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『ルパン三世 vs カリオストロの城』ルパン三世の愛車編【アニメイトで売っていない「モノ」を買いに行こう 第2回】

【アニメイトで売っていない「モノ」を買いに行こう 第2回】公開45周年記念上映が始まった『ルパン三世 vs カリオストロの城』映画内で活躍したルパン三世の愛車を買いに行こう!

 

気候の異なる日本で古いイタリア車を維持するちょっとした秘訣は
人間の都合でクルマに無理をさせず、常にいたわりながら運転すること

▲アメリカ仕様のフィアット500プリマ・セリエ。当時のアメリカにはヘッドランプの高さ規定があったため、フロントマスクにライトポッドと大型バンパーが備わります。このような希少なクルマもチンクェチェント博物館には展示されています。

▲アメリカ仕様のフィアット500プリマ・セリエ。当時のアメリカにはヘッドランプの高さ規定があったため、フロントマスクにライトポッドと大型バンパーが備わります。このような希少なクルマもチンクェチェント博物館には展示されています。

 
フィアット500のような旧車はカツカツの予算で買うのではなく、ある程度の予備費は残して置きたいところですが、しっかりしたコンディションの車両さえ選べば維持に苦労するクルマではないので、その金額も50~100万円程度確保しておけば充分でしょう。

チンクェチェント博物館の深津浩之館長も「フィアット500が欲しくなったらとりあえず買ってしまっていいと思います。買うときに素性のしっかりしたクルマさえ選んでおけば、あとは何とでもなりますから」と仰っていました。それは「売らんかな」の無責任な言葉ではなく(その名の通り、もともと博物館としてオープン。来場者に請われて販売を開始した経緯を持ちます)、フィアット500が長年イタリアの庶民に愛され続けてきた名車であるとともに、旧車の初心者にも維持しやすいユーザーフレンドリーなクルマだからです。

もちろん、現代のクルマのようなイージードライブ性能や快適性はありません。MT(マニュアル・トランスミッション)車しか設定がありませんので、AT限定免許では運転できませんし(教習所で限定解除をする場合は4時間の技能教習が必要で費用は4~8万円です)、MT免許を保有する人でも、フィアット500のMTはギアの回転差を同調させることでスムーズな変速を可能にする「シンクロナイザー」と呼ばれるパーツが備わらないので、変速時には「ダブルクラッチ」(走行中に1度クラッチを踏んでギアをニュートラルに入れ、その状態でクラッチを繋ぎ、素早くアクセルペダルを踏んで回転数を上げ、もう1度クラッチペダルを踏んで変速するというテクニック)が必要になるので、最近のクルマとは運転感覚が少々異なります。エンジンパワーも小型バイクほどしかなく、軽自動車でも45~64馬力ほどあることを考えれば、性能面で今のクルマとは比べるべくもありません。

エアコンはないので夏は暑く、冬はエンジンの排熱を利用したヒーターがあるだけですので車内の細かな温度調整はできませんし、ワイパー操作はオンとオフだけでスピード調整機能はなく、パワーウィンドウはないのでサイドガラスの昇降は手動になります。また、ドアを開く際に使うノブは握った状態でドアを閉めると軽量設計のためボディパネルが歪んでしまいます(締める際はドアサッシを軽く押します)。ほかにもフィアット500には運転操作や維持をする上で細かな注意点がありますが、これらは習うより慣れよで、数日生活をともにしていればすぐに慣れてしまうことなので心配はいりません。

 

▲リゾート地で乗ることを前提に作られたフィアット500のビーチカー。別荘やホテルからビーチまで水着のまま移動することを前提に、ルーフをバッサリ切り取り、濡れても平気な籐のシートに付け替えられました。こちらも現在では大変珍しいクルマです。

▲リゾート地で乗ることを前提に作られたフィアット500のビーチカー。別荘やホテルからビーチまで水着のまま移動することを前提に、ルーフをバッサリ切り取り、濡れても平気な籐のシートに付け替えられました。こちらも現在では大変珍しいクルマです。

 
大事なことはフィアット500のよう古いクルマは、クルマをドライバーの都合に合わせるのではなく、ドライバーがクルマに合わせた運転をすること。運転中もクルマの状態を常に気にかけながら、クルマに無理をさせず、負担をかけないように運転してあげることです。具体的に言えば、フィアット500Fの最高速度は95km/hとされていますが、これは瞬間的に出して良い速度であって連続して最高速度で運転し続けると、クルマが不調をきたす恐れがあります。そのため、どんなに急いでても高速走行時の巡航速度は80~85km/hに抑えるようにし、高速道路を1時間走ったらサービスエリアなどでクルマを10~15分ほど休ませ、エンジンルームを覗いてオイル漏れがないか、エンジンを再始動して異常な振動や異音がないか、マフラーから白煙などを出していないかを気にかける必要があります。

