涙の重大発表は……「東京ドームでライブします!」水樹奈々がこの夏歩んだ"JOURNEY"それはさらなる冒険へとつながる――ー「NANA MIZUKI LIVE JOURNEY 2011」埼玉公演を誌上ゴージャスレポ!
歌手デビューから11年。音楽シーンの歴史に残る輝かしい記録を樹立し続ける声優アーティスト、水樹奈々が、7/24(日) さいたまスーパーアリーナにて、自身最長となる全国ツアー「アニメロミックス presents NANA MIZUKI LIVE JOURNEY 2011 supported by JOYSOUND×UGA Calbee ポテリッチ」埼玉公演を開催。総勢28000人のファンを前に、これまでのキャリアを総括するようなセット・リストのライヴを展開。さいたまスーパーアリーナの広大なステージを活かした豪華なセットを舞台に、約3時間半に渡り白熱のステージを繰り広げた。
●「今日は去年以上に、ものすっごく攻めて、攻めて、攻めまくります!」
後方の席までビッチリと埋まった超満員のさいたまスーパーアリーナ。開演時間が過ぎ、ファンの"待望感"が限界まで募ったその瞬間場内が暗転し、左右に配置された大型スクリーンと中央ステージに掲げられた幕に水樹が電車に乗って旅(JOURNEY)をしている映像が浮かび上がる。水樹を乗せた電車が宇宙に到達した瞬間──ステージ中央の幕が落ち、スペイシーなセットのステージに、水色のドレスに身を包んだ水樹とバック・バンドのチェリーボーイズが登場。青のサイリウムを点滅させ躊躇なく大歓声を送るオーディエンスに向かって「行くぜ! さいたまスーパーアリーナ!」とシャウトし、バラで彩られたマイクを片手に最新曲「SCARLET KNIGHT」を熱唱。間髪入れず、火柱が舞う中「ETERNAL BLAZE」、明滅するグリーンのレーザーが飛び交った「十字架のスプレッド」を届け、オーディエンスを一気に"水樹奈々ワールド"へと導いていったのだった。
ここで「皆さん、こんばんわー!! 遂に、遂に、遂にきたぜぇーっ! めっちゃ楽しみにしてたよーっ!」と最初のブレイクへ。外は炎天下ということもあってオーディエンスの体調を気遣いながらも、「今日はすごいコトになりますよ。ちょうど1年前の今日、同じ埼玉の、西武ドームに私たちはいましたけども、今日は去年以上に、ものすっごく攻めて、攻めて、攻めまくります!今日はみんなの心をひとつにして思いっきり暴れるぜぇ~い!」と挑発。「では、LIVE JOURNEY 2011 埼玉、出発!」と、その攻勢的な姿勢を表すかのように、激情的な「still in the groove」、R&Bテイストの「HIGH STEPPER」「Polaris」とダンサブルなナンバーを立て続けに放っていく。衣装も黒レースの衣装、マイクもヘッドマイクへと切り替え、バック・ダンサー"TEAM YODA"と共に楽曲のグルーブをしっかりと掴まえたダンスを披露しながら激しいステージを展開──したと思ったら、今度はピンクを基調にしたドット柄のキュートな衣装で登場し、ステージからスタンド席に向かってグルリと描かれた楕円型の花道(!)を自ら歩きながら、ポップな「Young Alive!」、<CHU-LU CHU-LU CHU-LU PA-YA-PA>でお馴染みの「DISCOTHEQUE」をオーディエンスと共に大合唱。さらにアコースティックナンバー「STORIES」「アルビレオ」を温かみのある音色と共に届けるなど、車窓から見る景色が様々な風景を映し出すように、クルクルと表情を変えながら色鮮やかな光景をオーディエンスに見せていくのであった。
●「力の限り飛びまくって、踊りまくって、叫びまくって、みんなの本気を見せてくれ!」
多彩なステージを展開した前半戦。中盤のMCではこの"最長ツアー"について改めて振り返った。「私自身、ソロライブでこのステージに立つのはフォーミュラ(NANA MIZUKI LIVE FORMULA at SAITAMA SUPER ARENA)以来になるんですけど、その時に、音が洪水のように全身に降り注いでくるような場所だなと思っていて。また、今日、みんなと一緒にそれを味わえるなんてホントに幸せです、ありがとー!」と感謝の気持ちを伝えながら、今回のツアーが一筋縄ではいかなかったことを報告する。
