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映画『MOLMAX』まんきゅう監督が“これまでで一番ヤバかった”本作の制作を振り返る/インタビュー

さまざまな表現、アイデアを取り入れ『モルカー』の世界がまた一歩広がった――『PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX』まんきゅう監督インタビュー|この映画の制作は、20年近い監督人生の中で「一番ヤバかった」!?

 

「モルカーのAI化」についての“答え”は提示しないように。一番大変だったシーンは『大魔法天使もるみちゃん』!?

──この映画で描かれている「モルカーのAI化」というアイデア自体が現代ならではで、一見思いつきそうだけど想像ができませんでした。

まんきゅう:「モルカーは車なんです」というオーダーが最初にきていたので、じゃあ車をモチーフにした作品として何がテーマとしてふさわしいのかを考えるために、まずみんなで好きな映画を1本ずつ出しながらアイデア出しをする中でテーマとして「AI」が出てきたんです。それを見里さんにお話ししたところ、見里さんも「長編映画をやるのであれば、自動運転などをテーマにしたい」というアイデアベースのものがあったので、「だったらこれしかないでしょう!」と割とすぐに決まりました。

 

 
でも公開が(企画段階から)2年後の予定だったので、2年後にAIが社会的な立ち位置としてどの辺にあるのかなと。もしかしたら忘れ去られた社会テーマなのか、それとも現役でみんなが接しているものなのか、そこだけが読めなかったので、ある意味賭けでしたが、ふたを開けてみたら生活に根付いたテーマになっていたので、企画段階でGOを出してよかったなと思います。

──見終わった後、AIのメリットとデメリットについて考えさせられました。そしてモルカーは大量の野菜が必要で移り気だけど、そういう思い通りにならないところもむしろいいことなんじゃないかなと。

まんきゅう:言うことをきかないところもむしろいいというか。映画の中ではモルカーがいいか悪いかとか、AIがいいか悪いかという答えは提示せず、観てくれた人にいろいろ考えてもらったほうがいいのかなと。AIもモルカーも、車として捉えるのであれば道具だと思うんです。それを人間たちがどう使うのかはそれぞれの捉え方や考え方だと思うし、こちらが結論を押し付けると説教っぽくなってしまうので。あくまでエンターテインメントですから。

 

 

──また今回、大魔法天使もるみ(CV:田村ゆかり)が劇中に登場するんですよね。その情報を見た時、「どうやって出てくるのかな?」と率直に思いました。

まんきゅう:そうですよね。『モルカー』ファンに喜んでもらうために何とかもるみを登場させられないかと思って。元々、TVシリーズに存在していて、しかも「モルカー」の世界では人気があるアニメ。「モルカー」もCG映画になるなら、「もるみ」もこの作品の中で映画化しようと。そうなったら新デザインを考えないといけないよね、新モーションを考えようとか、せっかく今回ヒューマンキャラに声もつくので、声優さんをどうしようとか、どんどん話が大きくなって(笑)。

もるみが(作品を作る上で)一番苦しんだ部分と言っても過言ではないかもしれません。シーンとしてはわずかな時間でしたが、めちゃめちゃきつかったですね。あそこが一番お金がかかっていますから(笑)。

──でも登場シーンを見たら、違和感や無理やり感は感じませんでした。

まんきゅう:そう言っていただけたら良かったです。「初見の人が見たら何にもわからないかも?」と思いながら演出していたので(笑)。

 

 

映画を作る上でとても大きかった、相葉雅紀さんと大塚明夫さんの存在

──『モルカー』シリーズは人間の声があまりなく、出演声優も少ない作品ですが、今回は相葉雅紀さんと大塚明夫さんという豪華キャストが声をあてているのも注目ポイントです。

まんきゅう:お二人の存在はとても大きかったです。大塚さんは言わずもがなの生けるレジェンドですし、「ドッジのドライバー」は物語のナビゲーションとしての役割がすごく大きくて。モルカーたちと一緒に冒険するし、お客さんもドッジのドライバーとモルカーたちと一緒に冒険する感覚を持たれると思いますが、大塚さんがしゃべっているだけで安心感があって。ピンチになっても絶対助けに来てくれるし、何とかなると思わせてくれるので安心して観ることができるのかなと。

相葉さんはTVなどで拝見していた時から、お声に色気があるなと思っていました。何か機会があればご一緒できたらいいなと思っていましたが、今回たまたまご縁があって。声の感じやお芝居がすごくストレートで、実直で正義感があって、生命力にあふれていて。あのバイタリティーの強さが、「メニメニアイズカンパニーCEO」というキャラクターの解像度を一層上げてくれて、説得力があるところまで持っていけました。お二人には感謝しかありません。

 

 

──CEOは自信満々でスピーチする一方、対照的に葛藤したり、苦しむシーンもあって実写ドラマの人物のような“生っぽさ”がありました。

まんきゅう:そうですよね。今まで自分がやってきたことやこれからやろうとしていることに迷いなく、真っすぐに前を向いている強さは、相葉さんが演じることでより際立って本当に良かったと思います。

──大塚さんは、初登場のシーンからずっと大塚明夫ショーを見ている気分でした(笑)。大塚さんのいろいろな表情や感情を堪能できたというか。

まんきゅう:あるシーンでは現場で「少し砲丸投げの雰囲気を入れてください」と言ったら一発OKで。そこは何度観ても笑ってしまいます。

──あれだけいろいろできると、収録はさぞ楽しまれていたのでは?

まんきゅう:そうだったらいいですね。セリフ量がとにかく多く、叫ぶことも多かったので声が枯れてしまうかなと心配しましたがいい感じに仕上げてくださったので「さすがだな」と思いました。

 

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