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吉高志音が『恋しま』に感じた“キラキラの青春”【インタビュー】

幼なじみたちの学園青春ストーリー。イケメンたちに囲まれ、心揺らぐ水帆に共感するばかり――『どうせ、恋してしまうんだ。』柏木深役・吉高志音さんインタビュー

声優さんのお芝居は「声だけで空間を支配する」

ーー収録はいかがでしたか?

吉高:録り終えた今でも全然慣れたという感じはしていなくて(笑)。アフレコの前日は、そわそわして眠れなかったんです。初めてのアニメのお仕事で現場の立ち回り方やマナーも分からないですし、携帯の通知が鳴らないかなとか、色々と気にしてしまいました。

マネージャーからは「前日は甘いものを食べるな。砂糖はリップ音が乗ってしまうから」と言われて「そうなんだ! そういうところまでこだわっているんだな」って。

収録前は、まず自分が読む台詞の秒数を一度記録して、何回か声を録音して変な部分がないかを確認していました。ずっとできてしまう作業なので何時間か練習して、ある程度自分の中でキャラクターを固めて落とし込んでから、スタジオで目一杯やろうという意気込みでしたね。

ーースタッフからお芝居についての指導などはありましたか?

吉高:深の声を聴いた満井先生から「声がとても素敵」「声で深が生きてくれている」という言葉をいただいた時は本当に嬉しかったです。

一方で、えびなやすのり音響監督からは、僕が初のアニメ現場ということもあり、各回でとても丁寧な指導をしていただきました。特に別録りの際には、しゃべり方的に吐息が混じりやすいからマイクに声が乗せづらくなる、といったテクニカル的な部分だったり、みなさんがいる時に伝えきれなかったことを細かくアドバイスしてくださいました。あとは全体収録の際に淡々と話すクールなキャラクターだからこそ、気持ちが読み取りづらくなる点も何度かご指導いただきました。

アニメではありますが「ドラマ的な生っぽさを出していきたい」ということだったので、実際に深が水帆に自分の気持ちを伝えるシーンや自身の気持ちを吐露するシーンは「声で生っぽさを表現してほしい」とおっしゃっていました。

お芝居だと身体の動きがつくので分かりやすいと思いますが、声だと声でしかないので。心の中で動きたい気持ちを抑えながら、ありのままの声で表現していくことは難しかったです。

だけど、掛け合いになるとテンポ感や空気感を大事にされていて、実際に水帆と恋ヶ浜ハイランズの4人がそこで生きていると感じましたし、率直に「楽しいな」と思いましたね。本当に緊張していたのですが、みんなとの掛け合う中で「もっと輪の中に入りたい!」という気持ちになりました。

ーー声優さんだらけの中でプレッシャーを抱えながらアフレコに臨まれたのかなと。

吉高:読み合わせの時にいつ自分が読めばいいのかも分からなかったです……(苦笑)。すごくドキドキしましたね。それでも「あれ、消したっけ?」って、携帯の通知だけは絶対鳴らないようにしていました(笑)。

ーーほかのキャストの方のお芝居を生でご覧になられた際に、舞台との表現の違いなどを感じましたか?

吉高:声だけで魅せる部分が声優さんのお芝居の特徴だと思います。例えば、アニメの中で水帆はよく走っているのですが、その吐息や荒い息づかいが目を閉じるとどれくらいのスピードでどんな表情で走っているか、イメージしやすいんです。

舞台だと、正直にそのまま走ってしまえばいいんです。それを声で具現化しているのが本当にすごいと思いました。見えないものを作り上げることの根本は、声優も舞台役者も同じですが、アプローチやそれぞれの繊細さが異なるのかなと。

ーーちなみに、舞台でお芝居される際には、どういった部分を意識されているのでしょうか?

