迷いや葛藤さえも力に変えていくのがMyGO!!!!!──『劇場版「BanG Dream! It's MyGO!!!!! 後編 : うたう、僕らになれるうた & FILM LIVE」』高松燈役・羊宮妃那さん、長崎そよ役・小日向美香さんロングインタビュー
「彷徨する渇望」における葛藤
――今回のアルバムのBlu-ray付生産限定盤Aには、MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」愛知公演の映像も収録される予定です。ツアーを振り返ると、どういう想いがありますか?
羊宮:本当にいろいろなことがあったなって。私はこのツアーを経て、この5人でやってこられて良かったなってすごく感じていて。
小日向:そう言ってもらえて嬉しい。これまでありがたいことに大きな会場でライブをさせていただくことが多くて。もちろんZEPPもとても大きな会場ではあるのですが、ライブハウスツアーという形で、私たちが今どういう表現ができるだろう?って常に考えていました。毎公演後、ライブを振り返って反省をして構築し直すという試行錯誤があって。大変なツアーでしたが、終わってみるとすごく大きな経験値になったなって。
羊宮:私もそう思います。
小日向:本当にね。全国各地の方にお会いできた嬉しさもありつつ、今回のツアーはバンドが成長していくためのひとつの道にもなったと思います。これを5人で乗り越えられたという事実が、私たちをより強くしたように思っていますが……(羊宮さんに)どうだった?
羊宮:私は今回のツアーで悩んでいたんです。ツアーのテーマに沿いながら燈ちゃんがどう成長していくのか……そして皆さんに楽しんでいただくためにはどうすればいいのか。果たして燈ちゃんとして表現をすることができているのか、ズレがないか、燈ちゃんが燈ちゃんとしてなくなり始めていないか……でも予期せぬ発想から新しいことが生まれることもあるので、自分が考えすぎてしまうことで燈ちゃんのブレーキになってしまっているのではないか、とか。
葛藤が絶えなくて、いっぱいいっぱいになってしまって、メンバーに言えないことが募っていってしまって。その自分の変化にみんなが気づいてくれて、寄り添ってくれたんですね。ただ、その時は、自分の心が幼すぎて吐き出すことができなかったんです。でも愛知公演が終わった時に、メンバー全員で手を繋いで「ありがとうございました」と伝えた瞬間に、支えられていることのありがたさを実感しました。この5人でこの景色が見られることが本当に嬉しくて、いろいろな思いがこみ上げてきました。
小日向:いろいろあったもんね。……ツアー中、実は羊ちゃんにキツいことを言ってしまったんです。その上で、そう言ってもらえるのはすごく嬉しいなと。
羊宮:いやいや! キツいというのは、読んでいらっしゃる皆さんが思い浮かぶような内容ではないですからね! そこは誤解しないでもらいたいので、補足するとMyGO!!!!!は生きているので、成長し続ける必要があるんですよね。かつ、時間を作って足を運んでくれるお客様の期待に応えるためにも、役者として全力を尽くしていて。その上で……それぞれが演じるキャラクターがすごく大事で、MyGO!!!!!が大事で、それぞれに大事なものがあって。
大人だから、それを「仕方ないね」と折ることもできるんです。でもそうすることで、大切なものを見失ったり、辻褄の合わない行動になってしまったりしてしまうこともあるんじゃないかなと。そして、それが後々痛手となることもあると思います。そうならないためにも、いろいろな話し合いをしていると思っていて……。みんなが本音で話し合える関係でいられることでMyGO!!!!!としての可能性が広がっていくと思いますし、皆さんにいろいろな景色を一生見ていただけるんじゃないかなと。
――大切にするために折り合いをつけずにいるっていう。でもそれって言葉以上に大変だと思います。
小日向:羊ちゃんがすごく悩んでいることは感じていましたが、しっかり寄り添えていたか、自信はないんです。でも羊ちゃんが自分自身ですごく考えて、その壁を乗り越えていく姿を近くで見ていて、自分も頑張ろうと思えましたし、ツアーを経て、また新しいMyGO!!!!!を見せられるようになったなと思いました。そのあとのポピパさんとの合同ライブ(2024年4月29日開催のPoppin'Party×MyGO!!!!! 合同ライブ「Divide/Unite」)で、ツアーを経てからの最大限のMyGO!!!!!を出せたんじゃないかなと思っています。
正直、羊ちゃんに自分の意見をぶつけてしまったことは少し後悔していたんです。ただ、MyGO!!!!!のメンバーもアニメの中でぶつかり合っていて。メンバー同士のぶつかり合いがないと成長できないところもあったんじゃないかなとも思っていて。みんなが言いたいことを我慢していてもきっと進まない。互いに意見をぶつけ合って、壁を壊すことができて、さらに一歩進むことができたのがZEPP TOURだったのかなと思っています。
羊宮:うんうん。だからこそ見られる景色があるんだなと。いわば「逃げない」ってこういうことなんだろうなって。
小日向:そうだね、逃げずにね。みんなで「いいよいいよ」って丸く収める方法もあったと思うんです。でも、逃げずに正面から向き合うことで、また違う形で成長できることもあるんだなと実感しました。
羊宮:すごく難しいなって。大人になるにつれて、引き際をわきまえて、言葉を飲み込む場面も増えますが……その迷いや葛藤さえも力に変えていくのがMyGO!!!!!で。迷いも力になるんじゃないかと、背中を押してもらっているように感じています。みかんちゃんをはじめ、みんな優しいので、その優しさに支えられていました。いつも気にかけてくれているんです。
――バンドって生き物なんだなと改めて感じますね。そしてふたりがいかにMyGO!!!!!を大切にされているかが伝わってきます。
羊宮:「もういいか」って遠慮しすぎることで、自分の中でだんだん大事じゃなくなってくる気がするんです。もし「仕方ないね」にするなら理由が必要で。MyGO!!!!!はみんなで“大切”にできていると感じていますね。
小日向:ただ仕事としてやっている、じゃないんですよね。本当にみんながバンドのことを真剣に考え、どうしたら良くなるかを追求していて……まさに青春だなって思いますね。
羊宮:確かに!(笑)
小日向:学生時代に青春があまりなかったもので、こうしてぶつかり合いながら進んでいけることが本当にありがたいなと思います。