『パーティーから追放されたその治癒師、実は最強につき』影茸先生×立花日菜さんインタビュー|影茸先生がアニメ化を経て得られた経験と立花さん演じるアーミアの裏設定とは!?
アーミアは実はかなりの天才!?
──そろそろまとめに入りますので、最終回に向けておふたりが活躍に注目してほしいキャラクターを教えてください。
影茸:ネタバレになるので詳しいことまでは言えないのですが、ミストとハンザムでしょうか。アニメ版のミストはWEB版に比べて彼の思惑通りになったところが多いので、そのあたりも含めて楽しみにしていただけたらと。
──弟子と師匠でもあり、血のつながりのない親子といった関係性のふたりですよね。
影茸:ミストは基本的に自分より先に弟子が死んでいくことから、他人に対して過保護になりがちな人物。そんな事情からもう弟子なんて作らないと決めていたのですが、その後についつい作ってしまったのがハンザムなんです。そんな親子に似たふたりの強い関係性も含めて注目してください。特にハンザムは迷宮孤児だった過去から親がおらず、なおさらそういう感じになっているところがあります。
──ハンザムといえば、演じる宮田俊哉さんの声のお芝居には驚かされました。
影茸:オタク男子がつい想像してしまうような、オタクだけど実は王子様みたいな存在が実際にあり得るのかと思いました。収録で1度だけ軽くお話する機会があったのですが、その時の印象とハンザムが違いすぎて温度差でインフルエンザにかかりそうなくらいでした。このエピソードは親子三代は語り継ぎたいですね。三代続いたらいいですけれども!
一同:(笑)。
──立花さんはいかがですか?
立花:私もハンザムさんですね。序盤から登場していたキャラクターではあるのですが、ちょっと影を感じさせる印象があって、その目的が気になる存在でした。当初はクールな感じでしたが、終盤はたくさん喋っているので宮田さんは大変そうに思いました。
私自身も楽しみにしているのですが、終盤ではやっと気持ちを吐露できるようになって、色々な謎が明かされていきます。宮田さんの活躍を待ってくださっている方もいっぱいいらっしゃると思いますし、この物語がどういう風に終息していくのか、ハンザムとミストはそこにかなり関わるので楽しみにしていてください。
──また、ラウストが窮地に陥ると発言する謎の力や、ナルセーナの持つ眠り姫の力で封じられる邪竜についてなど、作中の謎がまだまだ残っています。このあたりについて、ぜひ理解するためのヒントも言える範囲でいただければと思います。
影茸:ラウストに関しては無能という設定が彼の出自に関わっています。ラウスト以外の人もスキルで魔法が強化されますし、ラウスト自身も強化自体はされているのですが、それ以上に彼を縛る法則がある……と考えてもらえればと。
アニメでは省いているのですが、彼は設定としては天才という立ち位置なんです。初級魔法のヒールしか使えないことから無能の烙印を押されてますけれど、本来なら治癒魔法か身体強化のどちらかしか使えないのに彼は両方を使うことができる。
しかも、魔術と呼ばれるスキルを介さない、ミストのような人間たちの前の時代にいたエルフたちの使っている技術が混ざっている。人間たちも本来その力を持っているのですが、それを高速で習得したのがラウストなんです。
だけど、全部初級止まりになってしまう。魔法で火を起こそうと思ってもマッチやライター程度の火力、身体強化をしても50キロを持ち上げられるところが70キロになるくらいのものになってしまう。
魔法での身体強化とスキルでの身体強化、その両方を掛け合わせたりもできるので爆発的な力を得られるのですが、使った後に傷だらけになってしまう……みたいなデメリットもあって。その秘密は彼のスキルに隠されています。ここまでは明かしても大丈夫かなと思うので、そんなスキルで封じられている何かが原因とだけ言っておきます。
どちらにせよ、迷宮暴走編で出そうと考えていた設定をアニメでわかりやすい形で出していただいた形なので、全て僕も納得してのことです。気づいたらアニメで全部出ていたみたいな話ではないので、原作からのファンの方は安心してください。
後は色々な場所で言っているのですが、アニメ版の世界とWEB版の世界は並行世界みたいな関係性なので、アニメで登場した迷宮のボスたちは原作のあの時点のラウストたちにはまだ倒せなかったりします。そこら辺の設定の違いも楽しんでもらえたら嬉しいです。
ラウストの出自自体は大したものではないのですが、彼を真に鍛えた人物がいて、そのキャラクターの目的がちょっとややこしい。そして、その人物とミストが旧知の仲みたいな繋がりもあります。
──せっかく立花さんがいらっしゃるので、アーミアについても何か原作との設定面の違いや裏設定などを教えてもらえますか?