吉高:僕はどれだけ舞台の上で自由に生きられるかということをすごく大切にしています。もちろん、目の動きや表情も大事だとは思うんですけど、見えないパッションを客席や共演者にしっかり届けてあげること。目には見えなくても、役者同士で見えてくるものがあるので、常に心躍るようなお芝居を求めています。

例えば、「普通は笑う場面だけど、敢えて泣いてみる」とか、良い意味で裏切る芝居をしたいです。その裏切りは見ている方の色々な解釈や考察にも繋がっていくし、演劇の面白さが深まっていくんじゃないかなと。

加えて、説得力の部分も意識しています。声優と違って見えるベクトルが結構曖昧で、舞台上だとストレートに見えるからこそ、ちゃんと届けなければいけないと思っています。

ーーこれまでにもゲームなどで声を当てられていますが、声優というお仕事で培った表現方法が舞台でも活かされることも?

吉高:確かにあるかもしれないです。今回も声優さんのお芝居を直接見て、空気の回し方や抑揚の付け方から学ぶことが多かったです。舞台だと、ナチュラルさがベースにあってそこから大きく見せることになりますが、声だけで気持ちを認識できるように表現する声優さんの抑揚の付け方を知ったことで、歌でいうと自分の音階が広がったように感じています。普段使っていたトーンとは違うトーンも使ってみよう、と考えるようになりました。それこそアフレコを隣で見ていてもそうですが、みなさん引き出しがたくさんあって声だけで空間を支配しているので、とても勉強になります。

まるで生き物のような青春の“キラキラした時間”

ーー柏木深を演じる上ではどのような部分を意識されたのでしょうか?

吉高:クールで優等生だけど可愛い部分があるということをすごく意識しました。ベースにあるクールはある程度男の子ならできると思いますが、可愛らしさについてはあざとくならないバランスが大事なんですよね。あとは、深の魅力的なところでもありますが、照れが含まれているシーン。僕はギャップ萌えに弱くて、クールに見えるからこそ照れた瞬間を見るとギャップが生まれるなって。

水帆だけではなくほかの3人との幼馴染らしい空気感も意識しました。ただ、クールすぎると素っ気なく感じられるというディレクションもいただいたので、学園モノのドラマなどを参考にクールなキャラの立ち回り方を研究していきました。僕はクールというよりは「いえーい!」って感じの人なので(笑)。

クールなキャラは今までにも演じたことはあったのですが、“優等生でクール”な深はまた少し違っていて。しかも、そこに声が絡んでくると完璧な人でも人間らしさが出てくるはずなんです。深を演じていく中で、どこかで自分にしかできない深を突き詰めていきたいと思いました。

ーー水帆と恋ヶ浜ハイランズの4人の関係性をご覧になっていかがでしたか?

吉高:雲一つないほど晴れている、ビーチの海辺に打ち寄せる波のキラキラ感。海はブルー系ですし、アニメも水彩画を意識したタッチで描かれていると伺っていて、随所で「瑞々しい」という印象がありました。あと、みんな自分の気持ちをしっかり言葉にしているんです。その姿を見て、「当時の自分も素直に言葉にした方が良かったんだな」と思いました(笑)。

ーーそれでは、それぞれのキャラクターについてどのような印象を持たれていますか?

吉高:水帆は“ザ・ヒロイン”です。沢山のイケメンに囲まれていて正直、羨ましい気持ちになりました(笑)。今を一生懸命頑張って生きている子なので、すごく応援したくなります。

物語を読み進める中で、高校生のこの年で輝月からグイグイ気持ちを伝えられたら悩むでしょうし、単純に楽しいだろうと思います。そんな彼女の揺れ動く感情に実は共感もしていました。漫画を読んでいるとみなさん男女問わず水帆目線になってしまうと思います……“どうせ、恋してしまうんです”(笑)。

ーー(笑)。

吉高:深目線でいうと水帆との掛け合いでは、輝月とはまた違うアプローチで深なりに気持ちを伝えてすごく頑張っていると思います。そこで照れている深が愛おしいんですよね。

吉高:輝月は“ザ・主人公”な一方で、繊細でピュア過ぎるからこそ壊れてしまうんじゃないかと心配になる部分もあって。弟感が強いので、見守りたくなるキャラクターです。ストレートに気持ちを伝えるところが本当に素敵で、見習いたいと思いました。

和泉藍は個人的にも好きなキャラです。自分の好きなことをして好きなように生きているのが魅力的。その中に抱えているものもある、という二面性も良いですよね。実際に一緒にいたら、自分の抱えているものが楽になるような存在だと思います。友達になりたいです。僕は本当に人見知りなので、藍がリードしてくれたらなって……(笑)。

星川周吾は料理上手ですし、個人的にメガネキャラは「ずるいなあ」と思っていて。普段はおちゃらけていても、メガネを外すと急にキリッとするじゃないですか。もちろん、僕は深派なんですけど、仮にお付き合いして結婚するとなったら、美味しい料理を作ってくれる周吾も捨て難いと思ってしまいます。僕も料理が好きなので、負けたくないです!(笑)

ーー(笑)。ご自身と共感性が高いのはどのキャラクターですか?

