この記事をかいた人
- 胃の上心臓
- 拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ロボットアニメ作品やTYPE-MOONの作品を主に追いかけている。
――ガンダムの恐ろしさ、とりわけザクやグフとの差としてビーム兵器の強力さは強調されていたかと思います。本作の戦闘シーンの描写はどんなところにこだわっていますか?
ブロスダウ:ガンダムというモビルスーツをまた違った視点で描きたいと考えていました。今回はジオン側のキャラクターを主軸に物語が進み、その中心人物となるソラリたちもガンダムと初めて遭遇したので、特に第1話ではその恐ろしさや人間が如何に無力なのかを見せるように気を付けていました。それがビーム兵器の強力さなどに表れているのかなと。
――狙撃用のロングライフルやザクバズーカを食らってもガンダムはピンピンしているのに、ザクは容易くビーム・ライフルやビーム・サーベルで撃破されていく様は本当に凄まじい演出でした。
由良浩明さん(以下、由良):あのあたりのカットはやらなければと思っていました。CG作品なのでモビルスーツのディティールやスケール感はもちろんなのですが、背景などでもガンダムの恐ろしさを引き立たせているところがあります。
例えば話題に上ったビーム・ライフルのシーンでは、ザクだけでなくその背後にある建物をも貫通しています。こういった背景の位置関係や見せ方でも物語を表現できるので、エラスマス監督やみんなで話し合って演出も決めていきました。ぜひ注目していただけたらと思います。
――ストーリー面ではジオンと連邦双方に事情があることをしっかり描いていたかと思います。これはガンダムシリーズらしい部分になるかとも思いますが、ここをしっかり描く上で注意していたこともお教えください。
ブロスダウ:ジオン側のキャラクターの視点で物語を描いているので、その主軸となるソラリたちが持っていない情報は視聴者にも開示しないように物語を構成していました。ただ、従来からのガンダムシリーズらしさである、双方の正義や事情をどうやったら見せられるのかは、その前提を踏まえて工夫した部分になります。
彌富:後半の内容に絡むのでまだ詳細を話すことができないのですが、連邦側の心情にも絡む描写も出てきます。その辺りもぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。
由良:話せる範囲だとオニー・カスガというキャラクターについてでしょうか。彼は「UMRC」というジオンでも連邦でも別け隔てなく扱うボランティアの医師という立ち位置です。彼を通して戦争に参加していない普通の人の観点が見られるのではないかなと。
――CGを用いたことでキャラクターたちも何か実在感を感じさせる部分がありました。
彌富:Unreal Engine 5は物凄くフォトリアルな表現ができるのですが、サンライズ的にはやはりアニメとして展開するために、今のデザインに落ち着かせたところがあります。そうしないと限りなく実写に近くなってしまうので、その塩梅には気を遣っていました。
――中盤以降には他シリーズ作品から、あるキャラクターがゲストとして登場しています。こちらはどのように実現までいったのでしょうか?
彌富:同じ一年戦争のタイムラインの中で何らかのリンクを付けたかったので、意図してそういったキャラクターは出したいと考えていました。脚本会議の際にエラスマス監督や脚本のギャビン・ハイナイトさんと相談しつつ登場が決まりました。
由良:そのおかげでかなり制作のハードルはあがりましたし、そのキャラクターを本作の表現に落とし込むのはかなり難しかったですね。
――本作であのキャラクターが登場したことで、また一年戦争の世界観が広がりそうな感覚がありました。また、国内では全世界配信と同時に本作のガンプラも展開されます。海外でのガンプラ展開はどのような形になるのでしょうか?
彌富:今回はNetflixさんで世界展開されるので、配信とマーチャンダイジングの相性といった部分は確立させなければなりませんでした。商品開発を横でやっていただけたおかげで、配信とあわせたタイミングにアメリカで量販店にガンプラを並べるという今回の目標を無事に実現できたんです。
――ありがとうございます。最後に本作を楽しみにしているガンダムファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
ブロスダウ:新規ファンも旧来からのガンダムファンも楽しんでもらえる作品になったと思っています。本作をまた違ったガンダム、また違った一年戦争の作品として見ていただけたら嬉しいです。
彌富:はじめに英語で制作して、その後日本語版の方も気合を入れて制作しました。なので日本語と英語の両方で、最終話までぜひご覧になっていただければと思います!
由良:今までのガンダムシリーズにはなかったけれど、最適だと思える座組で制作に臨みました。アメリカやオーストラリア、日本、ヨーロッパなど関わる国々も凄くこだわりをもって選定して、サンライズさんに許可を得て制作した作品になります。ぜひ細かいところまで、何回でも視聴していただければと思っています!
拗らせ系アニメ・ゲームオタクのライター。ガンダムシリーズをはじめとするロボットアニメやTYPE-MOONを主に追いかけている。そして、10代からゲームセンター通いを続ける「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」おじ勢。 ライトノベル原作や美少女ゲーム、格闘ゲームなども大好物。最近だと『ダイの大冒険』、『うたわれるもの』、劇場版『G-レコ』、劇場版『ピンドラ』がイチオシです。