3人の仲良しの秘訣は“お互いを認め合っていること”――『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』乱太郎役・高山みなみ×きり丸役・田中真弓×しんべヱ役・一龍斎貞友 インタビュー
2013年に刊行された『小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師』(原作・イラスト:尼子騒兵衛/小説:阪口和久/朝日新聞出版刊)の劇場アニメ『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』が2024年12月20日(金)より全国公開となります。
アニメイトタイムズでは映画公開を記念して乱太郎役・高山みなみ×きり丸役・田中真弓×しんべヱ役・一龍斎貞友のインタビューを実施。本作のアフレコエピソードはもちろん、乱太郎・きり丸・しんべヱの仲良しの秘訣や30年以上続く作品とキャラクターの存在についてが語られました。
本作はシリアスとギャグの切り替えが早いからこその芝居の難しさがある
──今回、2011年の『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』から13年ぶりの劇場化が決定しました。
乱太郎役・高山みなみ(以下、高山):「劇場版は久しぶりですね」とみんなで話していました。その前にイベントのステージに呼ばれたりしていたので、「そろそろ何かあるんじゃないの?」と予感はしていました。
しんべヱ役・一龍斎貞友(以下、貞友):2011年『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』のイベントの時は、みんなで「衣装どうしよう。揃えようか」みたいな話もあったよね?
高山:うん、2011年3月12日公開だったんだよね。
きり丸役・田中真弓(以下、田中):もうそんなに経ったんだね。
高山:今回『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』の劇場化が決定して、本当に嬉しかったですね。
田中・一龍斎:(頷く)
──今回の映画はこれまでと異なりシリアスさが含まれておりますが、アフレコの台本を読まれた際の印象はいかがでしたか?
高山:「笑えるシーンは果たしてあるんだろうか?」と思いながら読みました。『忍たま』らしいギャグシーンはどこなんだろうと探しながらね。子供から大人まで、誰がも楽しめる作品になっているんじゃないかと思います。
田中:自分たちも含めて普段、ふざけたキャラクターたちがずっとふざけてるかというとそうではないので、そこらへんは普通の人間の通りなのですが、やっぱり稗田八方斎があまりにも怖い。普段は怖くないんだけど、すごく怖い存在だったんだっていうのは、なんかちょっとびっくりしました。ドクタケって普段は怖くないもんね?
高山:これが本来の姿だったのかも。
田中:人間って一面じゃないから、それはそれで知ることができて私は嬉しかったですね。
貞友:ターゲット層がコアというか、土井先生もこの『忍たま』の中では珍しく……というところなのですが。そういう中できりちゃん(きり丸)との繋がりをピックアップした感じのストーリーになっています。
だから実際、お話に触れて、これがまた声を入れていった段階でどういう風なニュアンスになるのかなっていうのは考えましたね。小説を読んだ時とちょっと違う感じの場面もあるので、そこらへんがどうなっていくのかは面白いなって。
田中:『忍たま』を見て大きくなった人たちが見て分かる物語ですよね。
──アフレコの際には藤森雅也監督や尼子騒兵衛さんとどういったお話をされましたか?
貞友:尼子先生からは「嬉しいです」というお言葉を戴きまして、アフレコ中はずっと後ろで見てくださっていました。
田中:音響監督さんが外のブースに居る方の言ったことをまとめて私たちに伝えるので、基本私たちには相手の声が聞こえないんです。
高山:演技に関しての直接的なやり取りは、あまりなかったと思います。
田中:たまに反応が知りたい時はパッと見て「どんな顔してるかな?」って。
貞友:ね。そういうのはありますね。「今の言い方、どうだった?」みたいな(笑)。
高山:私たち三人じゃなく、他の方が監督とやり取りしてたかな?
貞友:そうですね。場面場面で、役をどう表現していくかという役者サイドの考えと監督のお考えの折り合いというか、それぞれの思いの照らし合わせが難しい。
田中:だから最初、土井先生の関ちゃん(関俊彦さん)もすごく悩んでいたよね。いつもの『忍たま』からすると、今回はどういう風に作っていったらいいのかなと。
高山:関さんは事前に監督たちと打ち合わせされてると思います。
田中:監督と話して納得したって言ってた。
高山:実際に映像で表情や動きを見ると、考えていたのとまた雰囲気が違ってくるので、やっぱり土井先生が一番大変だったと思います(苦笑)
貞友:すごく大変だったと思います。
──土井先生ときり丸の絆にスポットが当たっている本作。それぞれどのような気持ちでアフレコに挑まれたのでしょうか?
