ギャップが面白いクリスティーナ、でも本人は常に真剣なんです!──秋アニメ『さようなら竜生、こんにちは人生』クリスティーナ役 大橋彩香さん【連載インタビュー第7回】
魔界の四騎士との激闘を終え、魔界門を閉じたドランたち。ひとときの休息も束の間、ベルン村へ帰還したドランに思いもよらない“脅威”が待ち受けていた――。
物語もいよいよ終盤戦へと突入したTVアニメ『さようなら竜生、こんにちは人生』。本作をより楽しむためのリレーインタビュー、第7回はクリスティーナを演じる大橋彩香さんが登場!
クリスティーナは剣の才能と美貌を併せ持つ一方で、猪突猛進かつ大食いというギャップのあるキャラクターです。その彼女をどう演じようとしたのか、大橋さんに伺いました。
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安心感を得られたらとことん仲良くなるタイプなんだろうなと思いました
──クリスティーナは、第3話でドランやセリナと一気に親密になっていきましたよね。
大橋彩香さん(以下、大橋):最初はお堅い印象が強くて、村の人ともなんとなく仲良くはできているけど、踏み込んだところまではいけない――飲み会には興味があるのに踏み出せないから剣を振っておくかみたいな(笑)、ちょっと寂しいところがありました。
でも、セリナのお家にドランとお邪魔して、バラン隊長とミルクの飲み対決をしてと、みんなが優しく受け入れてくれたことで、どんどん打ち解けるようになって。特にクリス(クリスティーナ)が柔らかい印象になった飲み対決のシーンは、絵としても面白くてとても気に入っています。
──お芝居も変化をつけられたんですか?
大橋:最初はどちらかというと暗めのお芝居だったんですが、第3話をきっかけに笑顔のニュアンスが増えて、素のクリスを意識したお芝居に変わっていきました。
──クリスティーナは一歩踏み出すのを躊躇しがちかもしれませんが、踏み出せれば意外とすぐに馴染めるタイプなのかもしれないですね。
大橋:そうなんです。この人は大丈夫だと思ったら意外とすぐ心を開けるタイプで、そこは自分と似ているなと感じました。
──大橋さんもそうなんですか?
大橋:はい、安心できると思ったら急に距離を詰めるタイプです(笑)。クリスもすぐにセリナ、セリナという感じになっていったので、安心感を得られたらとことん仲良くなるタイプなんだろうなと思いました。
──セリナの家では、ドラン、セリナと川の字になって寝ていました。
大橋:最初は「これは大丈夫だのだろうか!?」と思いましたが、ドランはどこかお父さんっぽさがあるしいいのかなって(笑)。個人的に面白かったのは、クリスが横になるときに一度大の字になったところです。自室でもセリナの家でもやっていたので、これは癖なのかもしれないですね。その豪快さが大好きです。
──豪快といえば、第3話のラストもそうですよね。セリナがガロアに連行され、クリスティーナがものすごい勢いでガロア魔法学院に走っていきました。
大橋:魔法が使えるからワープしたり、飛んだりするのかなと思ったら、普通に走っていて驚きました。移動はとりあえず走る、みたいな考えにいきつくところがクリスっぽいですよね(笑)。でも、まわりが見えなくなるくらい突っ走るというのは、それぐらいセリナが大事な存在になったからなんです。自分の大切なもの、村や友人は何があっても守りたい。そういう気持ちが表れたシーンでした。
── 一方で、戦闘を好んでいるという一面も少しずつ明かされていきましたね。
大橋:最初のアフレコで、監督からも「戦闘を楽しむような節があります」というディレクションをいただきました。とにかく敵を恐れる気持ちがないので、果敢に攻めていくようなお芝居を意識しています。
──第5話でドランたちがエンテの森に行くことになったときも、強引についてきましたよね。
大橋:あそこまで行きたがっているのが面白かったです。同行できなくて不服そうだなと思っていたら、本当についてきちゃうんだって(笑)。実は意外と頑固な一面があるんです。
──豪快さや頑固さという点で特に印象に残っているシーンはありましたか?
大橋:第3話で畑仕事をしているときに、拳で穴を空けてジャガイモを植えるシーンですね。まさかの、素手(笑)。あとはキーレンの屋敷に駆けつけたときに、ものすごい爆発と一緒に入ってきたシーンもそうですね。クリスの“ダイナミック登場”のようなシーンが大好きです。
──クリスティーナを演じるうえで特に意識されたことはどんなことですか?
大橋:クリス自身はいたって真面目だということを意識しました。普段は凛としているのに、考えるより先に体が動くというギャップが面白いキャラクターですが、クリスは別に面白くしようと考えているわけではなく、常に真剣なんです。たとえば、会議中にクリスが食べ物のことを考えるシーンもそうで(第2話)、クリスは真剣に考えているんです。私が面白くしようとしてはダメで、このシーンのセリフは何度が録り直しがありました。
──ギャグとして演じるのではなく、クリスティーナの真面目な行動として演じないといけないわけですね。
大橋:そうですね。凛としていて真面目だからこそ、そのまっすぐさが面白さに繋がるキャラクターなので、誇張せずに演じるようにしました。
──戦闘シーンはいかがでしたか?
大橋:戦闘シーンを含めた全体のディレクションとして、あまり声を低くしすぎないようにしてほしいと言われました。低すぎると17歳という年相応の雰囲気からかけ離れてしまい、逆に高すぎると剣士としてかわいくなりすぎてしまうんです。なので、その音色感のバランスは気をつけるようにしました。
戦闘シーンは、音響監督の阿部(信行)さんから「シャープに演じてほしい」と言われていたので、あまり「オラオラ~!」とならないようにしました。たまに「ゴリラにならないでください」と言われることがあって(笑)。
──(笑)。あまり必死にならないようにするということですか?
大橋:そうです。必死さが見えると弱く見えてしまうんです。『竜生』の現場は、基本的にキャラクターのアクションすべてに息のアドリブをつけるスタイルだったので、たくさん息づかいを入れているのですが、必死には見えないようにしました。クリスは魔法学院でもトップの成績を収めている優秀な子。周囲から羨望の眼差しを向けられているので、それは絶対に忘れずに、息づかいで強さを表現するように。