他にも運転をする上で細かな注意点はいくつかあります。それらは購入時に販売店が教えてくれることかと思いますが、つまるところクルマをいたわる運転を心がけ、適時適切なメンテナンスを施すことが、良好なコンディションを維持する上での基本となるのです。

もともと実用的な小型車として誕生したフィアット500だけに、オーナーのなかには通勤や通学、買い物、休日のドライブまでこのクルマ1台でまかっている人もいます。とは言うものの、日本には四季があり、夏は蒸し暑く、冬は寒い、おまけに都市部の道路は常に混雑して渋滞が頻発するなど、クルマにとってはなかなかかに過酷な環境です。そうした交通環境の中をATやエアコンなどを備えない古いイタリア車だけですべてをこなすのは、クルマだけでなく、ドライバーにとってはしんどいものがあるかもしれません。通勤や通学などの毎日クルマを使うという人は、フィアット500は趣味車として休日のドライブなどを楽しみ、それとは別に日常のアシ代わりになる軽自動車や国産コンパクトカーなどの経済的な実用車を用意したほうが良いかもしれません。

 

もう少し気軽にルパンの愛車の乗りたい人は現行型がオススメ!
が、生産終了に伴い残るは在庫車のみ。新車が買えるラストチャンスだ!

▲3代目となる現行型フィアット500。2024年5月をもって現行型は生産終了を向かえましたが、在庫の新車は現在でも全国のフィアット正規販売店で購入できます。そして、最終限定車の「500/500Cスペシャルエディション」はルパン三世のコラボレーションモデルとなります(写真:フィアットジャパン)。

▲3代目となる現行型フィアット500。2024年5月をもって現行型は生産終了を向かえましたが、在庫の新車は現在でも全国のフィアット正規販売店で購入できます。そして、最終限定車の「500/500Cスペシャルエディション」はルパン三世のコラボレーションモデルとなります(写真:フィアットジャパン)。

 
AT限定免許の人や、エアコンやパワステなどの快適装備、エアバッグやシートベルト、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)などの安全装備が必須と考える人も多いでしょう。そうした人には2代目フィアット500をモチーフに、2007~2024年(日本導入は2008年から)まで生産された3代目フィアット500をオススメします。

じつは新しいフィアット500も『ルパン三世』シリーズに登場しており、2008年制作のOVA『GREEN & RED』のラストシーンでは、「今度は新型だ」のセリフとともに赤いジャケットを着たルパン三世が現行モデルに乗って登場しています。また、2012年にオンエアされた「TVスペシャル」の『ルパン三世 東方見聞録 ~アナザーページ~』では、世界限定600台、日本限定50台のフィアット500PINK!を峰不二子が使用していました。

 

▲現在、新車で販売中の現行型フィアット500には、ボサノバホワイト、パソドブレレッド、シチリアオレンジ、ポンペイグレーの4色が用意されています。ルパンのフィアットと同じボディカラー のバニライエローは、残念ながら過去には設定がありましたが現在は用意されていません。

▲現在、新車で販売中の現行型フィアット500には、ボサノバホワイト、パソドブレレッド、シチリアオレンジ、ポンペイグレーの4色が用意されています。ルパンのフィアットと同じボディカラー のバニライエローは、残念ながら過去には設定がありましたが現在は用意されていません。

 
3代目フィアット500は、2代目のかわいいデザインはそのままに、ボディサイズを拡大したことで居住空間は大幅に広くなり、日本仕様車の心臓部は1240cc直列4気筒エンジン(最高出力69馬力)と1368cc直列4気筒エンジン(最高出力100馬力)、そして燃費と性能を両立させた革新的な設計の875cc直列2気筒ターボエンジン(最高出力85馬力) の3種類が設定されました。組み合わされるトランスミッションはMTのほか、MTのメカニズムをベースにコンピューター制御で自動変速する「デュアロジック」が用意されています。エアコンやAT、パワーステアリング、パワーウインドウ、ABS、エアバッグなどの現代のクルマに相応しい装備を持っており、現代車らしく快適かつ安全にドライブを楽しむことができます。

 