高山:アフレコ自体の気持ちはいつも通りでしたね。お話が進む中で気持ちが出来上がっていきます。忍術学園に非日常が訪れ、おかしな空気になっているところで、乱太郎としんべヱは、更におかしなきり丸に気づきます。何も言わないけど、絶対に何かあった…と。
田中:私はやっぱりギャグアニメとして銭のチャリンという音がした時に、物語はどんどん佳境に行ってシリアスさが含まれているところで、悩んだ部分がありましたね。いつも通りにやっちゃった方がいいのかな?と。
高山:ありましたね。あそこ、難しいって。
田中:見る方も演じる方もちょっと難しいところがありました。制作側もギャグを入れたいけれど、入れにくいなと感じたと思います。
高山:シリアスとギャグの切り替えタイミングが早かったんですね。割と間が短かったりして。どっちの気持ちにお芝居を持っていけばいいのか、難しいところだったと思います。情報量が多いですからね、劇場版ですし。
貞友:どの程度、今までの流れを汲んだ表現にするべきなのか。それともまるでなかったことにしてポンと違う方向の芝居に飛ぶのかっていうのがね。
高山:シリアスな路線で行くのであれば、きっちりと心情を積み重ねて流れていくんですけど、ギャグはテンポ良く気持ちを作らないとリズムが悪くなる。そこの兼ね合いは制作側も難しかったと思います。
──乱太郎、きり丸、しんべヱと共に土井先生の救出に向かう一年は組の友情についてお聞かせいただけたらと思います。
高山:一年は組は、いつものようにチームワークばっちりでした。
貞友:そうねえ。
田中:でも乱太郎としんべヱはすごくきり丸の変化に気づいて、2人にはバレていたシーンは良かったですね。
貞友:長年培ってきた友情の賜物(笑) ただ、しんべヱは緊迫感のあるシーンでも 相変わらず 「お腹空いた~」でしょ(汗) あー!どうして 今も?!ここで言うか! みんな二面性が出ているのに しんべヱは胃袋一直線で。
高山:今回はそれに助けられた!
は組はみんな仲が良いので、一斉に喋るところでもパッとできたりするんです。大人数ですけど、『せーの』とかけ声をかければピタッと揃っちゃうんです。長いことクラスメートやってますから(笑)
貞友:揃うことにビックリされたり…
えー、全然平気だよねって思うけど、長年培ってきた成果ってこと?自画自賛(笑)
田中:同じ台詞を同じようにいうのはすごく難しくて、パッと揃えられるって普通に考えたらおかしいことですよね。この3人でも絶対しんべヱはほかの2人のしゃべりの速さではないなと思う時もありますが、揃えないといけないから。
高山:そこは少しずつ自分の個性を削って、平均値のところで折り合いをつけますね。でも、歌う時だけは自由気まま(笑)。
──おすすめや見どころのシーンがありましたら教えてください。
高山:冒頭のシーンですね。これは一体何の光景だろう?誰の、いつの記憶のことなんだろう?…と思う、忍たまらしからぬ始まりです。
貞友:あの衝撃的な感じは、いろんな意味で戦略なのかも。
田中:嬉しかったのは先ほどお話したシーンですね。きり丸が考えていることを乱太郎としんべヱには隠しきれていなかったシーン。あとは土井先生が土井先生じゃないシーンはやっぱり痛いところでしたね。
貞友:そういう意味では、今回みんなが知らないことがたくさんありました。
高山:劇場版の後で収録したテレビシリーズの中に、私たちが32年目にして初めて知ったこともあるんですよ。劇場版をもっと楽しめるように、テレビシリーズも一緒に見ていただきたいと思います。
──続いて、テーマ曲「勇気100%」のお好きなポイントもお聞かせください。
高山:おそらく誰もが一度は耳にしたことがあると思います。例えばがっかりとした気持ちになった時に「がっかりして〜♪」っていうフレーズが浮かぶような応援歌だと思うんですよね。
田中:テーマ曲が変わらないっていうのは素晴らしいことだと思います。今のアニメはどんどんどんどん主題歌が変わっちゃうから視聴者の方に定着する前に変わることもあると思います。ですが、これはもう見事にザ・主題歌ですよね。
貞友:あの歌詞とメロディーが非常に馴染みやすいし、正直難しくないというか歌が苦手な人でもなんか口ずさめてしまう。人との関係性をハートフルに表現していて、本当にすごいなと思います。
高山:本当に国民的主題歌ですよね。
貞友:本当、本当。