ニーゴは優しく、誰かに寄り添う。『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』連載インタビュー|宵崎奏役・楠木ともりさん×朝比奈まふゆ役・田辺留依さん×東雲絵名役・鈴木みのりさん×暁山瑞希役・佐藤日向さん【25時、ナイトコードで。】
「心に寄り添う一曲に」という想いを込めて
――今回の劇場版では書き下ろし楽曲も披露されますが、鈴木さん、佐藤さんから見て、どのような雰囲気を持っている楽曲でしたか?
鈴木:楽曲の中で感情を前に出すことが多いニーゴですが、これまでとは違ったアプローチがされた楽曲でした。
佐藤:ポエトリーな感じでね。
鈴木:そうそう。「叫ぶ」とは違うけれど、心の内に秘めたものをその瞬間にそれぞれが決めていく……独特の格好良さがある楽曲になっていると思います。
レコーディングも、私たちがその瞬間に出したニュアンスをスタッフさんが汲み取ってくださったおかげで、サクサク進みましたね。
佐藤:ニーゴらしさを残しつつも、今までリリースさせていただいている書き下ろし楽曲の中では、かなり明るめな曲調なんです。歌詞も「大丈夫だよ」という気持ちがニーゴらしく表現されていて、聞いた人が安心できる、寄り添ってくれる一曲になっていると思います。
鈴木:聞いてくれる人を意識して作られている気がしましたね。
――お話を聞いて、より楽しみになってきました……! 続いて、楠木さん、田辺さんが本楽曲に込められた想いやテクニックについてお聞かせください。
楠木:今までのニーゴの曲は、「自分の気持ちを紐解く」「メンバーの気持ちに寄り添う」という楽曲が多かったのですが、今回の楽曲はお二人(鈴木さん・佐藤さん)がおっしゃったように「対“誰か”」を意識して作られていて。奏としては、各ユニットのメンバーが集まって歌う周年楽曲に似たニュアンスを持っているのではないかなと思います。
奏が持つ「周りを温かくしてくれる明るさ」や安心感・包容力……辛い気持ちを無視しないで「一緒に頑張っていこうね」と言ってくれるような寄り添い方を表現できたら、と思っていました。ポエトリーの部分も「セリフだったらどう表現するか」「それを楽曲にどうやって落とし込むか」のバランスを見ながらレコーディングしていただきました。
田辺:今回の楽曲の歌詞は、そっと寄り添ってくれるような要素が散りばめられています。
劇場版のまふゆは、まだ「わからない」という気持ちが全面に出ていることもあって、歌うときにその言葉が自分自身にも響いてくるような感覚を覚えました。この歌を聞いてくださる方々にもその歌詞が届いてくれたらいいな、と。
誰かを救い、寄り添うことをテーマとした楽曲だと思います。このテーマを大切にしながら、言葉一つひとつをまふゆとしてしっかりと届けられるよう意識して歌いました。
――いつも作詞を担当している“雪”としても、特別な一曲になりそうですね。
田辺:そうですね! 言葉を立てつつ、「心に寄り添う一曲に」という想いを込めて、大切に歌わせていただきました。
各々が思うキャラクターを作れたのではないかなと思います
――次に、劇場版のアフレコ現場において、印象に残っているエピソードなどがあれば、お聞かせください。
佐藤:収録の前にちょっとした待ち時間があって、その時に4人でお茶をしたんです。2杯くらい飲んだっけ?
楠木:結構長く飲んでたね(笑)。
――ちなみに、そのときはどのようなお話をされていたのですか?
鈴木:同時期に進んでいた、アプリゲームの楽曲レコーディングの報告会……だったかと。
佐藤:そうそう。「どんなふうに歌った?」みたいな話をしましたね。あとは、(アプリゲーム内で展開される)今後のストーリーについても話していたと思います。
(楠木さん、田辺さん、鈴木さんに向けて)印象に残っているエピソードは、どうですか?
鈴木:そうだなぁ……。劇場版の音響チームは、普段アプリゲームでお世話になっている音響チームの方々とは違うスタッフのみなさんだったのですが、キャラクター理解に関してキャストである私たちを信頼してくださっていて。アフレコの前に「絵名だったら、このように言うかもしれない」というすり合わせを、しっかりとできたことが印象深かったです。
仮に、劇場版の制作が『プロセカ』が始まって一年目で行われていたりしたら、お互い手探りになっていたかもしれません。時の流れも感じながら、特別な思いで収録をしていました。
楠木:キャストの演技プランを信頼していただけて、我々としても演じやすかったですし、各々が思うキャラクターを作れたのではないかなと思います。
あと、4人で一緒に録ったときに気がついたのですが、やはり奏とまふゆの声が小さくて(笑)。4人で一斉にリアクションをするシーンなどでは、(田辺さんに)「今、私たち声を出したよね?」って確認しちゃったり(笑)。
音量バランスや掛け合いの距離感・温度感に関して、一緒にアフレコをしたことで気がつく普段との違いもあって、面白いなと思うと同時に今後のアプリゲームの収録でも活かしていきたいなと思いました。
田辺:ニーゴキャスト陣が4人一緒にいるときは、ともりちゃんと私がニコニコ過ごしていて、その隣でみのりちゃんと日向ちゃんが何かとテキパキ動いている、という構図になるんです(笑)。ニーゴの4人で一緒にいると楽しかったり、ワクワクする感情が自然と湧いてきてしまうので、キャラクターの心情と自分の心情が異なる瞬間もあって。
それでも、いざ収録となると一気に違う空気が流れるんですよね。まふゆはテンションが上がることが少ないので、アフレコの最中は静かめに過ごすことが多くなったり……。そのメリハリも含めて、ニーゴっていいなと改めて思いました。