
TVアニメ『SI-VIS: The Sound of Heroes』斉藤壮馬さん×潘めぐみさんが語る終盤戦|ぶつかり合うJUNEとクリオス、そしてキョウヤの選択は
ぶつかりあったJUNEとクリオスのシーンを振り返る
──演じたキャラクターについて聞いていきたいのですが、ここまで演じてきて、JUNEにはどんな成長がありましたか?
斉藤:最初、SI-VISのメンバーの中では一歩引いた、バランサー的な立ち位置の人なのかなと思っていたのと同時に、あまり本音ではしゃべっていない人だと感じていたんです。だけど彼には悲しい過去があって、大切な弟の樹音を災害で失ったと思っていたら、実は意志を持った存在の介入によるものだったとを知ってしまう……。それまでの彼は、悲しみを隠してバランサーとして振る舞っていたけど、その表皮が剥がれ落ちて、憎しみや悲しみがむき出しになってしまったんですよね。
──それが第8〜9話でしたね。
斉藤:それも第9話で一応の解決を見たんですけど、そこからは、少し彼の素が出てきたんじゃないかなと思いました。悲しみや苦しみを経験し、そこから救われたからこそ、より生身の人間として、世界と向き合うようになったのではないでしょうか。だから終盤はベーシックな優しさは変わらず、少し人間味を感じる度合いを増やしていけたのかなと思っています。
──オリジナル作品で、そのグラデーションを見せていくのは難しそうです。
斉藤:一応、第1話の段階で、全てではないですが、「彼はこの先大変なことがあって、ダークサイドに落ちかけます」という説明はいただいていたので、都合のいいキャラのままでいる人ではないんだろうなとは思っていました。
──クリオスには、どんな変化がありましたか?
潘:≪XENOS≫側としては、大いなる流れはすべて教えていただきながらの収録で、第8〜9話でクリオスが登場するときに、「今のJUNEを見ていてください」という話はありました。つまり、彼もJUNEと同じようになっていきますということだったんですけど、だからこそJUNEを見て、JUNEを知って、よく理解しようと思う心だけを軸に、クリオスを演じていきました。
第9話で、JUNEの憎しみに初めて触れてしまったクリオスは、それを理解できないんです。人間の感情への理解が追いついていないのもあるし、≪XENOS≫だとまだ幼子ですから、よくわからない。わからないまま憎しみを目の当たりにして、自分が憎まれるという立場に立つ……。
その後、第12話でリュコスという大切な存在を失ったときは、JUNEのようにすぐには立ち直れないんですね。クリオスは、JUNEにおける「SI-VIS」のような仲間がいないし、その唯一の存在が、双子のリュコスだったので。
お互いがお互いを補ってきていたのに、その片割れがいなくなってしまったら、誰のために戦えばいいのかわからなくなってしまう。それが相手を憎むことで果たされると思ったし、JUNEと同じ気持ちになれたという感覚なんですよね。憎んでいる相手に、役としてそういうことを言うのは初めてなんですけど、「あのとき君は、ボクを憎んでいたじゃないか!やっと、やっとボクが、君と同じ気持ちにたどり着いたというのにっ!!」(20話)と言い放つんです。あとから振り返ると、それはわかり合いたいという余地ばかりなんです。
だから、ずっと答えの見えない憎しみの果てに対して悩んでいました。JUNEに不意に与えてしまった憎しみを、私は覚えていたいと思ったし、第20話でJUNEに憎しみを持ってぶつかることで、クリオスを救ってあげたいなとも思っていました。
──クリオスが憎しみを覚えたあとの声のトーンに関しては、監督から指示があったのですか?
潘:自然と変わっていきました。これは私の解釈で演じてしまったんですけど、リュコスを失って1人になったクリオスは、リュコスでもあるんです。双子で魂も分かち合っていますし、2人が1人になってしまった感覚でもある。だからリュコスにも感じられるようなクリオスになっていったという感じでした。
──聞いていて、リュコス(CV.内田真礼)の雰囲気をすごく感じていました。
潘:ありがとうございます。そう思ってもらえたらいいなと思っていました。それに憎しみとなると、腹に落ちていく感覚というか、声が低くなると思うので、自然とあのトーンになっていった気がします。
──やはり、第8〜9話と第20話は、JUNEとクリオスにとって大きな話数だったと思うので、ここでの掛け合いはどうでしたか?
