
ロボットも動物も人間も、プログラムを超えて共に生きるーークリス・サンダース監督が『野生の島のロズ』に込めた想い【インタビュー】
ドリームワークス・アニメーションが贈る最新作 『野生の島のロズ』が2025年2月7日(金)より全国公開!
第97回アカデミー賞®において、【長編アニメ映画賞】【作曲賞(クリス・バワーズ氏)】【音響賞】の3部門にノミネートされた本作は、無人島に漂着した最新型アシスト・ロボットのロズと動物たちが織りなす絆と共生の物語。
心を持たないはずのロボットが、過酷な自然の中で新たな“家族”と出会い、心を育みながら共に生きる様子が描かれています。普遍的なテーマと美しいアニメーションで、多くの観客の心を掴むこと間違いなしの作品です。
アニメイトタイムズでは、本作の監督を務めるクリス・サンダース氏にインタビューを実施。ロズのデザインに関するお話や原作にも散りばめられたテーマ性など、制作秘話を語っていただきました!
本作には"ヴィランが存在しない”と語るクリス監督。「プログラムを超えて 生きる」というキャッチコピーに込めた想いとは?
なぜ『野生の島のロズ』だったのか? 監督が語る作品の核
ーーピーター・ブラウン氏による原作を映画化しようと思ったきっかけや、原作からどのようなインスピレーションを受けたのか教えてください。
クリス・サンダース(以下、クリス):本作は、ドリームワークスのアニメーション企画でプレゼンされた作品のひとつでした。他にも候補は幾つかありましたが、直感的に「これだ!」と思いました。私自身、ロボットが大好きなんです。でも、中々ロボットが登場する作品を作る機会がなかったので挑戦してみたいなと。
加えて、物語の核となる部分にエモーショナルで美しいものが沢山あると感じます。母親の存在もこの作品のひとつのモチーフですが、アニメーションのストーリーには母親が不在であることも多いと感じていて。“母なる存在”が物語の中心となっている部分にも惹かれました。
ーー監督から「私がフィルムメーカーとして優先する要素を満たしていた」とコメントがありましたが、クリス監督が優先する要素とは何なのでしょうか?
クリス:原作がある作品でも、オリジナルでも、いずれにせよ読んでいる時やアイデアを考えている際にシーンが浮かぶことがあります。自分と物語が繋がっている感覚と言いますか。
原作のキラリたち雁(ガン)が飛翔するシーンを読んだ時、本当に美しい映像が浮かんできました。今回はそのシーンを楽しみに、原動力として楽しく作業することができたんです。
アニメーターも役者さんの演技も音楽も、私の想像の何倍も素晴らしいものを作って、作品づくりに貢献してくれています。本当に驚かされる現場でしたね。アニメーション制作は決して楽な仕事ではありませんが、本作はずっと楽しくて、最初のインスピレーションを失うことなく作り続けることができました。
ーー監督が愛するロボットがメインに据えられていたことも影響していたのでしょうか?
監督:その通りです。どんな作品でも、ロボットが少しでも登場すると好きになってしまいます。私がロボット好きだということは妻に言われて初めて気づいたんですよ(笑)。
妻から「人間や動物のキャラクターだと、要素が多いから気が散ってしまう。ロボットは必要最低限で、要素が削がれているから好きなんじゃない?」と言われて納得しました。ロボットには年齢、ジェンダー、出身などがありません。そういう無機質さに魅力を感じてしまうのかもしれませんね。