いろいろな〈キミ〉を思い出しながら歌っていました――『“えがおのおくりもの”』発売記念 吉武千颯さん×馬瀬みさきさんスペシャル対談公開 新曲レコーディング後、思いの丈を語り合う
吉武千颯さんが彩ってきた『プリキュア』ソングの軌跡、きらめく世界をギュッとひとつにまとめた『“えがおのおくりもの” 〜Chihaya Yoshitake Precure Song Best〜』がリリースとなりました。曲と共に想い出に浸りながら、〈うれしい たのしい やさしい いとしい〉、いろいろな気持ちがひろがっている頃かと思います。
アニメイトタイムズでは、10月上旬、都内で行われていた吉武千颯さんのプリキュアソングベスト盤アルバム制作の現場にお邪魔させていただき、吉武さんがプリキュアシンガーに仲間入りした『スター☆トゥインクルプリキュア』以降、共に歩んできた作家・⾺瀬みさきさんとの特別対談を敢行。
吉武さんと馬瀬さんの楽曲制作に込めた思いや、『プリキュア』シリーズを通じて築き上げてきたキズナについて、楽曲誕生秘話を交えながらお話を伺いました。
そして、近年の『プリキュア』シリーズの音楽を担う井上 洸プロデューサーにも制作のエピソードについて教えていただいています。ふたりだけのキズナだけでなく、3人の"特異な関係性”にもぜひ注目してほしいです。
さて、インタビューに入る前に、レコーディング当日のエピソードも少し。この日は1日かけて、自身で初の作詞を手掛けた新曲2曲=「ユメ♡pallet」「“えがおのおくりもの”」をレコーディングしました。
プリキュアシンガーの顔として、ちはやお姉さんとして、キラキラしたお歌を届けてきた吉武さん。歌っている中で、さまざまな感情が押し寄せるのは当然と言えるかもしれません。特に「“えがおのおくりもの”」では歌えなくなるほどの想いがあふれる場面もあり、休憩を挟む場面も。
吉武さんの表現力を巧みに導き出してきた井上プロデューサー、新曲の作曲・編曲を手掛けた⾺瀬さん、『プリキュア』シリーズの音楽制作スタッフたちに見守られる中、気持ちを入れ替え、何度も立ち上がってチャレンジ。そのきらめく歌声を響かせて、無事にレコーディングが完了しました。
そして「お疲れ様でした!」という言葉に包まれて笑顔を見せたのもつかの間、スタジオ内でインタビューを始める直前、取材に同席していた井上プロデューサーのパソコンからそれまでシークレットにされていたある曲のオルゴールの音色が部屋にひろがり、吉武さんは再び大粒の涙を流すことになるのでした。その光景を想像しつつ、ぜひアルバムを全曲聴いてから読んでいただけたらと思います。
「今日はずっと泣いてばっかりだ」
吉武千颯さん(以下、吉武):おまたせしちゃってすみません! 取材宜しくお願いします!……って、これはなんの音ですか……?
井上 洸プロデューサー(以下、井上):いや、気にしないで続けてもらって大丈夫です。
吉武:えっ、えっ?
馬瀬みさきさん(以下、馬瀬):泣かせにきましたね(笑)。
吉武:えええ??
──私も吉武さんと同じ状況なのですが、このオルゴールの音色は……。
井上:これは「“えがおのおくりもの”」のあとに入る予定のシークレットトラックです。
──吉武さんはシークレットトラックの存在自体、ご存知だったんですか?
井上:今言いました(笑)。
吉武:もう……今日はずっと泣かせてくるんですよ……。(胸に手を当てて)〈解き放って絶対 無限大 宇宙いっぱいみなぎるよ〉〜♪
井上:「星座のチカラ」は吉武さん、馬瀬さんの、ふたりの出逢いの曲ですから。(みんなで聴き終わったあと)……と、こんな感じでこのシークレットトラックとして「星座のチカラ」が入っているんです。発売日、皆さんに驚いていただけたらなと思っています。
──このアレンジは馬瀬さんから吉武さんへのおくりものでもあるということでしょうか。
馬瀬:そうです。
吉武:素敵……うう、ありがとうございます。
──ものすごいサプライズが待っていましたね。レコーディングの感想からうかがえればと思うのですが……気持ちが落ち着いてからでも。
吉武:もちろん大丈夫です。ありがとうございます。
アルバムのタイトルにもあるように、『“えがおのおくりもの”』というテーマで、皆さんに笑顔になってもらえるような曲にしたいという気持ちでレコーディングに挑んだんですけど……なんかすごく……自分の気持ちをそのまま出しすぎたかもって思うくらい、感情があふれてしまって。
こうやって話していても泣いてしまうくらい、いろいろな想いが……(涙を拭きながら)ごめんなさい。今日はずっと泣いてばっかりだ。
馬瀬:私はそれも込みで吉武さんだなって思っていました。歌詞を見させてもらったときに、言葉の一つひとつがものすごくまっすぐでピュアで。なにより聴く人に寄り添っていることを感じました。ファンの方々のこと、小さいお友だちのこと、大切な人たちのことを一番に考えながら作られているのが伝わってきて。今日は泣かないでいようと思ったんですが……やっぱり感動してしまいましたね。
普段のレコーディングでは基本的に時間が決められていて、多くても3時間ほどで終わるのですが、今回はたっぷり時間を取っていただいて。井上さんの意見を聞きながら、ふたりで話し合いつつ作っていけたのがとても新鮮で、良い時間だったなと感じています。
吉武:確かに。今回は1回歌っては(コントロールルームで)みんなで話し合い、またブースに戻っては歌い直して……という感じで進めていって。
普段の『プリキュア』のレコーディングの場合、ブースの中にいたまま(トークバックで)やりとりしつつ歌っていくことが多いんです。だから皆さんが話していることは全部は聞けていなくて。それも普段とは違いましたし、私のレコーディング・スタイルは1曲まるっと通してレコーディングしていくということも珍しいんです。1A、1B、サビ……って録っていくのですが、今回は通しで進めていて、それも新鮮でした。
──お話をうかがっていてそういうイメージがありました。だから今日、立ち会わせてもらって「こんなにツルっと歌うものなんだなあ」と。
吉武:そうなんです。いつもとは違う分、いろいろな発見もあって、めちゃくちゃ楽しみながらレコーディングできました。レコーディングを終えた今は、みんなに届くのが楽しみな気持ちでいっぱいです。