『SAKAMOTO DAYS(サカモトデイズ )』坂本太郎役・杉田智和さん&朝倉シン役・島﨑信長さん&陸少糖役・佐倉綾音さんインタビュー|シリアスとギャグとアクションが“ビックリ箱”のように飛び出す「坂本商店」の日常
シンは伸び代しかない「成長し続ける才能」
ーーそんな坂本を心から慕っているのが、島﨑さん演じる朝倉シンです。
島﨑:この作品に登場する殺し屋は社会人的なところがあって、表社会に出ていたり、殺連(日本殺し屋連盟)という組織に所属していたり、社会の中でちゃんと生きている人たちなんです。そういう意味では、シンも思っているほど若くはないんですよね。特に序盤はぱっと見、高校生くらいに見えるんですけど、実は20歳を超えています。
坂本さんに比べたら見劣りしますが、シンも平均的な殺し屋よりは十分強くて、ここまで生き残っている。坂本さんといる時は舎弟感や後輩感があるので、若く見えているんです。演じるうえではそこに重点を置かず、「社会の中で頑張ってきた大人だけど、坂本さんと接する時だけは特別」という方がシンのギャップや坂本さんへの深い想いを感じられるかなと。それによって、坂本さん以外の人や敵と向き合った時の態度も自然と変わって来ると思います。
ーーシンは物語の中でどんどん成長していくので、特に目が離せないキャラクターという印象があります。
島﨑:頑張っていますよね。「坂本さんの足を引っ張っているんじゃないか」と自身の未熟さを感じる描写もありますが、「目標を持って頑張る人は成長できる」と思わせてくれるキャラクターです。主人公の坂本さんが既に完成している分、壁にぶち当たって成長していく部分はシンが担っていると思っています。
ーー杉田さん、佐倉さんから見たシンの印象も伺いたいです。
杉田:一言で言うなら、「成長し続ける才能」でしょうか。これほど真剣に、超能力者ならではの悩みと向き合っているキャラクターはいないと思います。わかりやすい優しさだけではなく、厳しさもあって、自分を甘やかさない人、という印象です。他のキャラクターから慕われる場面もあって、時折リーダー格の片鱗を見せるところも好きです。
佐倉:ポンコツみたいな扱いを受けていますけど、意外とストイックですし、実はかなり優秀なんですよね。でも、ちょっとバカなのかな?
島﨑:そう! ちょっとバカ(笑)。
佐倉:そういう隙があるところも好感度高いんじゃないでしょうか。過去に苦しい思いをしたからこそ、人に寄り添える優しさもある。この作品の根幹に流れる愛の部分もしっかり持ち合わせているので、伸び代しかない若者だと思います。
ーーちょっと中間管理職っぽいところもありますよね。
島﨑:そこを自然とやれるのもシンの魅力です。
佐倉:ツッコミ役ですから。常識人枠。
杉田:相手を理解し、状況を見渡せないとツッコミはできないですよ。それこそ、一番技術と瞬発力が必要になります。
佐倉:そもそも能力がチート級ですよね。
「メインキャラクターがその能力を持っているとバランスが崩れるのでは?」と思いきや、上手く展開されていくので、ずっと楽しいです。
ルーの立ち位置を巡って“ヒロイン問題”が勃発!?
ーー佐倉さん演じる陸少糖(ルー)の印象はいかがでしょうか?
佐倉:オーディションを受けた後、ルー役に決まったと聞いて「ヒロインの子ですよね!?」とマネージャーさんに言ったら、「ヒロインは葵さん(CV.東山奈央)では……?」と言われまして。
島﨑:難しいよね、ヒロイン問題。
佐倉:収録前からルーの立ち位置や在り方が分からなくて、今でも胸を張って「ヒロインです」と言って良いのか……掘り下げるごとにどんどん分からなくなっているという現状です(笑)。
杉田:『ドラ●もん』と同じだよね。タイトルは『ド●えもん』だけど、物語はの●太の成長物語なので、どちらが主人公かで揉めたというウワサが……。
島﨑:それ以上はヤバいかもしれません(笑)。
杉田:この作品は『SAKAMOTO DAYS』ですが、シンの視点で描かれていて、彼が成長していく物語でもあります。ルーはもう1人の主人公として、これから成長する可能性があるのでとても楽しみです。
島﨑:確かに、まだ連載も続いていますから。
ーールーは話し方もかなり特徴的ですよね。気にされたポイントなどはありますか?