吉高:藍に関しては憧れから惹かれる部分はあるんですけど、演じれば演じるほど自分と似ているなと感じるのはやっぱり深です。

普段の僕は物静かで、周りからはクールそうに見られるけど「可愛いところがある」と言っていただけることもあって。自分で言うのもなんですが……深みたいに照れてしまうこともあるので、重なる部分が多いです。ただ、僕は医者を目指している深ほど勉強ができないので、そこだけは違うかな? 第1話で水帆が背中を向けたときの深の顔を見ると、もう絶対に深を選びますよ! 水帆の中ではクールな深しか見えていないから……。

ーー「水帆と輝月が良い雰囲気になっているのを見て、深の方を振り向いてほしい!」と感じたり?

吉高:なります! 本当にそう思いました。輝月が水帆に対して独走していて、深も頑張ってはいるんですけど、全然輝月に勝てないという話があるんです。その時に浦さんが「うぇーい!」と言っていて(笑)、深目線で「くそー!」と悔しい気持ちになりましたね。

ーー折角なので、第1話で吉高さんの心に刺さった胸キュンシーンを教えてください。

吉高:斉藤先輩と輝月がプールサイドで話すシーンでしょうか。水帆本人がいないところで「俺にとって水帆は女です。手を出さないでください」と斉藤先輩を牽制するという。最高ですね! しかも先輩に対して堂々と言うわけですから、男の輝月が見えた一言だと感じました。あとは、水帆がメガネからコンタクトにした時に、深は心の中で絶対に可愛いと思っているのに、口にはせず照れてしまうところもすごく好きでした。そこに深の魅力がぎゅっと詰まっていると思います。

僕はどちらかというと水帆目線で見ることが多いかもしれません。水帆の気持ちを想像すると、さらにこのシーンが胸に響いてくると思います。

ーー最後に、放送を楽しみにしている方々へのメッセージをお願いします。

吉高:この作品は高校時代の青春がテーマになっています。“キラキラした時間”は生き物のようなもの。それを取りこぼすことなく掬い上げて、大事にしてほしいという願いが込められていると感じます。学生のみなさんにはぜひ、今の青春を大切にしてほしいです。

自分の気持ちを素直に伝える大切さを改めて知ることができますし、前向きになれる作品なので、みなさんもそんな気持ちになっていただけたら嬉しいです。

[取材・文/笹本千尋 撮影/MoA]

『どうせ、恋してしまうんだ。』作品情報

TBSにて、2025年1月9日から毎週木曜深夜1:28~
BS11にて、2025年1月12日から毎週日曜よる11:30~放送開始

どうせ、恋してしまうんだ。

あらすじ

2020年7月1日。高校2年生の水帆は、最悪な17歳の誕生日を迎えていた。
憧れの先輩に近づくチャンスはなくなるし、親には誕生日をすっかり忘れられているし……。
しかも未知の感染症の流行で、部活の大会や修学旅行も中止になって、「私には“キラキラした青春”なんてない」――そう思っていた。
しかしそんな矢先、幼なじみの輝月(きづき)が、突然、“彼氏候補宣言”をしてきて――。

家族のように育った4人の幼なじみの男の子と、主人公の西野水帆との恋愛模様を描いた学園青春ストーリー。

キャスト

西野水帆:新福桜
羽沢輝月:浦和希
柏木深:吉高志音
和泉藍:千葉翔也
星川周吾:猪股慧士
斉藤涼介:上村祐翔
倉敷千夏:田所あずさ
星川透吾:梅原裕一郎
白石真波:名塚佳織

(C)満井春香・講談社/アニメ「どうせ、恋してしまうんだ。」製作委員会
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