『星降る王国のニナ』リレーインタビュー第3回:ニナ役 田中美海さん&アズール役 梅原裕一郎さん&セト役 内山昂輝さん|ニナもアズールもセトもみんな不器用……だからこそ仲良くなれる!?
ニナも難しい選択を迫られているんだと思います
──ニナと再会したときのアズールの心境はどのようなものだったと思いますか?
梅原:ニナと離ればなれになったことで、彼の中でよりいっそうニナという存在が大きくなったんだろうなと感じました。ニナとまたいつか一緒に過ごせることを信じて疑っていないんです。そういう意味でも、想いがより強くなったのかなと感じます。
──第十一夜では、アズールとニナがデートをしましたね。
梅原:二人で街を歩くという少し懐かしい行動でしたが、相変わらずなアズールの態度にニナが腹を立て、お猿さんのように跳ね回ってどこかへ行ってしまう。追いかけるアズールは戸惑いながらも、ニナの本質が変わっていないことを知ってすごく安心したのではないかなと思います。
田中:でも、ニナは「会いに来なければ、よかったのに」と言ってしまうんです。会えたのも嬉しいし、フォルトナに帰ろうと言ってくれるのも嬉しい。でも、アズは知らなかったとはいえ、結局はニナの覚悟を無視して来ているんです。しかも一緒に街歩きをしたことで、もう叶わない幸せな時間が蘇ってしまった。だから、嬉しい気持ちとつらい気持ちがぶつかって、この言葉を言ってしまったのかなって。それがすごく切なかったです。
──ニナ自身もすごく苦しそうでしたね。
田中:そうなんです。アズがまた本当に優しいから……。居場所があるよ、帰ってきていいんだよ、そのために準備をしているよって、ニナからすればとても幸せなことだと思います。でも、国を巻き込んでいるし、セトもいる。このすれ違いが私も苦しかったです。
梅原:でも、その覚悟の強さがあるからこそアズールもニナに惹かれたんでしょうね。アズール自身も語っていましたが、ニナの覚悟を受け止めて運命に逆らうことを決意したと考えると、すれ違いこそありますが、いい形で影響し合ってるんだなと感じました。
──ガルガダにやってきたアズールについて、何かお芝居で意識されたことはありましたか?
梅原:序盤のアズールは第二王子としての覚悟、身代わりの王子としての覚悟を決めていましたが、ガルガダ国を訪れたときにはすでに権力を簒奪し、王になると覚悟しているので、以前よりも能動的になっているんです。第二王子としてなすべきことをなすのではなく、自らの意志で自分の願望を叶えるために動いている。演じるうえでもその覚悟の違い、頼もしさを意識するようにしました。
──内山さんからご覧になったアズールはいかがですか?
内山:序盤はクールな印象が強く、特に物語の冒頭はニナをたんなる身代わりの姫としか見ていないように感じましたが、そこから関係性が変わっていって、第四夜ぐらいには「ニナ命」になっていましたよね?
梅原:確かに(笑)。
内山:ニナのために駆け回るようになり、いろいろな表情を見せてくれるキャラクターになったなと感じます。
──梅原さんからご覧になったセトの印象はいかがですか?
梅原:セトは最初の印象こそ衝撃的でしたが、セトの置かれている状況や過去を知れば知るほど魅力的に映るようになりました。どこか獰猛な動物っぽさがあるセトをニナが手懐けていくという関係性も面白いです。
アズールを演じた身としては、ニナにはやはりアズールを思っていてほしいですが、じゃあニナがセトのもとを離れてしまったら彼はどうなるんだと思うところもあって……。せっかく心を開きかけているのに、その機会を奪ってしまうのではないか。そういうことを考えてしまいます。
内山:ニナがいなくなったら、どうなっちゃうんでしょうね?
田中:大問題になりますよ!
梅原:戦争ですね。
田中:戦争をさせないために嫁いだのに(笑)、新たな火種になる怖さがありますよね。だから、ニナも難しい選択を迫られているんだと思います。
──第十一夜までを振り返って、内山さんはセトの印象に変化はありましたか?