「まず初日の福岡で盛大に転ぶでしょ(笑)。今までステージで転んだことなんかなかったのに! それに始まり、新潟ではステージから落ち(笑)──これも初めてのこと! みんなにプレゼントを渡したかっただけなのに、まさか自分もプレゼントっていう状態になっちゃって(笑)。浜松では色々なトラブルもあったりしたんだけど、みんなが大合唱で歌ってくれて……長い旅には予想もつかないことがつきものだなって思いました……」と、"ここ"にたどり着くまでの事件と舞台裏の秘話と合わせて話した。ツアーの思い出を話す時の水樹の表情はどこか嬉しそうで、今回のツアーがいかに充実したものだったかを物語っているかのようであった。そんな各地のライヴで培った経験や、オーディエンスからもらったエネルギーを伝えるかのように、パワフルに攻めていく後半戦。
「みんな、もっともっと飛ばしていくよー!」とマリンルックの衣装で「suddenly~巡り合えて~」「New Sensation」「Love's Wonderland」、タオル曲「Level Hi!」をアッパーに歌い上げたあとは、ミニ丈の白いドレス+白いブーツ姿で「囚われのBabel」「残光のガイア」と8月3日に発売となった新曲「純潔のパラドックス」(TVアニメ『BLOOD-C』のエンディングテーマ)で会場をダイナミックに染め上げていく。
さらに「ここからは押して、押して、押しまくります! 力の限り飛びまくって、踊りまくって、叫びまくって、みんなの本気を見せてくれ!」と心の底からパワーを振り絞るかのように「Bring it on!」「ミュステリオン」「UNBREAKABLE」を熱演し、"これ以上ない"ほどの分厚い熱気を立ち上げていくのだった。しかし、これだけ激しく歌っているにも関わらず、一切音程やペースを乱すことなく、むしろ歌えば歌うほど輝きを増していくそのパフォーマンスは圧巻の一言だ。なぜここまでのパワーが出せるのだろうとふと思ったが、この"全力全開"のステージは水樹のファンに対するまっすぐな"想い"と、ファンのエネルギーあってのモノだと、次のMCで改めて痛感させられた。
「すっごい気持ちよくて、楽しくて、幸せです! ……でも、言いたくない言葉を言おうとしてます。(会場から"ええ~!!"の声が上がる) 私も、もっともっと歌ってたいよ! でも、今日、みんなからたくさんのスペシャルなパワーをもらってホントに幸せです。……改めて思います。みんなに会いたくて、みんなの笑顔が見たくて、私は全力で歌ってるんだなって。だから、これからもみんなにいっぱい笑顔を届けに全力全開で行きます! 最後の曲はとびきりの愛を込めてみんなに捧げたいと思います! 喰らえ、この愛!」とファンに届けられたのは「Pray」。<僕はいつでも傍にいる どんな時でも傍にいるよこの世の全てが敵だって 君だけの盾になる>──オーディエンスひとりひとりに対する誠実な気持ちを象徴しているようなこの歌にグッときたのは私だけではなかったはずだ。
●アンコールでの重大発表!
アンコールならぬ"奈々コール"を受けて水樹は再びステージへと帰還する。なんと、巨大なSL列車に乗って、である! どよめきまじりの歓声が上がる中、SL列車で会場を一周し「ミラクル☆フライト」「POWER GATE」を熱唱!
会場の熱気を再び煽ったあとは「いつものやつやっちゃいまーす!」と"シャッス!"の挨拶を2万8千人の乗客と元気に交わし、少し長めのブレイクへと入り今年の活動を振り返っていく。そして、声のトーンを落とし「実はね、すっごく大事なお知らせがみんなにあって……今めっちゃ震えています……聞いてくれますか?」と12/03(土)、04(日) 東京ドームライヴが決定したことを発表。客席から自然と「バンザーイ! バンザーイ」という大歓声が沸きあがるなか、水樹は涙ぐみながらその決意を語る。「私にとってチャレンジの場所になると思います。私の尊敬する美空ひばりさんの東京ドーム公演を見て以来、ずっと夢に見てきた憧れの場所です。でも、このステージを完成させるためには、私ひとりの力だけでは何もできません。みんなのパワーが必要です。これからも水樹奈々にパワーを与えてください!」と頭を下げると、この日最大の声援が送られたのだった。その声を受けて「ありがとう。この日のことは一生、忘れません! 本当にありがとう。泣いてなんていられません! 最後の曲……思いっきり、最強の、無敵の笑顔で行きたいと思います!」と「POP MASTER」を会場全員で大合唱。約3時間半に及ぶ壮大な旅の終着駅へと案内したのだった。
この11年のキャリアを総括するかのような、アニバーサリー感のあるライブを送りながらも、"これから"もしっかりと感じさせてくれた。さらなる進化を遂げようとする水樹奈々のネクスト・ステージに注目である。 (Text: 逆井マリ)
>>水樹奈々 公式サイト NANAPARTY