『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中』Blu-ray&DVD BOX発売記念インタビュー|ジルが槍を折ったシーンや、カミラ・ジーク・ロレンスの会話など、印象深かったエピソードを内田 秀さん&日野まりさんが振り返る
ジルが槍を折ったシーンや、カミラ・ジーク・ロレンスの会話など、印象深かったエピソードを振り返る
──全話を振り返って、印象深かったエピソードをいくつか挙げていただけますか?
日野:まず、第5話でハディスから不意打ち気味にキスされたジルが「初めてだったのに」と言ったら、ハディスが「あとで2人でやり直す?」と言ったシーン。さらっと終わりましたが、すごくかわいくてお気に入りです。
内田:ハディスとジルがイチャイチャするシーンがかわいいですよね。私も、第6話でジルが槍を折るシーンが好きです。第1話からハディスのことがどんどん好きになっていって、「ハディスを守りたい」という気持ちと、「誰だ、この女!?」という気持ちが入り乱れていて。
日野:最終回かなと思うくらいの見どころだったよね。
内田:構成が素晴らしい上にテンポも速いので、各話に見どころがギュっと詰まっているんですよね。コメディシーンも多くて、第8話のリステア―ドとハディスのやり取りで、ハディスがずっと木につかまって、「僕は帰らない! ここでジルちゃんを待つんだ!」と駄々をこねるシーンがすごく好きです。
日野:あと、また第5話だけど、スフィアちゃんに女神が乗り移ったシーンはめっちゃ怖かった。
内田:あんなにいい人だったスフィアが豹変してしまって。
日野:あの時の貫井(柚佳)ちゃんのお芝居がめっちゃすごくて。
内田:アフレコの時も怖かった。
日野:感想を見ても、ファンの方が「えっ!? 急なホラー?」とか「オカルトになったの!?」と驚く発言が多かったんだよね。
内田:(スフィアの声マネで)「泥棒ネコちゃん…ちゃん…ちゃん…」って言ってたのに。変貌ぶりがすごすぎて。
日野:貫井ちゃん自身が憑依されたんじゃないの?と思ったくらい。貫井ちゃん本人もほわほわしたかわいい感じなのに、「あんな声、出るんだ!?」と。
内田:後ろで見ていてビックリしました。
日野:私はおもしろかった。「物音を立てたら消されちゃう……!」みたいな(笑)。鬼気迫るシーンで印象深かったです。
内田:第11話でジルが黒竜に会った時、拳で殴ったシーンも好きです。黒竜に物怖じせず、物理で殴ったことと、「ことわり、ことわり!」というセリフもよくて。「行動しないからダメなんだよ」みたいな。
日野:カッコよかったし、刺さる人が多そうだよね。見ていて「私もそうじゃないかな?」と思ったもん。「何もしてないから文句ばかり言って」は、自分に言われた気がして、つい背筋が伸びたから。
あと、私が演じたところで言えば、第10話の焚火の前でのカミラとジークとロレンスが語り合うシーンがお気に入りです。一番やりたいシーンでしたし、お芝居をした時も思い入れがあって。あそこでカミラがロレンスの生い立ちを聴いて、現状が大変だってことも理解したうえで、「いい子よね。いやになっちゃう。今の内に始末しちゃいたくなる自分が」というセリフをどんな気持ちで言ったのか考えて。今回はやり直している世界なので……この間、正史(『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中 プラティ大陸正史』)を読んだからこそ、あの3人のやり取りの大切さが理解できました。
カミラは元々、成人男性だったので、私が役をいただいた時に男性っぽくしゃべったほうがいいのか、女性っぽくしゃべったほうがいいのか確認したら、「普通の女性としてお芝居をしてほしい」と言われて。ということは性別とかは一旦置いておいて、人となりなどが出るところを前面に出せたらいいなと思っていましたが、それが一番色濃く出たのがあのシーンでした。
血気盛んなのはジークのほうだと思っていたのに、「始末しちゃいたい」とカミラが言い出して、逆にジークが「やめておけよ」と止めに入って入ったり、「お前ここにいていいのか?姉貴は無事なのか?」とロレンスを心配したり、意外とジークのほうが人情深くて。ロレンスの性格を含めて、それぞれが浮き彫りになる、いいシーンだなと思っています。
内田:原作を読んでいると、アニメで出てくるセリフがより重みを増して感じることが結構あるので、そこもアニメのおもしろいところかなと思います。
──ジルとハディスとラーヴェの掛け合いシーンも好きでした。
内田:私とハディス役の戸谷(菊之介)くんはアフレコ中によくふざけていて、ラーヴェ役の井澤(詩織)さんが後ろで温かく見守ってくれていたので、ジルとハディスとラーヴェの関係と似ているのかなと。ジルとハディスがわちゃわちゃしているのをラーヴェが見守って、「またやってるわ」みたいな。
日野:ジーク役の(橘)龍丸くんがよくツッコんでいたよね。そこもジーク味があるよね。
内田:それもあったからこそ、お芝居でもおもしろくできたのかなと思います。
日野:ジルが槍を折る直前にハディスにバリアを張られて、「ここは世界一安全な結界の中だ。ごめんな」とラーヴェに言われた時、秀ちゃんはどう思ったの? やっぱりムカついたの?