▲じつは筆者も現行型のフィアット500に乗っています。筆者の愛車は『ルパン三世 東方見聞録 ~アナザーページ~』で不二子が愛用していたフィアット500PINK!です。このクルマは女性人気が高いのですが、販売台数が少ないため探すのには時間がかかるかもしれません。

▲じつは筆者も現行型のフィアット500に乗っています。筆者の愛車は『ルパン三世 東方見聞録 ~アナザーページ~』で不二子が愛用していたフィアット500PINK!です。このクルマは女性人気が高いのですが、販売台数が少ないため探すのには時間がかかるかもしれません。

 
販売期間の長かったこともあり、3代目フィアット500の中古車相場はこなれており、初期型は30万円くらいから購入できます。しかし、このクルマは「デュアロジック」やパワーステアリングに不具合を抱えている中古車が少なくなく、初期型は経年劣化により消耗部品の交換時期を迎えているクルマが多いことから、不安なく乗りたい人は、メカニズムの熟成が進み、機械的な信頼性が増した2018年以降の後期型を選ぶことをおすすめします。後期型の中古車相場は100~250万円ほどになります。

 

▲現行型のフィアット500の最終限定車「500/500Cスペシャルエディション」に備わるリアガラスデカール。

▲現行型のフィアット500の最終限定車「500/500Cスペシャルエディション」に備わるリアガラスデカール。

▲現行型のフィアット500の最終限定車「500/500Cスペシャルエディション」の専用装備となるドリンクホルダープレート。

▲現行型のフィアット500の最終限定車「500/500Cスペシャルエディション」の専用装備となるドリンクホルダープレート。

▲現行型のフィアット500の最終限定車「500/500Cスペシャルエディション」に備わるシートサイドオーナメント。ほかに刺繍入り専用フロアマットやイラスト入りラゲージフルカバー、ミニカーなどが付属します。

▲現行型のフィアット500の最終限定車「500/500Cスペシャルエディション」に備わるシートサイドオーナメント。ほかに刺繍入り専用フロアマットやイラスト入りラゲージフルカバー、ミニカーなどが付属します。

 
2024年5月をもって3代目フィアット500の生産は終了していますが、在庫車の販売は全国のフィアットの販売店で現在でも行われています。そして、2024年9月10日、最後の限定車として『ルパン三世』とのコラボレーションした「500/500Cスペシャルエディション」が発表されました。この限定車はフロントフェンダーに専用のバッジが備わるほか、リアガラスにはルパンファミリーのシルエットデカールが貼られ、ルパンのキャラクターやロゴが入ったドリンクホルダープレートやシートサイドオーナメント、専用フロアマット、イラスト入ラゲッジカバー、ミニカーなどの特典が付属する特別仕様車です。これだけの特典がついて価格はベースモデルから据え置きの259~326万円となります。在庫車の残りも少なくなってきているので、『ルパン三世』にも登場した3代目フィアット500の新車が買えるのはこれが最後のチャンスです。せっかくフィアット500を購入するのなら、ルパン三世とのコラボした新車の「500/500Cスペシャルエディション」を選んでも良いかもしれません。

 

▲愛知県名古屋市にある『チンクェチェント博物館』は、国内で唯一のフィアット500専門のプライベート博物館です。もともとは展示のみを行なっていましたが、来場者の要望により車両の販売も始めました。各地のフィアット500専門店とのネットワークがあり、車検やメンテナンスなどのサポートもしてくれるの遠方の方でも安心して購入できます。他にもスロットカーコースの利用やグッズ販売なども行なっています。もちろん、見学だけでもOK。プライベート博物館のため、来場を希望する人は1週間前に公式HPのメールフォームから連絡してください。

▲愛知県名古屋市にある『チンクェチェント博物館』は、国内で唯一のフィアット500専門のプライベート博物館です。もともとは展示のみを行なっていましたが、来場者の要望により車両の販売も始めました。各地のフィアット500専門店とのネットワークがあり、車検やメンテナンスなどのサポートもしてくれるの遠方の方でも安心して購入できます。他にもスロットカーコースの利用やグッズ販売なども行なっています。もちろん、見学だけでもOK。プライベート博物館のため、来場を希望する人は1週間前に公式HPのメールフォームから連絡してください。

チンクェチェント博物館

住所:〒467-0872 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14-10
TEL : 052-871-6464 FAX : 052-882-1105
HP:https://museo500.com
営業時間:午前11:00~13:00/午後14:00~17:00
定休日:月曜日/第1、第3火曜日

 

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『シティーハンター』ミニクーパー
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