斉藤:決定的に違うのは、第9話のJUNEって、誰の言うことも聞こえていないんですよ。クリオスが違うと言っても、お前らのせいで!となってしまっている。違うタイミングで話すことができていたら、あんな鎌を振り回す必要はなかったかもしれないんですし。
だからJUNEがクリオスたちと戦ったとき、踏みとどまらせてくれたのは、クリオスではなくキョウヤなんです。先程、潘さんが言ってくれたことがまさになんですけど、JUNEにはキョウヤやSI-VISがいてくれたから踏みとどまれたし、気付きを得ることができたんですよね。だから第20話で、クリオスの憎しみを、戦うことで受け止めることができたのだと思います。
芝居的には、どちらも楽しかったんですけど、第20話のほうが楽しかったです。というのも、セリフが被っている場合、テストは一緒に録っても、本番で別録りになることが多いんですけど、「これは一緒に録りましょう」と言ってくださったんですね。そこに、制作チームの心意気を感じましたし、本当にありがたかったし、すごく楽しかったです。
──感情が昂るシーンって、だいたいセリフは被りますからね。
斉藤:もちろん、別々に収録したとしても、素敵なシナリオだから良いシーンになるだろうけど、言語化できない熱量みたいなものを、お互い交わしながら収録をさせていただいた印象なんですよね。
──では、第9話のほうは、怒りに支配されて、周りの言葉がまったく聞けないという芝居だったのですね。
斉藤:そうですね。誰の言葉も聞こえないけど、ラストのキョウヤの「憎しみだけに染まった君を見るのはつらいよ」のあたりだけ、ぎりぎり届くような精神状態でした。
これはどこだったかな……。第8話のBパート終わりの「樹音を殺したんじゃないか!」のところに、「怨念の張りついた笑みを浮かべたJUNE。怨みの対象を見つけ、目が活き活きしている」というト書きがあったんですけど、ディレクションでも、「狂気の笑みみたいな作画になるので、それを意識してください」と言われたので、それをイメージして演じました。だから可哀想なんですよね、クリオスが樹音を殺したわけではないので。
──キョウヤの声が届くシーンは、お二人のお芝居も素晴らしかったです。
斉藤:そのシーンは、キョウヤ役の亜南くんがめちゃくちゃリテイクを頑張ってやっていたんです。彼自身、台本を持たずにやってみたり、いろんなパターンを試していたりしたので、僕は最後までこのシーンを見届けたいと思って、次の現場があったのですが残っていたんです。で、最後、このテイクでリテイクになったら、さすがに時間的に間に合わなくなるかもと思っていたら、素晴らしいテイクを出して、「これはOKだな」と思い、その場を去ったんです。そうしたら監督が追いかけてきてくださって、「ギリギリまで待ってくれてありがとうございます。そのおかげで素晴らしいシーンになりました」とおっしゃってくれたんですね。そういう情熱がある現場だったなと思います。
──すごく良いお話ですね。でも、聞いていて「これはOKだな」と、わかるものなんですね。
斉藤:もちろん我々が決めることではないんですけど、気持ちが伝わる瞬間ってありますよね?
潘:ある!
斉藤:亜南くんが本当にすごかったです。もともと演技は素敵なんですけど、第1話と最終話でまったく違う役者になっていたので、やっぱり作品が人を育てる、というのはあるのだなと思いました。
潘:育まれていますよね。新人さんが真ん中で主役を張って、その周りに我々がいるという座組も、最近では珍しかったのかな?と思います。
斉藤:たしかに。それも、王道ではあるんですけどね。
潘:そうですね。あと、最初にも話しましたけど、それぞれのキャストがそれぞれのキャラクターに見えてくる素敵な現場でした。
──古屋さんもインタビューで、成長できたという話はされていました。
潘:そのときの自分に必要な役を作品がくれるというタイミングってあると思っていて。亜南くんにとっては、きっとそれがキョウヤであったと思うし、我々にとっては、キョウヤに対してのそれぞれの役の立場、役割が必要なときだったのかなと思います。ご縁があって、タイミングがあって、その役に私たちは巡り合っている。そういう現場でした。
──島﨑さんと斉藤さんが両サイドにいて、島﨑さんがアドバイスをして、斉藤さんが見守って、あとで必要なことを伝える、という形だったんですよね?
潘:本当にそうでした。信長さんの心配りは素敵でしたし、それはソウジとキョウヤの優しい関係を見ている感じでした。あの2人がギャンギャンせずにいたら、きっとこういう関係になるんだろうなと(笑)。



