内田:ムカつきと、私はハディスを守りたいと思っているのに、「ラーヴェもきっとそう思っているのに、何でここから出してくれないの?」というイライラが交ざった感情でした。
日野:めっちゃいい!
内田:日野さん、(収録時も)すごくほめてくれたんですよね。自分なりにいろいろ考えてきたからそんな風にほめられたらすごく嬉しいです。
日野:私はいちオタクとして普通に知りたかったから、聴けてよかった(笑)。
コミカルなWEB予告は、一気に収録したからこそ後半のハードルが爆上がり!?
──本作は、WEB予告も毎回楽しかったです。
内田:アフレコが終わった後に、みんなで一気に録ったんですが、最初はどれくらいおもしろくやっていいのかわからなくて。「一旦、思い切りやってみよう」と思ってやってみたら意外とOKが出て。
日野:すんなりね。
内田:「これでいいんですか?」と驚きましたが、楽しく収録できました。特に第8話予告のハディスとジークのカミラの「30秒クッキング」がおもしろくて。後ろで見ていて、笑いをこらえるのが大変でした。
日野:テストで戸谷くんが結構おもしろい芝居をかましてきて。笑ってしまったのでさすがにNGかなと思ったら「それで録ります」と言われて、「本当ですか!?」と。
内田:私も「これで行くんだ!?」と思いました(笑)。めっちゃおもしろかったです。
──毎回、一発OKだったんじゃないかなと思っていました。
内田:たまにふざけすぎて、「そこまではちょっと」と言われる時もありました(笑)。
日野:みんな、おもしろいことしたがりだから。特に戸谷くんが。本編でも、ハディスがイメージ図で顔がちょっとずつ出てくるシーンがあったんですが、そこで「アドリブください」と言われて。ステーキの絵が出てきて「ジュ~シ~」とやったら「ちょっと不明瞭で何と言ったのかわかりません」とやり直しになったこともありました(笑)。
内田:「デリシャス」か「ジューシー」のどっちかだと思いますが、一発目で出したものが何を言っているのかわからなくて。めっちゃおもしろかった。
日野:私としては世に届けてほしかった(笑)。
──第1話のジルの早口の予告は「さすが声優」と感心しました。
内田:あれは何回か録った気がします。テストではスムーズに行けたんですが、本番になったらちょっと噛んでしまって。家でめちゃめちゃ練習してきました。
日野:ジルちゃんはいつも早口のセリフがいっぱいあって、後ろでみんなで「頑張れ!」って応援してた。
内田:私が同じセリフで何回か噛むと、「ちょっと息吸います」と深呼吸するんですが、その時にみんなが応援してくれて。
──日野さんも自分の出番が待ち遠しかったのでは?
