城西高校に2-1で勝利。決勝ではユース日本代表にも選ばれた“ウシワカ”こと牛島若利(3年)が得点源を担う白鳥沢学園高校に対し、先にマッチポイントを握られながらも3-2で金星を挙げた。
5年ぶりの出場となった本戦では、まずは1回戦で椿原高校(神奈川)にストレート勝ち。インターハイ準優勝を飾った稲荷崎高校(兵庫)との2回戦では、2-1と接戦を制して3回戦に駒を進めた。
対する音駒は、粘り強く堅実なディフェンスが光る。春高東京都予選では、準決勝で“全国で5本の指に入るスパイカー”と名高い木兎光太郎(3年)率いる梟谷学園高校にストレート負けを喫した。しかし、3位決定戦(対戸美学園高校)でストレート勝ちを飾り、開催地代表としてこちらも5年ぶりの出場権をつかんだ。
本戦では1回戦の清川高校(高知)戦、2回戦の早流川工業高校(石川)戦ともにデュースにもつれ込みながらも2-0で勝利し、この日の対決を迎えた。
序盤は烏野ペースも 音駒の守りが光る
第1セットはファーストプレーからいきなり白熱した展開に。烏野のセッター影山の強烈なジャンプサーブを、音駒はウイングスパイカー海 信行(3年)がキープ。そこから身長194.3㎝で最高到達点345㎝を誇る灰羽リエーフ(1年)がCクイックを放ったが、烏野のリベロ西谷 夕(2年)がレシーブする。すると、今度は烏野のエース東峰 旭(3年)のバックアタックを音駒のリベロ夜久衛輔(3年)がディグ。いきなり両守護神が好守備を連発した。その後もなかなかボールが落ちなかったが、最後は身長164.2㎝ながら最高到達点は驚異の333㎝をマークするミドルブロッカー日向翔陽(1年)がブロード攻撃。長いラリーの末、ようやく烏野が先制点をつかんだ。
そこから競り合う展開が続いたが、最初に抜け出したのは烏野。10-8から日向に代わってピンチサーバーの山口 忠(1年)がコートへ。ここぞの場面で役割を果たしてきた県予選のように、持ち味のフローターサーブがレシーバーの手元で変化。音駒のウイングスパイカー山本猛虎(2年)のレシーブをはじき、サービスエースを決めた。さらに、次のプレーでも海のレシーブを崩すと、ウイングスパイカー福永招平(2年)のクロスへの強打をミドルブロッカー月島 蛍(1年)が豪快にブロック。ブレイクに成功し、4連続得点につなげた。
16-18とリードを許した音駒だったが、じわじわとプレッシャーをかける。烏野は影山のライトからのファーサイドへのトスを東峰がクロスへ強打。音駒はリベロ夜久がディグしたものの、そのボールはコートの外へ。それでも、笛が鳴らない限り、最後まで食らいつくのが音駒だ。福永がフライングレシーブしたボールを黒尾鉄朗キャプテンが右足を懸命に伸ばしてつなぐ。相手コートに返球できなかったとはいえ、簡単にボールを落とさない姿勢が、烏野にプレッシャーを与えていく。
23-24と先にセットポイントを握られても、音駒はセッター孤爪研磨(2年)の冷静なプレーが光った。デュースに持ち込むと、25-25からラリーでつながれた烏野の東峰の強烈なスパイクを夜久がディグ。ボールはネット際に上がると、孤爪がツーアタックのフェイントを試みた。そこで、相手コートまで手を伸ばした東峰からオーバーネットの反則を誘い、これでセットポイントを奪い返した。
窮地に立たされても攻めの姿勢を崩さない烏野は、ウイングスパイカーの澤村大地キャプテン(3年)が強打。音駒は山本が懸命にレシーブしたが、ボールはネット付近へ。黒尾が倒れこみながらつなぎ、3本目を託された孤爪は相手コートへボールを返すしかなかった。しかし、そこでも広い視野で相手のスキを突くのが孤爪だ。4枚攻撃への意識が高い烏野に対し、コートの奥へ返球。スパイカー陣は助走の準備に意識が集中していたことで、そのボールに誰も対応できず。第1セットから壮絶な接戦を制し、28-26で音駒が先取した。