映画
『ふれる。』脚本・岡田麿里インタビュー

「ずっと誰かに必要だと言ってほしい」不思議な生き物を通じて描かれる人と人との繋がり|映画『ふれる。』脚本・岡田麿里さんインタビュー

青春三部作を手がけた長井龍雪監督、岡田麿里さん(脚本)、田中将賀さん(キャラクターデザイン・総作画監督)による最新作であるオリジナル長編アニメーション映画『ふれる。』が、絶賛公開中です。

幼馴染の小野田秋、祖父江諒、井ノ原優太はそれぞれの気持ちを口にすることなく、心で繋がっていた。「ふれる」と呼ばれる不思議な生き物の力で――。

アニメイトタイムズでは、公開直前のタイミングで岡田さんへのインタビューを実施。公開前の心境や制作の裏話などを伺いました。

また、作品のテーマに踏み込んだ質問にもお答えいただいています。ぜひ最後までご覧ください。

 

 

“みんなで一緒”に永遠は見出だせるのか

──公開が間近に迫っていますので、まずは今の率直な感想をお聞かせいただけますか?

岡田麿里さん(以下、岡田):脚本作業自体は2〜3年前なので、アフレコに参加して久々に友人と再会するような感覚がありました。そこからダビングやV編(ビデオ編集)に参加したので、再会からあっという間に公開まで来たというか。「昔の友達と再会してこれから山登りに行くか!」みたいな感じなのかなと思います。

──今回は東京・高田馬場が舞台となっており、20歳の男の子3人が主人公です。青春三部作より登場人物の年齢も上がっていますね。

岡田:青春三部作を経て、もう少し登場キャラクターの年齢を上げた作品を作りたいと思っていたんです。加えて、これまでの作品は女の子がメインになる内容だったので、「上京した男友達の、わちゃわちゃした共同生活を描いてみたい」というアイデアが長井監督からでまして。それを受けて、どんな物語にしようかなと考え始めました。

 

 
私も長井監督も田中さんも上京組で、しかもみんな友達との共同生活の経験者なんです。みんなで一緒に暮らすというシチュエーションは、やっぱりなかなか上手くいかないし、永遠を見つけにくい。主人公の秋たちは上京前から友人だったけれど、共同作業によって本来ならまた新たな一面が見えてくるはずですよね。でも、そこから生じる問題をないものとするにはどうすればいいか。それらが可能になる状況をファンタジーと繋げて考えながら、制作を進めていました。

──彼らの幼少期は海の近い島が舞台になっています。ビジュアル的にも新鮮でしたが、海辺を登場させた理由はあるのでしょうか?

岡田:「ふれる」という存在との出会い、「ふれる」がどうして生まれたのか、そういう大事な要素を繋ぐ場所としてのリアリティが欲しいと思っていました。あとは、単純に誰かが「フェリーに乗って上京したい」と言っていた気がするので、そういうシンプルな理由もあったと思います!(笑)

一同:(笑)。

岡田:『あの花』の後、「次は自分の地元である秩父を離れたい」という気持ちがありました。やっぱり自分の地元で作品を作り続けるのは少しこそばゆいので、『ここさけ』では長井監督の出身地である新潟や他の場所を激推ししたり。

でも、長井監督は「海がある場所は自分の中でしっくりこない」「海をアニメ―ションの絵として描ける自信がない」と言ってたんです。こういう時に「不得手なことに挑戦したい!」と考える監督も多いと思いますが、長井監督は「自分が確実にものにできる範囲を描き切りたい」というタイプなのかなと。

なので、これまで海は私たちの中で“ふれられないもの”だったのですが、今回遂に「やってみてもいいかも」という話が出ました。それも今までとは大きく違う部分かもしれません。

 

 

──キャストオーディションのエピソードについても伺えますか。

岡田:テープを聴いて選ばせていただく形式だったのですが、主演のお三方のオーディションはキャラクターの絵や脚本、絵コンテが上がってきている中で行われました。

永瀬廉さん演じる秋は真実から目を背けたがっていて、普通なら主人公にならない複雑なキャラクターです。そんな秋に永瀬さんの繊細かつ柔らかい声が入ると、彼の迷いが更に際立っていましたね。やっぱりアニメーションは全てのパートが揃ってこそなので、声からいただく力は大きいと思います。

諒は台詞だけを聴くと陽気な印象ですが、坂東龍汰さんの声にはそれだけではない真面目さや暗さが内包されているし、優太は前田拳太郎さんがアニメーションやキャラクターへの理解度が高いお芝居で演じてくれていました。

 

 

──この3人はどこかに居そうな雰囲気やリアリティがありますよね。

岡田:そうなんです。三人そろったところでの声の風合いも面白いんですよね。実際に同世代で、三人とも仲が良くて。そんな空気もそのまま出ているなと思いました。

──青春三部作の声優陣も様々な場面に出演していました。ファンには嬉しい演出ですが、これについてはいかがですか?

岡田:プロデューサーの清水さんのアイデアだったと思います。私も後から聞いて「受けてくれるんだ!」と感動しました。

 

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