『カトラリー』『ヴィラン』『フォニイ』……奏・まふゆ・絵名・瑞希がぽつりと零すカバー楽曲の原曲を聴く。『プロセカ』から知るVOCALOID楽曲〜ボカロ玄人への道〜【第5回「25時、ナイトコードで。」編】
2020年9月30日の正式リリースから、今もなお人気を博すアプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク(『プロセカ』)』。
初音ミクをはじめとした「バーチャル・シンガー」を中心に、『プロセカ』オリジナルキャラクターたちが活躍する本作。重厚なストーリーやリズムゲームが、今も多くのユーザーの心を掴んでいます。
そして本作のもうひとつの魅力が、『プロセカ』オリジナルキャラクターたち+バーチャル・シンガーによる名ボカロ曲のカバー! 数々の名曲がカバー楽曲としてリリースされているほか、それらの曲を集めた『SEKAI ALBUM』も発売されています。
そこで本企画では、『プロセカ』に収録されているカバー楽曲についてご紹介! 5つのユニットごとに注目し、楽曲制作者〈ボカロP〉の情報や、元楽曲の歴史を紐解きます。
これを読めばあなたも、「ボカロ玄人」に一歩近づく!? 第五回の本稿は「25時、ナイトコードで。(ニーゴ)」のカバー楽曲に注目! 宵崎奏・朝比奈まふゆ・東雲絵名・暁山瑞希が歌い上げるボカロ曲を、原曲とともに振り返りましょう!
『プロセカ』から知るVOCALOID楽曲〜ボカロ玄人への道〜
画像をクリックすると、関連記事にとびます。「25時、ナイトコードで。」とは
今回注目するのは、夜の訪れと共に動き出す、正体不明の音楽サークル「25時、ナイトコードで。」。
構成メンバーは宵崎奏(CV:楠木ともり)、朝比奈まふゆ(CV:田辺留依)、東雲絵名(CV:鈴木みのり)、暁山瑞希(CV:佐藤日向)。それぞれの得意分野を活かしながら、ボイスチャット『ナイトコード』を通して楽曲制作を続けています。
メンバー個々人が、各々問題を抱える「ニーゴ」の面々。時には寄り添い、時には支える。それぞれの経験が糧となり制作された楽曲からは、聴く者の心に直接刺さる力がにじみ出ています。
メンバー一人ひとりが持つ重みとともに、カバー楽曲を振り返っていきましょう。
25時、ナイトコードで。が歩んだ軌跡、そして。
『ビターチョコデコレーション』
作詞:syudou
作曲:syudou
『コールボーイ』『キュートなカノジョ』、Adoさんへ提供した楽曲『うっせぇわ』などで知られるsyudou氏による『ビターチョコデコレーション』。氏は「25時、ナイトコードで。」へ、『ジャックポットサッドガール』を描き下ろしています。
カバー版では「ニーゴ」の4人と初音ミクが歌唱。原曲では初音ミクのみのソロとなっています。
苦く、辛い歌詞が燦然と輝く本楽曲。カバー版からはメンバーが各々抱える苦しみがストレートに伝わります。そして原曲の初音ミクの声色は、淡々とその苦しみに耐えていく様にも聴き取れ……。
本楽曲のAメロでは「〇〇ように」と、延々と理想を語られ続ける展開が続きます。善し悪しはどうあれ、感じてしまう圧迫感が本楽曲の魅力のひとつなのでしょう。
ビターチョコデコレーション / 25時、ナイトコードで。 × 初音ミク
【初音ミク】ビターチョコデコレーション【syudou】
『カトラリー』
作詞・作曲:有機酸
錆びたカトラリーと、人が二人。ストリングスが1拍おきに響く本楽曲は、『カフネ』『quiet room』、「Vivid BAD SQUAD」への描き下ろし楽曲『ミライ』を手掛けたボカロP・有機酸氏による一曲です。
カバー版では奏とまふゆ、そしてミクが歌唱。原曲は、跳ねるようなニュアンスが特徴的な初音ミクが鮮やかに歌い上げています。
立った音で響く、少しだけエレクトロニックなピアノと暴れまわるベース、様々なサウンドエフェクト……静かに、そして鮮烈に描かれる世界観に引きずり込まれます。
そしてアウトロ部分に少しだけ流れるカトラリーを洗う音に感じる哀は、カバー版と原曲にそれぞれの魅力が。ぜひ、双方の余韻を聴き比べてみてください。