佐倉:こればかりは本当に言語化が難しくて。先人たちが演じてきたキャラクターを参考に発音をデフォルメして、無声音のところはわざと無声音にしたり、ちょっと関西弁っぽいイントネーションを入れたり、方法論もメカニズムも存在しない、我流の感覚だけでやっている喋り方なんです。ルーを演じるにあたっては、お芝居に集中できるレベルまで、それを自分の中に落とし込んでいく必要がありました。また彼女には二面性の要素もあるので、どのくらい振り切ってやるのかも含め、原作からイメージを膨らませて、キャラクターを構築しています。
杉田:ルーは“放っておきたくない”キャラクターですよね。
佐倉:良かった。“放っておきたくなる”と言われるのかなって。
杉田:ちなみに、佐倉はキャラクターよりもキャラクターみたいな人だと思っています。
佐倉:どういうことですか!?
杉田:最初は繊細な子だと思っていたから、できるだけストレスを与えないように気を遣っていたんです。
佐倉:私も杉田さんに対してそう思っていました。お互いに歩み寄れなかったですよね。
杉田:「話しかけて余計な時間を使わせるとストレスになるかもしれないから、最低限の挨拶でいいか」と思っていて。でも、実際に話してみると案外ひょうきんな一面が見えてきました。
食パンを3斤抱えて、(目を見開きながら)「“おひとり様3点まで”だったので、買ってきました。放っておくと私ひとりで食べてしまうので、ひとつあげます!」って。
佐倉:目がキマりすぎですよ(笑)。
杉田:もう1斤は浪川(大輔)さんに渡していました。「食パン3斤分を一人で食べるつもりだったの?」と。そういうエピソードがあるくらいですから。
ーー佐倉さんもルーに負けず劣らず破天荒ですね。
杉田:そんな佐倉さんが(ルーの)放っておけない雰囲気を上手に出していて、ルーというキャラクターを独りにさせないんです。彼女にとって一番辛いのは孤独で、ウータンやシンがいなくなったら寂しいはず。もう二度とルーの表情を曇らせたくないなと。そういう存在だと僕は思います。
佐倉:おお! めちゃくちゃ嬉しいです。
ーー島﨑さんから見たルーの印象も伺えますか。
島﨑:ルーは自然体で素直なところが魅力だと思います。
誰しも鎧を纏っていて、格好つけたり、変なプライドや見映えにこだわったりする。彼女には、「こんな風に生きられたら良いな」と憧れる部分があります。それがあざとく感じないところも良いなと。天然でぶっ飛んでいるからこそ、目立たないかもしれませんが、根本にしっかり強さがあるキャラクターだと感じています。
佐倉さんにも「媚びてたまるか」みたいなところがあるから、ルーにピッタリだなと。杉田さんの話を聞いていて思ったのですが、確かに佐倉さんも変わっているんですよ。一見まともに見えて、たまにすごくぶっ飛んでいる時があります。
佐倉:ウソ!?
島﨑:普通なら、取材前にラーメン行く気にはならないじゃないですか? そんな人は少ないんじゃないかな?
佐倉:みんな、おいしいものは好きですよね?
島﨑:……そうだね! 考えて演じているのはもちろん、そういう佐倉さんのぶっ飛んだ部分がルーのどこかに入っているのかもと思いました。
佐倉:そういう意味では、それぞれ自分の根底に流れている水が、どこか演じるキャラクターの水質と似ているのかもしれません。
信長さんのちょっとお人好しなところ、お兄ちゃんみたいなところはシンっぽいですし、杉田さんの最初はどう関わったら良いのか分からないけれど、話してみると分かるところがすごく坂本さんっぽいと思います。