日野:予告はいっぺんに全部録ったので、どんどんハードルが上がっていって。最初は普通にやろうと思っていたのに「これはヤバいぞ」と(笑)。私はめちゃめちゃにははみ出さず、冒険しないタイプなのに、頑張らざるを得なくなって。
内田:おもしろかったです(笑)。
──収録現場での裏話や思い出があれば教えてください。
内田:よくみんなで収録後にご飯に行ってましたね。
日野:収録終わりに食事に行くのは最近では珍しいですね。でも秀ちゃんが「行きましょう」と言ってくれたので。
内田:みんなと仲良くなりたい人間なので、収録が終わってそのまま帰ってしまうのも寂しいなと思って。最初は私から言い出せなくて、日野さんに「今度みんなでご飯行きませんか?」とお誘いして。
日野:私もすごく嬉しかったから「すぐ行こ! 今日行こ!」って。
内田:それで、その場にいた方たちを誘って。
日野:意外とみんな来たよね? ゲオルグ様(楠大典さん)も来てくれて。
内田:ゲオルグ様も来てくれて嬉しかったです。
日野:私たちキャストの「ジル隊」というLINEグループがあるんですけど。
内田:LINEで「明日の収録終わりにご飯とかどうですか?」とお誘いして。
──内田さんがパーソナリティを担当されている「やり直し令嬢と竜帝陛下はラジオを攻略中」の第6回で、日野さんがゲストでいらした時にその話をされていましたよね。場所取りは日野さんがされていたとか。
日野:1回目は私でしたが、2回目以降は秀ちゃんが場所を取っていました。
内田:お誘いするのも自分で勇気を出して、皆さんに「ご飯に行きましょう」と言っていました。
──WEB予告やラジオを聴いていて、キャストの皆さんの仲の良さが自然と伝わってきました。
内田:アフレコのAパートとBパートの間に休憩が入るんですが、ずっとしゃべりっぱなしで、いつも楽しい現場でした。
日野:先輩もいっぱいしゃべってくれたしね。
内田:先輩方も皆さん優しくて。
日野:途中からの参加だったリステアード役の古川 慎さんもたくさんお話ししてくれたよね。「すごく早口じゃない? みんないつもこんなことをしているの?」と尋ねられたので、「そうなんですよ」と答えて。
内田:みんながギャグにツッコんでくれたり。
日野:いい座組だったよね。
内田:みんなのことがめちゃめちゃ大好きでした。
──収録で鈴木健太郎監督や音響監督の岩浪美和さんからムチャ振りをされることはなかったですか?
日野:台本の中に英語のト書きがあって、「英語がしゃべれる人~?」みたいに言われて。私たちは「英語はちょっと」という中で、秀ちゃんはさすがで……。
内田:それは「英語がしゃべれる人~?」と言われた時に、ブースの中にいる皆さんが一斉に私を見たので、「じゃ、じゃあ私が……」という感じで。
日野:でも秀ちゃんがいなかったら、間違いなく私たちがムチャ振りされてたから(笑)。
内田:ムチャ振りどころか、あまりディレクションもなかった気がします。
日野:自由にやらせてくれたので。
内田:たまに「もうちょっと力強く」といったものはありましたが、自分が持ってきた演技をガラっと変えるとか、そういうことはなかったですね。
──あとは、第1話冒頭の怖いハディスからジルが大好きすぎてデレたりとギャップが大きかったので、戸谷さんも大変そうだなと思いました。
日野:確かにそうですね。でもお芝居をガラっと変えるのではなく、「もうちょっとおもしろく」とか「もっとおちゃらけた感じで」みたいな微調整があったくらいでした。
──自分のイメージでは、戸谷さんは各現場でイジられ役のような印象がありますが、この現場ではいかがでしたか?
日野:戸谷くんとは別の現場でも一緒になったことがあり、そこでは確かに戸谷くんがボケて、みんながツッコむみたいな感じでしたが、今回は秀ちゃんもボケるから。
内田:(笑)。
日野:なので、戸谷くんがイジられ役というよりは、戸谷くんと秀ちゃんがボケ合戦を繰り広げている感じで。誰もツッコまない中で龍丸くんだけがツッコんで。
内田:龍丸さんが横で一生懸命ツッコんでくれて。ラジオでもずっとボケでしたが、龍丸さんがゲストで来てくれた時は割と成立している感じでした(笑)。
──でもラジオを聴いていると、中盤あたりから内田さんの進行もちゃんとしていたと思います。戸谷さんがゲストの第7回なんかも。
内田:本当ですか? 嬉しい! まあこう見えて戸谷くんよりもちょっと年上ですから、しっかりしなきゃなと思っていたので。でも私がツッコミを全然できないので、最終的には二人でボケボケになっちゃうんですけど(笑)。