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映画
「本来の土井先生と現在の天鬼の両者が激しく葛藤している」劇場アニメ『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』土井半助／天鬼役・関俊彦インタビュー｜天鬼を演じるにあたって
土井半助と天鬼の芝居で意識したところ
──土井半助と天鬼、同一人物を演じる上で意識した部分を教えてください。
関：収録の1週間前ぐらいに監督がキャラクターの説明をいろいろとお話ししてくださいました。天鬼を演じるにあたっては、土井先生とは全くの別人格なのですが、単なる悪役や敵役というイメージ像にはしたくないというふうにおっしゃっていました。
監督から天鬼のキャラクター像を表すポイントなので「頑張ってほしい」と言われたシーンがあり、これは台本を読んだ時から演じる私にとってはすごいプレッシャーで、そのシーンに臨んだ時が一番緊張しましたが、おかげさまで一発OKでした（笑）。
──きり丸とのお話の続きにはなりますが、本作における土井先生ときり丸の関係性についてはどのように感じられていますか？
関：TVシリーズのエピソードで「土井先生ときり丸の段」という本劇場版にも関わるとても大事でとても人気が高いエピソードがあります。土井先生の過去を匂わせるお話になっています。
そこで土井先生に対してきり丸が「どうして僕のことを気にかけてくれるのか」と尋ねた時にきり丸と同じような育ち方をしているからとボソッと答えます。この2人の台詞で共に両親を失った悲しみと苦しみを背負っている感覚は自分たちにしか分からないことを、多く語らずともお互いに共有し合っているという関係が「土井先生ときり丸の段」のエピソードに色濃く出ています。
土井先生はほかの生徒の前ではきり丸との関係をわざわざ見せるようなことはしませんが、2人でいる時にはそういう関係が色濃く出てくるのではないかなと。
やっぱり、きり丸は土井先生にとって弟であり、変かもしれませんが息子であり、もしかしたら自分自身でもある。そういった本当の家族のような存在だと、きり丸の担任になった時からずっと思っていたのではないでしょうか。だから、「土井先生ときり丸の段」の「おかえり、きり丸」というシンプルな台詞がグッとくるんですよね。
──ありがとうございます。一年は組の友情についてや印象深いシーンもお聞かせください。
関：改めて「一年は組は何て可愛いんだ！」と思いましたね。こんなにも生徒に想ってもらえる土井先生は本当に幸せだと思いました（笑）。
──もし関さんにとって恩師と呼べる方がいらっしゃれば教えてください。
関：高校の時の剣道部の顧問の佐藤先生という方です。とにかく当時は恐ろしく怖くて厳しくて、散々道場で倒されたりしていましたが、結局はすごく思いやりのある生徒想いの先生で学校が変わってからも時折連絡を取らせていただいたりもして。
今では地元の栃木でイベントをやる際はわざわざ来てくださって、あんなに怖かった先生が僕にサインをくれと言ってくれるという……（笑）。なんとも照れるやら恥ずかしいやら嬉しいやら。今もそういう関係でお付き合いさせていただいています。
──30年以上にわたり土井先生を演じていらっしゃいますが、役との向き合い方の変化などはありましたか？
関：全く、一貫してありません。むしろ変えないように意識してやってきました。土井先生が30年という長きに渡って愛されているキャラクターということもあり、当初よりご覧になられている方や今からご覧になられている方たちが同じらん・きり・しんと、同じ土井先生を見ていただいて楽しんでほしいという部分が基本にあります。
──関さんご自身のキャリアにとっての土井先生の存在についてもお聞かせください。
関：これだけ長く愛されてきた作品で、おかげさまでたくさんの人たちに「土井先生＝関俊彦」ということを知っていただけたということが一番大きなことです。それもまさか土井先生が“初恋泥棒”とまで言われているなんて最近まで知らずに、ちょっとびっくりもしました。
実際にこれまで声優や声の仕事をほとんど知らない方に対して、どんなお仕事をしているのかと尋ねられた際は「『忍たま乱太郎』というアニメの土井半助先生を演じている」とお伝えするとみなさん知っているとお話ししてくださったり。
本当にありがたい作品です。そういった意味で私を周知していただいた。間違いなく自分の声優人生で大きな存在になっています。
──観客のみなさんが作品をご覧になった際はどんな感情を受け取ってほしいですか？
関：一番に胸にくるのは人と人との繋がりや絆。そういったものを説教臭いわけではなく教えてくれる作品だと思っていて、自分が生きている周りの人たちと自分にとって大事な人を信じるということがどれだけ人の人生にとって大きなことかということをストレートに教えてくれます。
だから、ご覧になられたみなさんも時々でいいので、友達や仲間、先生や両親、いろいろな人と自分は繋がりを持っていてその人たちのお陰で今の自分があるんだということをふと思い浮かべてみていただければと。見てくださった方たちにはそんなメッセージを言葉にするわけではありませんが、心で伝わってくれればいいなと思っております。
──お話いただきありがとうございました！最後に本作を楽しみにされているみなさんへメッセージをお願いいたします。
関：たくさんの方に愛されてきた『忍たま乱太郎』の久しぶりの劇場版で本当に素晴らしい作品になっています。
この映画は土井先生ときり丸にスポットが当たっていると言われていますが、登場人物すべて1人ひとりがちゃんと良い場面で活躍しているんですよ。だから、ご覧になる際には自分の推しをロックオンして思い切り楽しんでください。
［文／笹本千尋］
作品概要
あらすじ
『土井半助』失踪、『天鬼』襲来。
タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かった後、消息を絶ってしまった土井先生―
山田先生と六年生による土井先生の捜索が始まる中、担任不在の一年は組では、タソガレドキ忍軍の忍び組頭・雑渡昆奈門と、尊奈門が教壇に立つことに！
そんな中、きり丸は偶然、土井先生が置かれた状況を知ってしまうのだった。
一方、土井先生捜索中の六年生の前に突如現れたのは、ドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼。
その顔は、土井先生と瓜二つで―
忍たま達に立ちはだかる最強の敵を前に、今、強き「絆」が試される。
果たして乱太郎、きり丸、しんべヱたちは、土井先生を取り戻すことができるのか―??
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キャスト
(C)尼子騒兵衛／劇場版忍たま乱太郎製作委員会
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