内山:だいぶ感情表現も豊かになりましたし、本音がちゃんと外に出るようになったなと感じたので、僕自身も気持ちを外に出すことを意識していました。セトはニナに懐いたとはいえ、言葉だけを取り出すと結構キツい言い方をすることが多いんです。なので、そこにセトなりの「かわいげ」が何パーセントか入るといいなと考えていました。
田中:セトは相当、成長しましたよね。最初は「話しかけるな」くらいの態度だったのに、ちゃんと会話ができるようになったんです!(笑)
一同:(笑)
田中:第十夜でニナが言ったように綺麗な獣に懐かれているような感じで、ニナの側を離れるのは嫌だ……とまでは言いませんが、掴んで離さない、ニナは俺の物だと行動で示そうとしているのがすごくかわいらしいなって。それがセトなりの伝え方、愛情表現なのかなと考えると、セトもいろいろな感情を覚えたんだな、それもニナの力が大きいんだろうなと感じました。
梅原:ニナとセトのやりとりは、ニナとアズールのやりとりとはまた違うキュンキュン感がありますよね。三人とも不器用だけど、みんな不器用のベクトルが違うといいますか。その違いが面白いですし、欲張りなことを言わせてもらえば、不器用同士で仲良くしてほしいです。
──田中さんは終盤のアフレコで印象に残っていることはありますか?
田中:第十一夜で、フォルトナへの侵攻が早まったのはニナとしては予想外だったと思うんです。しかも、ちゃんと相談できる相手はセトしかいない。そのときのニナの説得がすごくニナらしいなと思いました。
もっとうまい伝え方があるかもしれない。でも、「フォルトナに攻め込んだりしないでください」と、泣きながら、感情をあらわにしながら、伝えるんです。だからこそ、セトもわかってくれたのかなって。「もうセト、めっちゃニナのこと愛してるじゃん!」って思いました(笑)。このシーンは王子に直談判できるまでになったニナの意志とセトとの親密度を意識してまっすぐ想いを伝えようと思いました。
内山:第十一夜は、セトの「人に会わないことなど苦でもなんでもなかったのに」というセリフが、セトらしいなと思いました。前回のインタビューでもお話しましたが、セトは自分の気持ちにずっと戸惑い続けているんです。戸惑っていることにすら気づいていないかもしれないのが、彼らしさなのかなと思います。
──さて、いよいよ『星降る王国のニナ』も最終回を迎えます。こちらの見どころを教えていただけますか?
内山:まもなくTVアニメのエンディングを迎えます。先が気になる終わり方になると思いますので、興味を持った方はぜひ原作も楽しんでいただけたら嬉しいです。最後まで存分に味わってください。よろしくお願いします。
梅原:序盤はアズールがいいと思い、途中からセトがいいなと思って、アズールが登場するとやっぱりアズールがいいなと思ってしまう。ニナと同じく心を揺らしながら見てくださった方が多いのではないかなと思います。ラストに向けて気の休まらない展開が続き、ラストもここで終わるのかという気持ちになると思うので、ぜひこれからも応援していただければと思います。
田中:最終回を迎えるのはすごく寂しいです! 最終話は続きが気になる終わり方を迎えるので、きっと皆さんの応援があれば続きがあるのではないのかなと思っています(笑)。ぜひ原作を読んでいただきつつ、アニメのニナがどうなるのか一緒に見届けていただけたら嬉しいです。
作品概要
あらすじ
フォルトナ国城下で孤児として暮らしていたニナは、星の神のごとき深き青――瑠璃色の瞳を持っていた。
事故で亡くなったフォルトナ国の王女アリシャと同じ色の瞳ゆえ、第二王子アズールに見出され、ニナは王女に成り代わることを求められる。
身代わりの星の巫女として、王女として、与えられた使命――それは三月のあと、大国ガルガダの第一王子セトに偽りの花嫁として嫁ぐこと。
運命に翻弄されながらも、誰かに必要とされることに喜びを感じるニナ。そのまっすぐな瞳が見ているものとは……。
愛する人を守る決意をしたとき、それぞれの運命が大きく動き始める!!
キャスト
ニナ:田中美海
アズール:梅原裕一郎
セト:内山昂輝
ムフルム:東山奈央
ダイタス:冨沢竜也
ヨル:山下誠一郎
ビドー:石川界人
トート:堀江瞬
ヒカミ:斎賀みつき
アン:田澤茉純