「アニソンは心に残っていくもの。大人になったときにそのメッセージを理解してくれたらいい」――『SKET DANCE』3rdOPテーマ「Graffiti」をリリースするGACKTが語ったアニソン、自由、そして世界へのメッセージ!
アーティストとして絶大な存在感を放ち、俳優、声優としても輝かしい活躍を見せるGACKT。日本のみならず世界中のファンを魅了しその名を馳せる彼が、2011年11月30日に自身の40作目となるシングル『Graffiti』をリリースする。
タイトル・トラックの「Graffiti」はアニメ『SKET DANCE』のOPテーマとなっており、疾走感溢れるパワフルなロックナンバーに仕上がっている。またカップリングには同じくアニメ『SKET DANCE』でGACKTが演じたキャラクター、ダンテとして劇中で披露した「生きとし生けるすべてに告ぐ」を収録。
「Graffiti」にはGACKTのどんな想い、そしてメッセージが込められているのか?――その真相を聞いた。
――まず、「Graffiti」の曲を聴いた時の印象をお聞かせいただけますか。
GACKTさん(以下GACKT):この曲のテーマは「自由」なんだけど、大人になる過程の中で「自由でい続けること」をどうやって表現していこうか、試行錯誤しながら歌ったんだ。メロディとかも、自分の好きなように変えてね。
でもレコーディングを終えて完成した曲を聴いた時に、自分が届けたかった「自由さ」が表現できていないと思った。それで曲を一度すべてばらして、もう一度最初からレコーディングし直したんだ。その時は音程とかはもう崩れても良いから、もっと「自由なもの」を表現していくことにフォーカスした。
そして再び出来上がった曲を聴いてみたら、すごく良い曲が出来上がって。バカっぽいかもしれないけど、自由で居続けることは難しいことじゃない。でも、そこには必要な何かがある。感覚的なことなんだけど、聴いている人にそれが伝わってくれれば良いんじゃないかなって。
――一つの楽曲の中に逞しさだったり、優しさだったりと色んな表情がある楽曲だと思うのですが、歌うときに意識したポイントなどありますか?
GACKT:いつもレコーディングの時には、その曲の中でどこまで自分の気持ちを表現できたら、届けなきゃいけないものが届けられるんだろう、って考えながらやるんだ。この曲の場合は途中で止めてレコーディングしているわけじゃなくて、最初から最後までバーって通して歌ってる。
もちろん、歌いづらい部分やしんどい部分もある。でもそういう部分を含めて、止めないで表現したかった。苦しい部分やしんどい部分の音程をきっちり歌うことよりも、もっと自由に、「歌い切る」ことの方が大事だと思ったんだ。曲の中には、わざと音程を崩している部分もある。その方がこの曲の良さやテーマが伝わると思ったからね。
――特にその「自由」さが強く表れているのは、どのパートだと思いますか。
GACKT:サビだね。歌ってみるとわかるんだけど、この曲ってすごく難しいんだよ。息継ぎもないし。でも難しいからこそ、自由な発想で歌う楽しみもあるんだ。特にこのサビには、難しさをいかにクリアして歌っていくか、っていう楽しさや躍動感がある。
――改めて完成した楽曲を聴いてみて、どんな曲になったと思いますか?
GACKT:躍動感のある良い曲になったと思う。歌詞を聴かなくても、前に進んでいこう、顔を上げようって思える曲になったと思うよ。曲って、そういうものなんじゃないかな。すごく真剣に歌詞を意識しながら曲を聴くよりも、パッて聴いた時の印象で「なんか、良いなあ」って思えるか、思えないか。それが一番大切だよね。
――ミュージックビデオからも、「自由」というテーマがストレートに伝わってきました。
GACKT:あのビデオには、若い子たちがいっぱいでてくるんだ。彼らの中には、「大人になりたくない」と思っている子もたくさんいる。なぜ彼らが大人になりたくないかというと、「自由」がなくなると思っている子がいっぱいいるからなんだ。
でも、実際はそうじゃない。元々自分たちが学生の時に持っていた「自由」にだって、「責任」は付いて回ってる。「自由」と「責任」っていうのは、常にペアになっているからね。ただ、自分たちの持っている「責任」はすごく小さいから、気付かないだけなんだ。
ところが大人になってから得る「自由」っていうのはものすごく大きくて、そこに付いてくる「責任」の大きさも比じゃない。それに直面した子供たちが「責任」を拒否してしまうと、ものすごく小さな自由しか手に入らなくなってしまう。けれど、「自由」を手に入れるっていうのは、そういうことなんだよ。
それは学生の頃から誰しもがそうなわけで、大人になっても実は何も変わっていないんだ。大人になるっていうのは、人生がつまらなくなったりするわけじゃない。大きな自由を手に入れるために、大きな責任を自分で背負う覚悟があるか、ってことなんだ。それが出来さえすればどんな年になったって、自由は存在するからね。
――GACKTさんが最後に馬で駆けて行くシーンも印象的でした。
GACKT:「自由に生きる」ってことは、成功が手に入らないと思っている人もいるかもしれないけど、それも違う。僕は常に自由な発想で生きているし、僕のライフスタイルは自由だ。でも、それに伴う責任もきちんと背負っている。縛られているなんて一度も思ったことはないよ。
例えばフェラーリなんていうのは、成功の象徴じゃない?でも、「成功」っていうのは、人によって違っていて。フェラーリに乗ることが成功だっていう人もいるけど、僕みたいな成功の仕方もあるんだよ、こんな自由もあるんだよ、っていうことを示したかった。
だからあのシーンはいわば、アンチテーゼだよね。くだらなくて笑えるかもしれないけど、「自分はこうでありたい」って思えることが、「自由」に繋がるんじゃないかな。
――『SKET DANCE』は子供から大人まで、とても幅広い年代の方に愛される作品だと思うのですが、そういった作品に関わることについてどう思われますか?
GACKT:すごく大切なことだよね。アニソンって、子供たちの中に絶対に残っていくから。ほら、子供のころに歌っていたアニソンって、今でも口ずさめたりするでしょ?子供たちは曲を楽しんで歌ったりするけど、その内容を理解するのはもっと先だと思うんだ。その当時は、感覚的なもので曲を"感じて"いる。
「Graffiti」はそういう意味でも、子供たちにとって感覚的に「なんとなく、背中を押してもらえるな」って感じてもらえると思うし、さらに大人になって聴いた時に「実はこういう意味だったんだ」って、理由や繋がりを見出せる曲になっていると思うよ。
――GACKTさんはアーティストとしてはもちろん、俳優や声優と様々なフィールドで活躍されていますが、今後新たに挑戦してみたいことなどありますか?
GACKT:今はYELLOW FRIED CHICKENzのワールドツアー中なんだけど、日本人だから出来ない、と思われていることっていっぱいあるんだ。特に日本人は、自分たち自身でそう思ってしまっている傾向もある。そういうのを全部ひっくり返す。「日本人だからできるんだよ、日本人をナメるなよ」っていうメッセージを発していきたい。僕は日本人であることに、すごく誇りを持っているからね。(敬称略)
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