影茸:実はラルマを除くと、この世界ではアーミアは人類最高クラスの魔法使いなんです。
立花:非常に強いらしいのですが、アニメでは力をまだまだ発揮できていないので、本当に強いんだ!? とちょっとビックリしています。
影茸:亜人を人間を超えた種族として描いていますし、人間であるラルマもその域を超えてしまった存在なので人外たちが凄すぎるのですが、アーミアも天狗になれるくらいの才能はあるんです。だからアニメで声をきいて個人的に参考になったというか、キャラクターへの理解が深まりましたね。
立花:アニメ版では、天狗にならずに成長したアーミアなんですね。
影茸:まっすぐ成長して才能を覚醒させて、フェニックス討伐で決め手になっていたりしますしね。
立花:さらっとスゴイ魔法を使っていたりしましたし、原作のアーミアも気になってしまいます。
影茸:後、アーミアはナルセーナを好きなラウストの事が好きなので、絶対にその想いが成就することがない失恋キャラクターでもあるんです。
立花:切ない……けれど、その世界線のアーミアも演じてみたいなって思いました!
──最後に最終話を楽しみにしているファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
立花:先生から作品に関する今まで知らなかった色々なお話があったので、私も新たに知ることができ嬉しかったです。こういった対談インタビューは声優さん同士でやることが多かったので、原作の先生視点でのアニメの見方は凄く面白く勉強になりました。
本当にアニメはアニメで綺麗に1クールで完結しているんだなって思いましたし、色々気になっているところも明かされていくと思いますので、最後までラウストとナルセーナの冒険を見届けていただければと思います。
また、アニメを最終話まで見たうえで原作にも触れてもらえると、アニメはとっかかりやすい設定やキャラクターを活かしてわかりやすく楽しいものにしているのだなと感じました。原作で重きを置いている設定面も知っていただけたら、作品の世界観のより深いところまで触れられるはずです。気になった方は原作もチェックしてください!
影茸:こんなに原作を褒めていただけるなんて、あまりにも幸せ過ぎて帰りに事故に遭ったりしなければいいなと思いました。
立花:ご無事をお祈りしておきます!
影茸:何がおきてもしぶとく生き残ります!
一同:(笑)。
影茸:アニメ化によってこの物語をテンポ良く表現していただいた印象があるのですが、まだまだ僕にはこうやってキャラクターたちの魅力を引き出すのは難しいかもしれません。やっぱり設定はキャラクターあってのもので、原作ではそれをやろうとして挑戦しただけになってしまいアニメでようやく実現したように思っています。最終回の脚本を見た時は、本当にやっていただいて良かったと思いました。僕もみなさんと一緒に最終話をいち視聴者として楽しみにしています!
──ありがとうございました!
作品概要
あらすじ
しかし、1人の勇者によって邪竜は倒され、世界は救われた。
それから 200年あまりの時が過ぎようとしていた――。
世に数多ある迷宮都市の1つ、マータット。そこに〝無能〟と呼ばれる男がいた。名はラウスト。
職業、治癒師。ラウストはその無能さゆえに他の冒険者たちから蔑まれ、利用され、捨てられる。
そんな日々をくり返していた。
ある日、ラウストの前に1人の少女があらわれた。名はナルセーナ。職業、武闘家。ナルセーナはとあるパーティーから追放されたばかりのラウストに言った。
「お兄さん、私とパーティーを組みませんか?」
今、ラウストとナルセーナ、2人の冒険がはじまる――。
キャスト
(C)影茸・鳴海みわ/双葉社・「パーティーから追放されたその治癒師、実は最強につき」製作委員会 2024